
「+1」や「+44」から始まる見知らぬ番号からの着信でぎょっとした経験がある人も多いのではないでしょうか。
近年、国際電話番号を悪用した特殊詐欺や投資勧誘の電話が急増しています。「自分は引っかからない」と思っていても、末尾が「110」だったことから電話相手を警察官だと思い込み、詐欺の被害に遭ってしまった人も多くいます。
一方で、「仕事柄、知らない番号でも応答せざるを得ないが、国際電話は拒否したい」という方もいるでしょう。
実は、2025年12月1日のアップデートにより、警視庁が提供している防犯アプリ「デジポリス(Digi Police)」に、国際電話を一括でブロックする新機能が搭載されました。これまでキャリアごとの設定が必要だった国際電話の拒否が、アプリ一つで手軽に管理できるようになっています。

本記事では、「デジポリス」を使った最新の国際電話拒否設定の手順を、画像付きで分かりやすく解説します。
「デジポリス」とは? 2025年12月に新機能追加

「デジポリス(Digi Police)」は、警視庁が公式に提供している防犯アプリです。元々は痴漢撃退機能や地域の犯罪情報マップで知られていましたが、2025年12月1日のアップデートにより、「国際電話ブロックシステム」が実装されました。
この機能の最大の特徴は、「+(プラス)」から始まる国際電話番号をアプリ側で自動判別し、着信自体をシャットアウトできる点にあります。ただし、スマートフォンのOS(AndroidかiPhoneか)によって、機能に違いがあります。
Android版アプリでできること

Android版デジポリスでは、国際電話番号や「特殊詐欺犯行利用電話番号」からの着信・発信をブロックし、ブロックした番号の着信履歴を自動で削除する機能が利用できます。
また、電話帳に登録された連絡先をブロック対象から外す設定も用意されており、「知らない海外番号だけを自動で拒否し、取引先など登録済みの番号は通す」という運用が可能です。
iPhone版アプリでできること

iPhone版ではOSの仕様上、国際電話全般をまとめてブロックすることはできませんが、警察が把握している「特殊詐欺犯行利用電話番号」からの着信を自動でブロックし、履歴上に「デジポリス:詐欺電話の可能性あり!」と表示する機能が利用可能です。
また、iOS標準の「不明な発信者を消音」と組み合わせることで、連絡先に登録していない番号からの着信音を鳴らさず、詐欺電話に出てしまうリスクを減らす運用が推奨されています。
なぜ「国際電話の一括拒否」が特殊詐欺対策になるのか
「自分は詐欺になんて引っかからない」と思っていても、着信があるだけでリスクは発生しています。なぜ今、国際電話対策が急務なのでしょうか。
増加する国際電話型の特殊詐欺の手口
警察庁の発表によると、令和6年中に特殊詐欺に利用された被疑者の電話番号は、前年から4万1,317件増え、8万2,540件にのぼりました。このうち国際電話番号は、前年から3万4,926件増えた4万8,754件でした。
つまり、犯行に利用された電話番号の約6割が国際電話番号だったことになります。
国際電話番号、たとえば「+1」(アメリカ・カナダ)、「+44」(イギリス)、「+800」(国際フリーフォン)といった番号からかかってきても、犯人は海外にいるとは限りません。アプリを使って日本のどこかから発信していても、表示上は国際電話になる仕組みを悪用しているケースが多いとされています。
自動音声で「未納料金があります」と流したり、中国語のアナウンスが流れる手口も横行しており、一度でも応答してしまうと「生きている番号」としてリスト化され、さらに電話が殺到する悪循環に陥ります。
着信自体を遮断するメリット
国際電話や犯行利用電話番号からの着信通知自体を遮断すれば、誤って電話に出たり、折り返し電話をかけて高額な通話料や詐欺被害につながるリスクを大きく減らせます。
「内容が分からないまま取ってしまった電話が結果的に国際電話詐欺だった」よりも、そもそもそのリスクを最初から除外した方がいいでしょう。
【Android編】国際電話を「一括拒否」する設定手順
Androidスマホのデジポリスアプリで国際電話を一括拒否する方法をご紹介します。

【1】アプリ右上の①赤い電話番号ボタンをタップします。【2】ポップアップを下にスクロールし、②「上記に同意する」にチェックを入れたら③「次へ」をタップ。【3】④「着信ブロック」のスライドボタンをオンにし、⑤「デジポリス」を選び、⑥「デフォルトに設定」をタップしたら完了です。
先述したように、Androidスマホでは他にも「発信ブロック」、「着信履歴を削除」、「連絡先をブロック対象から外す」といった機能を設定することができます。
「着信履歴を削除」、「連絡先をブロック対象から外す」は設定時にそれぞれ通話履歴、連絡先をアプリの権限として許可する必要があります。
【iPhone編】「迷惑電話」を自動判別してブロックする設定手順
iPhoneでは、警察が把握した番号からの着信を自動ブロックすることができます。設定方法は以下の通り。

【1】アプリ右上の①赤い電話番号ボタンをタップします。【2】ポップアップを下にスクロールし、②「上記に同意する」にチェックを入れ、③「次へ」をタップ。【3】④次のポップアップでも同じ手順で同意し、次へ進みます。

【4】⑤スライドボタンをオンにすると、設定画面に移行します。【5】⑥スライドボタンをオンにします。【6】アプリに戻ると、⑦「犯行電話ブロック」がオンになっています。
万が一のために知っておきたい注意点
「デジポリス」利用時の注意点をご紹介します。
海外出張や家族が海外にいる場合
「国際電話一括ブロック」は、当然ながら必要な国際電話も遮断してしまいます。
海外出張中や、海外赴任中の同僚・家族から電話がかかってくる可能性がある期間は、一時的にデジポリスのブロック設定をOFFにすることを忘れないでください。
Android版では「連絡先に登録されている番号はブロックしない」という例外設定が可能な場合があるため、設定画面の「除外リスト」も確認しておきましょう。
すでに使っている迷惑電話ブロックアプリがある場合
ドコモ・au・ソフトバンクなどのキャリア提供アプリや、他社製の迷惑電話ブロックアプリを利用している場合、Androidでは「どのアプリを標準の通話アプリ/着信IDアプリにするか」の設定が競合する場合があります。
どのアプリの判定を優先するかはOS側の挙動に依存するため、もし動作が不安定なら、信頼できる「デジポリス(警視庁公式)」一本に絞ってしまうのもおすすめです。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています





