生成AIの進化によって、現代の私たちの暮らしはますます便利になってきた。しかし、その裏側でAIの技術に対して恐怖や不安を抱えている人も多いのではないだろうか。ライズ・スクウェアが実施した調査によると、約7割がAIの進化に不安や恐怖を感じていることが明らかになった。今回は、AIに対するリアルな感情や実際に脅威を感じた瞬間について掘り下げていこう。

約7割が感じると答えた。AIの進化に対する不安の正体とは?

ライズ・スクウェアは2025年4月18日~20日の3日間、全国の男女500人を対象に「AIの進化に対する恐怖や不安」についてアンケート調査を実施した。その結果、「とても感じる(21.8%)」「やや感じる(50.8%)」「あまり感じない(19.2%)」「全く感じない(8.2%)」となり、約7割がAIの進化に不安を抱いていることが明らかになった。

なかでも最も多かった理由は「偽情報が増えること」だった。次いで「人間の仕事が減る」「人間の力が衰える」という意見が並び、AI技術の急速な発展が、社会的、経済的なリスク、さらには人間そのものの退化につながるという懸念も広がっている。

一方で、「恐怖や不安を感じない」と答えた人からは、「とにかく便利だから」という実用的な理由が多く挙がった。例えば、仕事でAIを活用する機会が多く、業務効率化やメンタルサポートなどの恩恵を受けているという実体験が背景にあるようだ。また、「使い方は人間次第」「自分には関係ない」といった意見も挙がり、ツールとしてのAIを冷静に受け止める姿勢や、日常的にAIとの関わりが薄い人たちの心理も一定数見られた。
生成AIによる偽情報で騙された?AIに不安を感じる瞬間

では実際に、AIに対して恐怖や不安を感じたのはどのような瞬間なのだろうか。調査によると、最も多かったのは「AIによるフェイクに触れた時」だった。SNSやメディアを通じて、AI生成のフェイク動画や偽情報に接する機会が増え、現実と見分けがつかないほどの精度を持っているために、疑念を抱くようになったという声が多く挙がった。自分自身が騙された、あるいは身近な人が被害に遭ったという経験が、恐怖や不信感につながっているようだ。次いで多かったのが「仕事の減少」に関する体験。AI化が進むなかで実際に人員削減に立ち会った経験が、不安の原因になっている。AIの台頭によって自分の職がなくなるのではという脅威が他人事ではなくなっているといえそうだ。
AIの進化は、人間の生活を便利にする裏でリアルな危機感が存在している。なんでも頼れる時代だからこそ、どこまで任せて、どこからは自分で判断するのか。自分なりのバランス感覚が、これからますます大事になっていくのかもしれない。
※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)