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固定電話の『メタル回線撤廃』と『値上げ』が進む。老朽化する固定電話を今も使い続けるメリットとは?

固定電話の『メタル回線撤廃』と『値上げ』が進む。老朽化する固定電話を今も使い続けるメリットとは?1
(Image:Shutterstock.com)
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携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、役割を終えつつあるように見える固定電話。もっとも、固定電話は今なお多くの家庭や企業で利用され続けているのもまた事実ではあります。

そんな中、NTT東日本・西日本(以下、NTT東西)は、固定電話網のIP網への移行を進めており、それに伴い「メタル回線」の段階的な廃止と料金の値上げを発表しました。私たちの生活に身近な固定電話は、今後どうなっていくのでしょうか。

固定電話のメタル回線廃止とIP網への移行について

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(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

現在、多くの固定電話で利用されているのは、銅線を使った「メタル回線(PSTN:公衆交換電話網)」です。しかし、このメタル回線は設備の老朽化が進んでおり、維持が困難になってきています。そこでNTT東西は2026年度から段階的にメタル回線を廃止し、2035年をめどに、より高品質で安定した通信が可能な、光回線やモバイル回線を活用したサービスへと移行する方針を明らかにしています。

具体的にはメタル回線の廃止に伴い、NTT東西は代替サービスとして「光回線電話」「ワイヤレス固定電話」「ひかり電話」といったIP電話サービスを提供します。

避けられない値上げの波

「段階的にメタル回線を廃止する」とはいえ、「メタル回線を即時に全廃できる」わけではなく、インフラの維持にはコストがかかります。

住宅用の固定電話料金の値上げは、 ポジティブに捉えれば「月額のわずかな値上げにすぎない」のも事実ですが、この記事をお読みの方の中にも「今年に入ってから固定電話は数回しか使っていない」という方もいるのでは。利用機会が減り続けている固定電話の月額が上昇することに違和感を持つ方もいるのではないでしょうか。

固定電話は手放すべき?解約するとどの程度、お金が浮く?

固定電話は手放すべき?解約するとどの程度、お金が浮く?1
(画像は「ソフトバンク」公式サイトより引用)

現在のNTT加入電話の基本料金は、住宅用で月額1,595円から1,870円、事務用で月額2,530円から2,750円となっており、年間では19,140円から33,000円の固定費がかかります。2026年4月からの値上げ後は、住宅用で年額2,640円、事務用で年額3,960円の追加負担が発生することになります。

つまり、固定電話を解約することで年間約2万円~3万の節約が可能。特にほとんど固定電話を使用していない家庭では、解約による経済的メリットは非常に大きいと言えるでしょう。

ただし、長時間通話を頻繁に行う場合は注意が必要です。ひかり電話の場合、固定電話から固定電話への通話は3分8.8円、携帯電話への通話は1分17.6円となっています。従来のNTT加入電話の場合は、市内通話で3分約9.35円となっています。長時間通話が多い利用者の場合、固定電話を解約してスマートフォンでの通話に切り替えると、通話料金が大幅に高くなる可能性があります。

固定電話を手放す前に考えるべきデメリット

固定電話を手放すデメリットは、FAX機能付きの電話機の場合、FAXが使えなくなること、ハローページを利用した古くからの連絡が使いにくくなること、連絡先の変更が必要になることなどです。詳しく見ていきましょう。

FAXの利用が不便になる可能性がある

固定電話を解約する最大のデメリットの一つは、FAX機能が使用できなくなること。たとえば行政や不動産業界、卸売業、運輸・倉庫業などでは、インターネットFAXも含めて『FAX』が日常的に利用されており、業務効率の観点からも継続利用されています。加えて年配の方を中心に「メール・SNS・パソコン・スマートフォンを利用できない、あるいは苦手意識が極めて強い方」もまだまだ多いです。そうした方とのやり取りが必要な場合、FAXが貴重な通信手段となる場面も少なくありません。

ハローページ(2021年廃止済み)を利用した連絡が取りづらくなる

ハローページは2021年に廃止されましたが、過去に掲載されていた固定電話番号を通じて連絡を取ろうとする人もいまだにいます。高齢者などはハローページを電話帳代わりにして地域の人と電話をしているというケースもあるでしょう。固定電話を解約することで、こうした人からの連絡を受けることができなくなる可能性があります。

また、地域のコミュニティや同窓会などの連絡網においても、固定電話番号が重要な役割を果たしている場合があり、解約する場合はこれらのネットワークから孤立しないよう、代替手段を考えておく必要があります。

各種サービスの連絡先の変更が手間

固定電話を解約する際の実務的なデメリットとして、各種サービスに登録している連絡先の変更手続きがあります。クレジットカード、各種保険、銀行口座、公共料金など、多数の契約において固定電話番号を連絡先として登録している場合、これらすべての変更手続きが必要になります。

変更漏れがあると重要な連絡を受けられなくなる可能性もあるため、解約前に連絡先変更が必要なものをリストアップし、計画的に手続きを進める必要があります。

結局、固定電話を使い続ける価値はあるのか

先にも述べた通り、ハローページを利用した連絡やFAXの利用などにおいて「固定電話」の価値は明らか。さらに大規模な災害が発生した際にも、固定電話は活躍します。

携帯電話の場合、基地局が停電や物理的な損傷により機能が停止すると、通信が不安定になることがあります。一方、固定電話(特にアナログ回線)は、電話局から直接電力供給を受けているため、自宅が停電しても電話機自体が電源を必要としないタイプであれば、通話ができる可能性が高いという大きなメリットがあります。被災地における安否確認や緊急連絡において、固定電話の信頼性はいまだ健在なのです。

もっとも、被災地などにおける通信手段としては、衛星インターネットが台頭しているのもまた事実です。

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(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

たとえばSpaceX社により提供されている衛星通信サービス・スターリンク(Starlink)は、人工衛星によって通信を提供するため、地上に大規模設備を必要としないという特徴があります。地上のネットワークは設備の損傷や光回線の寸断が発生するとサービスが中断する恐れがありますが、衛星を活用するスターリンクは、このような物理的被害によるリスクが大幅に軽減されます。

実際に、2024年1月の能登半島地震では、スターリンクが被災地の通信復旧に大きく貢献しました。避難所にWi-Fiスポットを設置し、被災者が無料でインターネットに接続できるようにしたほか、通常よりも短期間で実用化でき、迅速かつ柔軟な復旧・復興に大きく貢献しました。機器の可搬性の高さも大きな利点で、従来なら光ケーブルの復旧を待つしかなかった場所でも、Starlinkを活用することで、対応をはじめたその日のうちに通信が回復したケースもあります。

総じて固定電話の価値が従来より相対的に薄れているのは間違いなく、料金が値上げされる固定電話の解約は多くの方にとって前向きに検討する価値があることでもあるでしょう。

・『おうちのでんわ』のような代替となる固定電話サービス
・『スターリンク』のような災害時にも強い代替の通信手段

上記のような代替のサービスを別途利用することもセットで検討すべきではありますが、それでも「固定電話は一家に一台必要なもの」とは言えなくなりつつあるのは間違いないでしょう。

※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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