原材料や輸送コストの上昇、円安等の影響を受けて物価が上がっているが、スマホやタブレットの端末価格についても例外ではない。米国のトランプ政権による関税措置の影響も懸念されるが、現在、メーカーごとの価格差はどうなっているのか。ICT総研はG20構成国(※)を対象に、2025年4月時点での主な端末のメーカー直販価格を調査した。
※G20構成国……日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ共和国、トルコ
日本のスマホ直売価格は、世界の中で見ると比較的安い

日本の主なスマホ価格とG20平均価格との比較調査の結果を見てみると、日本での主なスマホの価格は、多くがG20平均価格より安価であることが判明。詳細を見てみると、「iPhone 16 Pro」が174,800円(G20平均-18.4%)、「iPhone 15」が127,800円(G20平均-13.9%)、「iPhone 16e」が99,800円(G20平均-13.6%)、「Galaxy S25」が129,000円(G20平均-15.8%)。iPhoneとGalaxyはG20平均と比べて、価格がおおむね15%前後安かった。「iPhone 15」については、2024年10月時点でICT総研が調査した際と比べて、日本での直販価格は値上げされていないと推察される。
一方で、「Google Pixel 9」、「Google Pixel 8a」、「Redmi 12 5G(Xiaomi)」については、日本での価格とG20平均があまり変わらない、もしくは日本での価格がG20平均を若干上回る結果となった。現状、世界の中で見ると、日本のスマホ価格は比較的低いと言えるようだ。
世界比較では安価な日本のスマホ・タブレット、今後の情勢に要注意

タブレット価格においても同様に調査結果を見てみると、ほとんどのタブレットがG20平均価格より日本の価格の方が安かった。価格差が最も大きいのは「Google Pixel Tablet」で57,800円(G20平均-17.2%)だった。その他、日本での価格がG20平均を下回ったのは、「iPad Pro」で168,800円(G20平均-10.9%)、「Galaxy Tab A9+」で35,799円(G20平均-10.8%)だった。「iPad Pro」についても「iPhone 15」と同様、2024年10月の調査時と日本での直販価格は変わっていないと推察される。唯一、「Surface Pro 11」は日本での価格が210,980円(G20平均+5.2%)と、日本での価格の方がやや高い結果に。タブレットにおいても、日本の価格は世界平均より安いことが明らかになった。
ICT総研によれば、「トランプ政権による関税措置の影響が注目されているが、スマホ、タブレットの価格は2024年10月調査時と比べても、大きな傾向は変わっていない。ただし、今後の米国による追加関税、相互関税およびそれに呼応する形での各国の報復関税等の行方次第では、端末価格の上昇は十分考えられる」とのことだ。新型については、「iPhone 17」や「Google Pixel 10」などがすでに発表されている。いずれも発売日などの詳細は未定だが、「トランプ政権が発動した90日間の相互関税停止が解除された後になるとすれば、その時の情勢がどうなっているか見当がつかない。端末料金は決して安くないため、買い替えを検討している人は慎重にタイミングを計る必要がありそうだ。
出典:【ICT総研】
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