列車で通勤している人が利用している「通勤定期券」は、名称に“通勤”と付いていますが休日などにプライベートで使っても大丈夫ですよね。それなのに、どうして通勤定期券という名称になっているのでしょうか?
そもそも、定期券にはどんなものがあるのか?

JRが販売している定期券には、学生が通学で利用する「通学定期券」と、会社員などが通勤で利用する「通勤定期券」がありますよね。
ほかにも、現在では「オフピーク定期券」「グリーン定期券」「新幹線通勤定期券」「新幹線通学定期券」などもあります。
もちろん、通学定期券は学校が発行する「通学証明書」または「通学定期券購入兼用証明書」がないと購入できませんが、通勤定期券のほうはとくに身分証明書の提出などは必要なく、誰でも購入できます。
実は通勤定期券は“通勤”とあるものの、その用途に制限はありません。したがって、通勤定期券は休日にプライベートで使ってもとくに問題はないのです。
それにしても、通勤定期券は通勤以外でも使えるのに、どうして「通勤定期券」という名前になっているのでしょうか? その理由を探るには国鉄時代まで遡ってみる必要があります。
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国鉄時代の「普通定期券」が廃止されて残ったのが「通勤定期券」!
実は、国鉄時代には通学定期券と通勤定期券以外に「普通定期券」というものも販売されていました。
この頃、通勤定期券を購入するには勤務先が発行する身分証明書の提示が必要で、普通定期券は通勤定期券よりも割高になっていたのです。
しかし、日本が高度経済成長期に入り、通勤定期券の需要が増えて手続きが膨大になってきたこともあり、1966年3月には通勤定期券を身分証明書なしで誰でも購入できるようになりました。それと同時に普通定期券は廃止されたのです。
つまり、現在の通勤定期券はかつての普通定期券の代わりとして、通勤以外で利用できる定期券として残っているんですね。

まとめ
いかがでしょうか? JRの「通勤定期券」に今でも“通勤”と付いているのは、実は国鉄時代の名残だったんですね。
ちなみに、定期券の名称が切り替わったとき、なぜ普通定期券という名称にしなかったのかについては諸説あります。
一説には、当時は普通定期券の料金が高かったので、料金が安い通勤定期券のほうを残したのではないかと言われています。