1965年から1980年生まれのX世代(2025年時点で45歳~60歳)は、仕事をまっとうしつつも子どもと親のケアを並行して行うなど、多忙を極める人が多いと考えられる。そんな板挟み状態のX世代の実態を探るべく、世界各国の市場調査を行うミンテルジャパンのレポート「X世代へのマーケティング – 日本 – 2025年」を見てみよう。
X世代の男性 既婚者の7割が“経済的余裕あり” だが「教育費」優先で自分は後回し?

調査は2024年11月、X世代のインターネットユーザーを対象に実施された。その中の男性500人のうち、「経済的に余裕がある」と回答した人の構成比は、既婚者が約7割を占めた。
次に、毎月自由に使える金額を見たところ、既婚者の比率が最も多かったのは「3万円未満」で、金額が上がるにつれ、その比率がゆるやかに低下。一方、その他の男性は「5万円以上」で多く見られた。この結果から、男性既婚者は経済的にゆとりがあっても、自分のために使うお金を比較的抑えていることがわかった。

世代別の優先的な出費を見てみると、X世代は「家での飲食」が最も高く、回答者の半数以上を占めた。若い世代と比べて優先度が低かったのは、「服・アクセサリー」「美容・お手入れ」といった自分の見た目に関する項目で、また、他の世代と比べて「旅行」の優先度が最も低かった。
代わりに「子への教育費」は優先度が高く、子育て真っ盛りのミレニアム世代に迫る勢いだった。高学歴化に伴い、子を持つ親は長期にわたり教育費にお金をかけているようだ。
X世代は我が子のみならず親のサポートも 日常的なサポートや送迎がメイン

X世代の親・義親に対する支援内容として、上位から「買い物の手助け」「家事の手助け」「病院の送迎」「デジタル機器やデジタルサービスの手助け」となり、日常的なサポートをしている人が多かった。一方、親の介護費や住宅ローンの支払いを代行している人はほとんどおらず、金銭的な援助は少ない傾向に。
同居別で見ると、親と同居しているX世代は買い物や家事のサポートを4割以上が行っていた。また、2割以上が病院の送迎やデジタル関連のサポートのほか、親の健康のために「外出させる」と回答。親の困りごとを減らすために、また長く健康でいてもらえるようにと、さまざまなサポートを行っていることが明らかになった。

これまでの調査結果から、X世代は子や親のサポート、仕事などで忙しく、自分のためにあまりお金や時間を使えないことが明らかになった。この傾向は日本のみならず、ドイツやアメリカといった西欧にも当てはまるという。
ドイツ在住のX世代に調査した「時間が足りないと感じる活動」(左上の図)として、18歳未満の子と同居する人は「リラックスする」「十分な睡眠をとる」の項目で特に時間が足りないと感じているようだ。掃除、食事、日用品の買い物などの割合が比較的低かったのは、自分のくつろぐ時間を後回しにして、家族や家庭のことを優先して行動している人が多いからだと推察される。
働き盛りとはいえ、多重の負担が続くと心身ともに疲弊してしまう。X世代のサポート体制も考えていく必要があるだろう。
出典:【ミンテルジャパン】
※サムネイル画像(Image:「photoAC」より)