「あれ、YouTubeがChromecastを認識しない……」。2013年に登場し、テレビの楽しみ方を一変させた初代Chromecast。35ドル(日本では2014年に税別4,200円で発売)という衝撃的な安さで爆発的に普及したこのデバイスが、発売から13年を経て突然動かなくなるという報告が相次ぎました。Googleはすでに問題を修正していますが、今回の騒動はサポート終了済みデバイスの「余命」を改めて考えさせるものです。

何が起きたのか?——突然YouTubeもHBO Maxも映らなくなった
2026年5月中旬、海外の掲示板Redditを中心に、初代Chromecastの不具合報告が急増しました。9to5Googleの報道によると、あるユーザーは自宅にある2台の初代Chromecastがどちらも動かなくなったと投稿。返信欄にも同様の報告が次々と寄せられました。
厄介なのは、症状がアプリごとにバラバラだったことです。Disney+やSpotifyでは正常にキャストできるのに、YouTubeやHBO Maxなどではそもそも初代Chromecastがストリーミング先として表示すらされない。しかもこの症状は人によって異なり、「自分は大丈夫だった」という声もあれば、影響を受けたという声もありました。
Googleの対応——「技術的な問題を修正した」
この問題に対し、GoogleのGoogle Home上級プロダクトマネージャーであるSahana Mysore氏は、ArsTechnicaへの声明で次のように回答しています。
「今週初め、技術的な問題により、一部の初代Google Chromecastユーザーのキャスト機能が一時的に中断されました。当社のチームは迅速に根本原因を特定し、問題を解決しました」
5月22日時点で問題は修正済みとされ、実際にユーザーからも「直った」という報告が上がっています。ひとまず危機は去りました。
ただし「修正」と「サポート」は別の話
ここで押さえておきたいのは、初代Chromecastのソフトウェアアップデートは2023年にすでに終了しているという事実です。Googleはその際、ユーザーに対して機能を直接停止することはしないとしつつも、「パフォーマンスの低下に気づくかもしれない」と警告していました。今回の不具合はサーバー側の技術的問題だったため修正できましたが、デバイス本体への更新はもう行われません。
なお、第2世代ChromecastやChromecast Audioといった後続モデルは、2025年初頭に配信されたキャスト修正アップデートを経て、現在も正常に動作しています。
1億台を超えた「Chromecast」という時代の終わり
初代Chromecastの不具合は、単なるデバイスの老朽化にとどまらない文脈を持っています。Chromecastシリーズは11年間で累計1億台以上を販売し、家庭用ストリーミングデバイス市場の主要プレイヤーとなりました。しかし2024年8月、Googleはシリーズ全体の生産終了を発表。後継機として「Google TV Streamer」へと世代交代を果たしています。
つまり、今回の初代の不具合は、すでに幕を閉じたChromecastシリーズの「最後の灯火」が揺らいだ瞬間とも言えるのです。
まだ使っている人はどうすればいい?——乗り換え先を整理
今回は修正されましたが、サポート終了済みのデバイスにいつまで頼れるかは誰にもわかりません。「そろそろ買い替えかな」と感じている方のために、現在選べる主な選択肢を整理します。
Google TV Streamer(税込16,000円)
Chromecastの正統後継機。32GBの内蔵メモリと、先代のChromecast 4Kから倍増したRAMを備え、スペックが大幅に向上しています。Googleのエコシステムを引き続き使いたい方に最適です。
Amazon Fire TV Stick HD(6,980円)
2026年4月30日に発売されたばかりの最新モデルで、Amazon独自開発の新OS「Vega OS」を搭載。価格を抑えたい方には有力な選択肢です。セール時には2,000円台〜3,000円台まで下がることもあり、サブ用途ならコストパフォーマンスは高めです。
Apple TV 4K 第3世代(19,800円〜)
Wi-Fi 64GBモデルが19,800円、Wi-Fi + Ethernet 128GBモデルが23,800円。Apple製品との連携を重視する方向けで、価格帯は他と比べてやや高めです。
まとめ
今回Googleが迅速に修正したことは評価できます。13年前のデバイスに対してサーバー側の対応を行ったこと自体、ユーザーへの誠意と言ってよいでしょう。
しかし、これは「延命」であって「復活」ではありません。アップデートが終了したデバイスは、次に同様の問題が起きたとき、同じように修正される保証がないのです。実際、YouTubeやHBO Maxは、今回の不具合よりも前から初代Chromecastをキャスト先として認識しなくなっており、Peacockに至っては以前から明確にサポートを打ち切っています。対応アプリは静かに減り続けているのです。
初代Chromecastが4,200円で変えた生活は確かに革命でしたが、その革命から13年。数千円〜1万円台で手に入る後継デバイスは、性能も安定性も大きく進化しています。
「まだ使えるから」ではなく、「次に使えなくなったとき慌てないために」。お気に入りのドラマが突然映らなくなる前に、買い替えを検討するタイミングが来ていると、編集部は考えます。
出典:9to5Google 参考:Android Central、Android Police、Yahoo Tech、Business Standard、Fire Stick Tricks、ITmedia Mobile、ケータイ Watch、ITmedia PC USER、TechCrunch、Wikipedia(Chromecast)



