月々のスマホ料金を少しでも節約したい人にとって、月々のデータ使用量が少ない方向けの「小容量・低価格プラン」は、家計の強い味方でした。しかし、2025年に入り、その状況が大きく変わりつつあります。

たとえばドコモは2025年6月5日から「ドコモ mini」を開始。「irumo」の新規受付を終了。「ドコモ mini」は4GBと10GBの2つのプランのみで、irumoで提供されていた0.5ギガプランは廃止されました。
しかし、かつては政府の要請もあり充実していた低価格帯の選択肢が、なぜ今になって姿を消し始めているのでしょうか?
キャリアにとっての「MNPホッピング」問題の深刻化

小容量な格安プランをキャリアが継続する際、深刻な問題が「MNPホッピング」と呼ばれるユーザーの行動です。これは携帯電話番号ポータビリティ(MNP)制度を利用して、新規契約者向けのキャンペーン(端末の大幅割引や高額なポイント還元)だけを目当てに、短期間でキャリアを次々と乗り換える行為を指します。
小容量・低価格プランは、この「ホッピング」の“踏み台”として利用されるケースが多く、キャリアが期待する長期契約や上位プランへの移行に繋がりにくいという課題がありました。
昨今、通信キャリアは5Gネットワークのインフラ整備に巨額の投資を継続しています。この投資を短期~中期の目線で回収するには、キャリアは顧客一人ひとりからの収益(ARPU:Average Revenue Per User)を高める必要があります。そうした際に「MNPホッピング」行為は看過できないものであり、キャリアは「MNPホッピング」の温床となる小容量プランの廃止や見直しを進めていると考えられます。
大手キャリアの通信プランを安く使い続けるにはどうしたらいい?
ドコモは「ドコモ mini」で0.5GBプランを廃止するなど、小容量プランを縮小しています。
では、このような状況で大手キャリアの通信プランを安く利用し続けるには、どのような選択肢があるのでしょうか。まず選択肢となるのは、「ahamo」に代表される各キャリアのサブブランドを使うことです。

「ahamo(ドコモ)」「povo(au)」「LINEMO(ソフトバンク)」といった、大手キャリア自身が提供するオンライン申し込み専用のプランは、大手キャリアの自社回線を直接利用するため、通信速度が安定しているためです。
サポートもオンライン中心で手続きは自分で行う必要がありますが、その分、高品質な通信を安く利用できます。

大手キャリアのサブブランドの利用で「店頭サポート」は受けられる?
ただし大手キャリアのサブブランドを使う際、「店頭でのスマホ利用のサポート」にはやや注意が必要です。
前提としてサブブランドでも、多くの場合、親会社のキャリアショップでサポートを受けることができます。ただし「サポートが無料である」とは限りません。

たとえばソフトバンクのサブブランドのLINEMOでは、月額990円もしくは月額550円で店頭スマホサポートを受けることができます。月額990円の「フルプラン」の場合、受けられるサポートは、データ移行、フィルム貼り、コーティング、操作案内、スマホ初期化、生体認証設定、アカウント設定、メール設定などです。
また、大手キャリアでも、auやドコモもサポートをプラン化して有料にしています。つまり、今後基本的には大手キャリアもサブブランドも、サポートは有料化する流れになると見られます。
さらなる安さを求めるならば、MVNOがおすすめ
なお店頭サポートが不要で、さらなる安さを求めるならば「MVNO」への乗り換えがおすすめです。MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)は、ドコモやauなどの大手キャリアから通信回線を借りて、独自のサービスとして提供している事業者です。「IIJmio」や「mineo」などがこれにあたります。
代表的なプランの例は以下の通りです。

もっとも店頭サポートの手厚さや通信の安定性といった面では、大手キャリアの方が上回っている点が多いのも事実です。スマホの料金を抑えたいと考えており、店頭サポートが無くとも問題ない場合には乗り換えの価値が大きいと言えるでしょう。
「大手の従来通りの小容量プラン」を使い続けるにはどうしたらいい?
繰り返しではありますが、大手キャリアは基本的に小容量プランへの締め付けを強めている傾向にあり、合わせて店頭サポートの有料化にも踏み切っています。
こうした状況下で
・小容量プランを使い続けたい(新たな料金プランに乗り換えたくない)
・店頭サポートも重視する
ならば「既存契約を継続する」のが最善の選択肢です。すでに契約済みのプランは新規受付が停止したのちも、比較的長い期間同じサービスが提供され続ける傾向が強いためです。
とはいえ将来的には「既存契約者向けのサービス」が終わる可能性も無視できません。
大手キャリアにおける小容量・低価格プランの減少は、通信業界が5Gを基盤とした新たなサービスへと移行する中で起きた、構造的な変化と言えます。かつてのように、ただ「安さ」だけを基準にキャリアを選べばよかった時代は終わりを告げました。
MVNOやオンライン専用プランといった多様なサービスの中から、自分の使い方(データ使用量、通話頻度)や求めるもの(通信速度の安定性、サポートの有無)を正しく理解し、主体的にサービスを選ぶことが、これまで以上に重要になっています。
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