Appleは独自のエコシステムを武器に世界を席巻してきた。しかし、その閉じた仕組みは欧州連合(EU)から繰り返し是正を求められてきた。消費者保護、公正競争、環境対策といった観点から、EUはAppleに数々の要求を突きつけてきたのである。
Xユーザーのはむさんど.(@hamu_3nd)さんは、自身の投稿で「EUがこれまでAppleに求めてきたこと」を図解とともに紹介。その一覧を見れば、AppleがEU規制の下でどのような変化を余儀なくされてきたのか一目で理解できる。

投稿画像が示したEUの要求一覧
はむさんど.さんの投稿画像には、Appleに突きつけられてきた主要な要求が八つ挙げられている。
・App Storeの解放
罰金を受けながらも、App Store外でのアプリ配信や外部決済を部分的に認める対応を進めている。
・USB-Cの義務化
環境負荷軽減と利便性向上を目的に、iPhone 15以降はLightningを廃止してUSB-Cを採用した。
・5年のアップデート保証
最低5年間のOSアップデート提供をユーザーに約束し、端末の長期利用を支える体制を整えた。
・130億ユーロ支払い命令
租税優遇をめぐり、EU最高裁が支払いを命じ、Appleはアイルランド政府への支払いが確定した。
・iOS互換性確保(DMA)
デジタル市場法に基づき、アプリやサービスの相互運用性を高める方向で部分対応が進められている。
・バッテリー交換の容易化
ユーザーが自ら交換可能な設計を義務化する案が検討中であり、今後の設計方針に影響する可能性が高い。
・Apple Payの解放
NFCチップの利用をサードパーティ決済にも開放し、競争の公平性を確保する方向で規制に合わせた。
・サイドローディング
これまで禁止されてきたApp Store以外からのアプリ導入を、EU域内では実装している。
画像はアイコンや短い説明を添えて並べられており、ユーザーが一目で理解できる構成となっている。まさに「EUがAppleに求めてきたこと」を端的に整理した内容だといえる。
ユーザーにとってのメリットとリスク
こうした規制は、一般ユーザーにとってさまざまな影響をもたらす。

USB-Cの採用はケーブルを統一し利便性を高め、5年のアップデート保証は長期利用の安心感をもたらす。バッテリー交換の容易化も実現すれば、端末を買い替えずに使い続けられるため、出費を抑えつつ環境負荷を軽減できる。
一方で、App Store外のアプリ配布やサイドローディングにはセキュリティリスクが残る。Appleがこれまで築いてきた「安全を前提とした閉じた仕組み」が揺らぐ可能性もある。自由度が増す分、利用者が自己責任で判断する場面が増えることは間違いない。
まとめ
はむさんど.(@hamu_3nd)さんの投稿は、EUがAppleに求めてきた多岐にわたる要求を分かりやすくまとめたものだ。App Storeの解放やUSB-Cの義務化など、その内容は単なる技術的な変化にとどまらない。
これらの厳しい規制は、ユーザーにとって利便性の向上や環境負荷の軽減といったプラスの側面をもたらす一方で、サイドローディングなどによるセキュリティリスクの増加という課題も突きつけている。
EUの動きは欧州だけでなく世界全体に波及する可能性が高く、Appleの方針や製品設計を大きく変えていくだろう。この関係は、私たちユーザーのデジタルライフに直結しているため、今後もその動向から目が離せない。
EUがこれまでAppleに求めてきたこと pic.twitter.com/xs2en4sv1y
— はむさんど. (@hamu_3nd) August 19, 2025
※サムネイル画像(Image:「はむさんど.(@hamu_3nd)」さん提供)