
2022年3月にau、2024年4月にソフトバンクが終了させた3G回線。最後に残ったドコモも2026年3月をもって3G回線の提供が終了します。
「FOMA」や「iモード」は多くの人にとって「昔使っていた懐かしいサービス」かもしれませんが、なぜ今、一斉にサービスを終えるのでしょうか?そして、まだ3G端末を使い続けている人は、具体的にどうすればよいのでしょうか。
3Gの登場と「FOMA」と「iモード」が変えた日常について
携帯電話の歴史は、1980年代の1G(第1世代)から始まります。この時代はアナログ通信で、できることは基本的に「音声通話」だけでした。そして1990年代に入ると2G(第2世代)が登場し、通信がデジタル化されます。これにより、メールの送受信や、簡単なウェブサイトの閲覧が可能になり、携帯電話は「話す」道具から「情報をやり取りする」道具へと進化しました。
そして2001年、NTTドコモが世界に先駆けて商用サービスを開始したのが3G、サービス名は「FOMA」でした。

特に、1999年に始まったドコモの「iモード」は、3Gの高速通信と結びつき、日本のモバイルインターネット文化を牽引しました。多くの人が、パケット代を気にしながらも、新しいサービスに胸を躍らせた時代でした。3Gは、スマートフォン登場以前の「ガラケー(フィーチャーフォン)」の全盛期を支え、私たちの生活にモバイルインターネットを根付かせた立役者と言えるでしょう。
なぜ今、3Gはサービスを終了するのか?
最も大きな理由は、より高性能な4G(LTE)や5Gが普及したことです。2010年代に登場した4Gは、スマートフォンでの動画視聴やアプリ利用を当たり前にしました。そして2020年から始まった5Gは、「超高速・超低遅延・多数同時接続」を特徴とし、IoTや自動運転など、未来の社会基盤として期待されています。
「電波」という限りある資源の有効活用

携帯電話が使う「電波(周波数帯)」は、無限にあるわけではありません。国が管理する公共の資源であり、各携帯電話会社に割り当てられています。3Gが使っていた周波数帯を空けることで、その貴重な電波を4Gや5Gに再割り当て(転用)できます。これにより、より多くのユーザーが利用する新しい世代の通信品質を向上させることができるのです。これは総務省が推進する電波の有効利用政策の一環です。
なお4Gや5Gの普及に伴い、3Gの利用者は年々減少しており、今ではごくわずかです。しかし、利用者が少数でも、全国の基地局などの設備を維持し続けるには、莫大な電気代やメンテナンス費用がかかります。携帯電話会社にとって、古い通信規格を維持し続けることは経営的に非効率であり、そのコストを新しい技術への投資に振り向ける方が合理的です。ソフトバンクの決算資料でも、3Gサービス終了に伴う撤去費用が計上されており、世代交代には相応のコストがかかることがわかります。
使えなくなる端末・サービスは? – 「ガラケー」だけじゃない注意点

3G停波の影響は、主に以下の2つのケースで発生します。
まず3G専用の端末(ガラケーや古いスマホ)です。これは最もわかりやすいケースです。3Gの電波しか受信できない端末は、停波後は通話・通信が一切できなくなります。これには110番や119番などの緊急通報も含まれるため、非常に重要です。
VoLTE(ボルテ)非対応の4G端末も同様です。ここが一番の注意点で、一見すると新しい4G対応のスマホやガラホ(4G対応ガラケー)でも、「VoLTE」という技術に対応していない機種があります。VoLTEとは4G回線で音声通話を行う技術で、これに対応していない機種は、データ通信は4Gを使いつつ、音声通話は3G回線に切り替えて利用しています。そのため、3Gが停波すると、データ通信はできても音声通話ができなくなってしまいます。
ドコモの公式サイトでは、iPhone 5sやiPhone 5cなどがVoLTE非対応機種として挙げられています。該当する可能性がある方は、必ず確認が必要です。
【ドコモユーザー向け】今すぐやるべき3つのステップ

ドコモの3Gサービスを利用している、あるいは影響を受ける可能性がある方は、サービスが終了する2026年3月31日までに以下の対応を行いましょう。
ステップ1:自分の端末が対象か確認する
まずは、使っている端末が3G停波の影響を受けるかを確認します。ドコモの公式サイトに、利用できなくなる機種の一覧が掲載されています。自分の機種名や型番を調べて照らし合わせてみましょう。
ステップ2:【4G端末の場合】VoLTE設定をオンにする
もし使っている端末が4G対応でVoLTEが利用できる機種なら、設定をオンにするだけで解決する場合があります。多くの場合、設定は簡単です。
・iPhoneの場合:「設定」→「モバイル通信」→「通信のオプション」→「音声通話とデータ」で「VoLTE」をオン。
・Androidの場合:「設定」→「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」内の「4G回線による通話」などをオン。(機種により名称は異なります)
●ドコモ公式:VoLTE設定方法
ステップ3:機種変更・プラン変更を検討する
使っている端末が3G専用機やVoLTE非対応の4G機種だった場合、残念ながら機種変更が必要です。ドコモでは、対象者向けに端末代金の割引や手数料無料などのキャンペーンを実施しています。ドコモショップやオンラインショップで相談してみましょう。
なお、ドコモは対象となるユーザーに対し、2025年5月15日から電話をかける際に3Gサービス終了を知らせる音声ガイダンスを流すなど、周知を徹底しています。もしガイダンスが流れたら対応を急ぎましょう。
auとソフトバンクの3Gはすでに過去のものとなり、最後の砦であるドコモの3Gも2026年3月31日にその歴史に幕を下ろします。もしあなたがまだ対象の端末を利用しているなら、通話ができなくなる、緊急時に連絡が取れないといった事態を避けるためにも、早めの行動が不可欠です。
まずはご自身の端末を確認し、必要であれば設定変更や機種変更の準備を始めましょう。この変化は、より速く、より便利なモバイル体験への入り口でもあります。少しの手間をかけるだけで、安心して新しい時代を迎えられます。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています