音楽や動画配信、食事の宅配などサブスクサービスは便利な反面「解約したいのにできない」「解約したつもりが料金が引き落とされ続けていた」というトラブルも増加傾向にあります。
たとえば近年は加入はウェブでできるものの、解約は「電話のみ」と定めているサービスもあります。なおかつそのコールセンターに電話が繋がらないことで「解約したいのに解約できない」事例も発生しています。
こうしたサブスクはいわゆるダークパターンに該当するとも考えられ、利用者側にとっては登録時にそもそも注意が求められます。
このような事態を防ぐため、サービス登録前に確認すべき重要なポイントについてご説明します。
【1】無料トライアルや初回割引の条件
まずは登録時に無料トライアルや初回割引の条件を確認しましょう。
たとえば国民生活センターには「利用していないにもかかわらず代金を請求された」「登録したメールアドレスもわからず、解約できない」といった相談が多数寄せられているとのこと。
国民生活センターは申し込み前に契約条件をよく確認すること、解約する場合は公式ホームページで手続き方法を確認することなどを呼びかけています。
ちなみに「利用していないにもかかわらず代金を請求された」場合、無料トライアルに登録後、解約を忘れて有料課金に移行しているケースが多いです。そのため登録時に「トライアル期間は何日間か」を確認することが大切です。
また特にサプリメントなど食品関連のサブスクの場合、トライアル期間には「初回割引」が提供されることがあります。そして「初回限定」「初回無料」で申し込みを受け付けているサブスクには、初回のみでの解約時に違約金が発生する場合があります。
そうした明記を見逃し、サブスクに登録して即時に解約すると違約金の対象になったり、思うように解約できない場合もあるため、気をつけましょう。
【2】解約方法が明示されているか
サービスを契約する前に、解約方法が明確に示されているかどうかを確認することも大切です。たとえば前述の通り、サプリメントのサブスクなどには「初回のみ」での解約に違約金を設けている場合もあります。
また「解約手続きは電話のみ」などとして、解約のハードルを大きく高めている事業者も存在します。
なお、実はサブスクにおいて、解約に必要な情報と解約料の算定根拠を消費者に提供することは、特商法において事業者の努力義務に過ぎません。つまり「解約に必要な情報」や「解約料」などの明記を行わない場合でも、具体的な罰則が設けられていないことを意味します。
そのため、悪質な事業者の中には解約方法の明記を行わない企業もあります。つまり契約前に先んじて解約のことも見据え、解約方法を調べておくことの重要性は高いです。
【3】そのサブスクが「特定継続的役務提供」に該当するか
「電話でしか解約ができないが、電話が繋がらない」「事業者に問い合わせても連絡が取れない」など悪質なサブスクに対しては、クーリング・オフを行うのも1つの手です。
しかし特商法では基本的にクーリング・オフの対象を「訪問販売」「電話勧誘販売」などと定めており、昨今のサブスクにはこれらが当てはまりません。
そこで注目されるのが、クーリング・オフの対象としての「特定継続的役務提供」。「特定継続的役務提供」は特定商取引法で定められた取引形態の一つで、長期・継続的な役務の提供と高額の対価を約する取引です。
該当する具体的なサービスは以下の7種類で、クーリング・オフの対象になります。
・エステティック
・美容医療
・語学教室
・家庭教師
・学習塾
・結婚相手紹介サービス
・パソコン教室
クーリング・オフには「8日以内」「連鎖販売取引(マルチ商法)は20日以内」という決まりがあるため、先に述べた7種のいずれかに加入した場合は基本的に8日以内にサービス品質や「信頼できる事業者か否か」を見極め、解約すべきと判断した場合はクーリング・オフを行うと良いでしょう。
【4】最終確認画面の表記や記載内容
2023年6月1日に施行された改正特定商取引法で、EC事業者は注文の最終確認画面で各契約事項を簡単に最終確認できるよう定められました。ここで誤認を与える表示があった場合、消費者は取消権を行使できる場合があるので、解約に不安がある場合は最終確認画面をスクリーンショットしておくといった対策がおすすめ。
不安がある場合はそのサービスのサポートもしくは消費者ホットラインである「188」に相談しましょう。
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