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新幹線も乗り放題の「JR PASS」って何? お得なの? 誰が使える?

「JR PASS(ジャパン・レール・パス)」はJR北海道からJR九州まで、新幹線を含むJRの鉄道とバスが乗り放題となる特別企画乗車券です。でも、これって本当にお得なのでしょうか? そもそも誰が購入できるのでしょうか?

JR PASSは訪日外国人観光客向けの乗り放題乗車券!

JR PASS(ジャパン・レール・パス)は、日本のJR6社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州)が共同で提供している特別企画乗車券。JR PASSにはグリーン車用と普通車用の2種類があり、利用期間には7日間、14日間、21日間の3種類があります。

JR PASSを利用できるのは海外からの短期滞在者、いわゆる“訪日外国人観光客”のみとなっていますが、実は、海外に連続して10年以上住んでいる日本人も利用可能となっています。

●ジャパン・レール・パス(公式)は→こちら

JR PASSの購入方法は、ジャパン・レール・パス公式サイトから購入するのが一般的で、以前は国外販売と国内販売で価格差がありましたが、2023年10月以降は価格が統一されました。グリーン車用(おとな)の場合は7日間で7万円、14日間で11万円、21日間で14万円。普通車用(おとな)は7日間で5万円、14日間で8万円、21日間で10万円となっています。

また、6歳以上12歳未満はこども料金となり、上記の乗車券がすべて半額で購入できます。

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こちらがJR PASSの価格表。日本に訪れた外国人観光客が、旅行期間などを考慮して選べるのがいいですね(表はジャパン・レール・パス公式サイトを基に筆者作成)
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JR PASSの利用範囲はJRグループ全線ですが、東京モノレールや青い森鉄道、IRいしかわ鉄道など、JR以外の一部路線でも利用可能(一部利用条件あり)。また、乗車可能な新幹線は東海道・山陽・九州新幹線の「のぞみ」号・「みずほ」号以外となっており、グリーン車用ならグリーン車にも乗車することができます。

とはいえ、東海道・山陽・九州新幹線の「のぞみ」号・「みずほ」は、JAPAN RAIL PASS専用の特別なきっぷを購入することで乗車可能となっています。

もちろん、JR PASSは特急列車も利用可能ですが、グリーン個室や普通個室、寝台車については追加料金が必要。さらに、JRバス会社の各ローカル線やJR西日本宮島フェリーなども利用できるので、かなり広範囲に日本の観光地を楽しむことができるんですね。

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こちらがJR PASSで利用可能な路線図。細かな制約などはありますが、日本全国のJR全路線やバスなどで利用可能です(画像はジャパン・レール・パス公式サイトより引用)

JR PASSが2023年に大幅値上がりして利用者が激減した!?

実は、JR PASSは1981年から訪日外国人観光客向けに販売されている歴史ある乗車券で、とても好評でした。しかし、2023年10月1日に大幅な価格改定が行われたため、お得感がかなり失われたようです。

実際に、FAST TRAIN JAPAN合同会社がTokyo CheapoとJapan Cheapoのユーザー1万1,431人に対し、Webサイト上で「JR PASSはお得だと思いますか?」というアンケート調査を実施したところ、なんと「Yes」が40%、「No」が60%。つまり、半数以上のユーザーが「お得ではない」と感じているという結果になったのです(調査期間:2024年5月15日~6月19日、457人回答)。

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訪日外国人に「JR PASSはお得だと思いますか?」と訪ねたところ、なんと60%が「お得ではない」と回答しました(画像はFAST TRAIN JAPAN合同会社プレスリリースより引用)

実際、2023年10月の料金改定により、Tokyo(Japan) CheapoでのJR PASSの販売数は、2023年4月と料金改定後の2024年4月を比較すると90%以上も減少しているといいます。

それもそのはず、普通車用7日間パスはJR指定販売店・代理店(国外販売・改定前)の価格が2万9,650円だったのに対し、23年10月以降は5万円に値上げ。グリーン車用7日間パスもJR指定販売店・代理店(国外販売・改定前)の価格が3万9,600円だったのに対し、23年10月以降は7万円に値上げされているのです。

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こちらがJR PASSの値上げ前と現在の価格比較表です。23年10月の値上げ幅がとても大きいことが分かるかと思います(Wikipediaを参考に編集部で制作)

実際に値上げ後のJR PASSはお得じゃない!?

値上げ後のJR PASSは普通車用7日間(おとな)で5万円となってしまいました。つまり、1日あたり7,150円以上JRの鉄道などに乗車しないと元が取れません。これは営業キロに換算すると、1日あたり430kmも乗車することになります。

実際にJR PASSを利用して東京から新幹線で静岡、京都、大阪、広島、博多を移動し、各駅で1日観光した場合で考えてみましょう。

JR PASSの普通車用7日間(おとな)料金は5万円ですが、通常の新幹線料金で各駅で降りて博多まで行くと3万6,000円ほどで済みます。つまり、JR PASSのほうが1万4,000円ほど損をしてしまう計算になるんですね。というわけで、日本の鉄道にたっぷり乗りたい海外の鉄道マニアでもない限り、なかなかJR PASSで元を取るのは難しいかもしれません。

ただし、JR PASSには“JR PASSは簡単に元が取れないから損”とまでは言い切れない利便性の高さがあります。まず、列車に乗るにはSuicaなどの交通系ICカードを利用するのが便利ですが、Suicaでは近距離移動しかできません。

次に、都市間を結ぶ長距離移動となると“わざわざ乗車券を購入する”手間がかかります。とくに、最近JRではみどりの窓口が縮小され、乗車券を購入するには長い列に並ぶことになり、大変時間がかかってしまいます。

しかし、JR PASSを持っていればこの乗車券購入の手間を省けるので、利便性を考えると必ずしも損だとは言い切れないでしょう。

実際に値上げ後のJR Passはお得じゃない!?
JR PASSの最大の魅力は乗車券購入の手間を減らせることにあります。現在、JRのみどりの窓口が縮小された影響もあり、乗車券を購入するには長時間列に並ぶことになりますが、JR PASSならこの時間を節約できます(Image:Kapi Ng / Shutterstock.com)

まとめ

いかがでしょうか?  今回は訪日外国人観光客をターゲットとしたJRの乗り放題乗車券「JR PASS」を紹介しました。23年10月の大幅値上げによって、JR PASSの魅力がかなり失われてしまったのは仕方ありませんが、日本のJR路線をがっつり堪能したい海外の鉄オタや、毎回のきっぷ購入に並ぶ手間を考えると、実は絶妙な価格設定なのかもしれませんね。

※サムネイル画像は(Image:FAST TRAIN JAPAN合同会社プレスリリースより引用)

西澤浩一

アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

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