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Netflixがワーナー買収で国内の動画配信やゲーム開発に与える影響は?

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(Image:Shutterstock.com)
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2025年12月、Netflixがハリウッドの名門ワーナー・ブラザース・ディスカバリー・インク(以下、ワーナー)のエンターテインメント事業を買収するというニュースが大きな話題になりました。

創業100年を超えるスタジオが、新興のテック企業の傘下に入るという前例の少ない合併です。映画、ドラマ、そしてゲーム業界の勢力図を根底から覆す、歴史的な転換点となる可能性もあります。

この「主客転倒」とも言える事態に対し、映画ファンからは劇場文化の衰退を懸念する声も上がっています。しかし、日本国内のスマホユーザー視点に立ったとき、より直接的かつ大きな影響が及ぶのは「動画配信サービスの勢力図」と「ゲーム体験の質的な変化」です。

この記事では、この巨大買収が日本の動画配信市場やスマホ新法下のゲーム業界にどのような影響を及ぼすのかを考察します。

HBO作品の行方と『U-NEXT』

HBO作品の行方と『U-NEXT』1
(画像は「U-NEXT」公式サイトより引用)

日本国内の動画配信市場において、Netflixのライバルとして確固たる地位を築いているのがU-NEXTです。そのU-NEXTのラインナップにおいて、洋画・海外ドラマファンを惹きつける最大の武器となっていたのが、ワーナー傘下のHBOおよびHBO Max(現Max)の作品群でした。

『セックス・アンド・ザ・シティ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』、近年では『THE LAST OF US』や『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』といったクオリティの高いHBO作品は、日本では長らくU-NEXTが独占的に配信してきました。同様にハリー・ポッター、DCなど、人気のHBO Max作品も国内ではU-NEXTが配信しています。しかしワーナーがNetflixの傘下に入ることで、この構図は崩れ去る可能性があります。

中期的に最も有力なのは、「HBO作品がNetflixへ移籍、もしくは統合される」シナリオです。

過去、ディズニーが自社サービス「Disney+」を立ち上げる際、Netflixからマーベル作品などの自社コンテンツを一斉に引き上げた例があります。

Netflixがワーナーを手に入れた以上、国内市場における競合であるU-NEXTに虎の子のコンテンツを貸し出し続ける理由は薄くなります。契約期間の満了を待って、ハリー・ポッターシリーズやDC映画、そしてHBOドラマがNetflix独占になる可能性は極めて高いと言えるでしょう。

これまで「HBOが見られるから」という理由でU-NEXTを選んでいた層にとっては、Netflixへの一本化を検討する大きなきっかけになります。国内勢として奮闘してきたU-NEXTにとって、主要な海外IPを失うことは戦略の抜本的な見直しを迫られる事態となりそうです。

Netflixのゲーム事業における『ワーナー』という起爆剤

Netflixのゲーム事業における『ワーナー」という起爆剤1
(画像は「ホグワーツ・レガシー」公式サイトより引用)

今回の買収劇において、動画配信と同じくらい、あるいはそれ以上に注目すべきなのが「ゲーム事業」への影響です。

Netflixは数年前からゲーム事業に参入し、会員向けにモバイルゲームを提供してきました。ただし2024年10月にはNetflix社内のAAA開発スタジオ「Team Blue」が2024年10月に、さらに2025年10月にはモバイルゲームスタジオ「Boss Fight Entertainment」が相次いで閉鎖されるなど、ゲーム事業の道のりは決して順風満帆とは言えません。

そこに現れたのが、ワーナーという強力なパートナーです。

ワーナーは映画だけでなく、ゲームパブリッシャーとしても超一流の実績を持っています。世界的な大ヒットとなった『ホグワーツ・レガシー』や『バットマン:アーカム』シリーズ、『モータルコンバット』など、開発力のあるスタジオと強力なIPを多数保有しています。

Netflixにとって、自前での開発スタジオ運営に失敗した穴を埋め、即戦力となる「開発力」と「IP」が一気に手に入るこの買収は、ゲーム事業を成功させるためのラストピースとなり得ます。今後、Netflix会員であれば『ホグワーツ・レガシー』の続編が追加料金なしで遊べる、あるいはDCコミックスのキャラクターを使ったNetflixオリジナルゲームが登場する、といった展開が現実味を帯びてきます。

「スマホ新法」が追い風に

さらに日本市場においては、2025年12月18日に本格運用が始まる「スマホソフトウェア競争促進法(通称:スマホ新法)」が、この買収効果を加速させる可能性があります。

「スマホ新法」が追い風に1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

スマホ新法は2025年12月18日に全面施行されるもので、AppleやGoogleといった巨大IT企業の独占的な行為を規制し、競争を促す法律です。これまではApp StoreやGoogle Playのアプリストアを経由すると最大30%の手数料がかかるため、Netflixでは、ブラウザ経由でなければ課金できない仕組みでした。

しかし、スマホ新法はAppleやGoogleが「自社の決済システム利用を強制すること」を禁止するため、アプリ内で自社の決済システムやPayPayなどのサードパーティ決済を自由に導入できるようになります。

つまり、ワーナー買収によって強力なゲームタイトルを手に入れたNetflixは、日本において「Netflix独自のゲームストア」を構築する動機が生まれることになります。

たとえば、Netflixアプリそのものをスーパーアプリ化し、そこから直接『ハリー・ポッター』の新作スマホゲームをダウンロード・起動可能に。そして、課金システムもAppleやGoogleを通さず、Netflixの登録クレジットカードで直接決済できるようになります。

ユーザーにとっては、一つのサブスクリプションで映画、ドラマ、さらには高品質なゲームまで楽しめる「スーパーアプリ」としてのNetflixが誕生する可能性が急激に高まっていると言えるでしょう。

Netflixのワーナー買収と、日本におけるスマホ新法の運用開始。この2つのピースが重なることで、Netflixの「スーパーアプリ化」は一気に加速するかもしれません。

※サムネイル画像は(Image:Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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