鉄道を利用していると、駅名標にアルファベットや数字が表記されているのに気が付くと思います。これは「駅ナンバリング」と呼ばれるものですが、これっていったい何を意味しているのでしょうか?
「駅ナンバリング」があれば旅行者でも簡単に目的の駅を識別できる!
ここ数年で、急激に外国人観光客が増えてきました。日本語の分からない外国人にとって、漢字やカタカナ、ひらがなで表記された駅名は、まったく読めません。
また、その地域に馴染みがないと、日本人観光客であっても駅名を間違えてしまうこともあるでしょう。
そこで、駅名標にアルファベットと数字で「駅ナンバリング」を付けて、確実にその駅であることが識別できるようにしてあるんですね。
たとえば、新宿駅への行き方に迷っている外国人観光客には下手に「Shinjuku Station」というよりも、「JY17(山手線の17番目の駅)」と言ったほうが伝わるかもしれません。
この駅ナンバリングの先駆けは、1984年に長崎電気軌道が導入した“番号入り駅名標”。地下鉄では2002年「FIFAワールドカップ 日韓大会」が行われた際に、横浜市営地下鉄が導入しました。
首都圏では2016年10月から「2020年東京オリンピック・パラリンピック」の開催に合わせて、JR東日本でも導入しています。
駅ナンバリングは、路線を表したアルファベットの「路線記号」と2桁の数字の「駅番号」を組み合わせていますが、JR東日本では、すでに東海道線や山手線など全16路線が対応しているのです。
ちなみに、首都圏でもっとも数字の大きい路線は中央快速・青梅線・五日市線で、JR武蔵五日市駅は「JC86」となっていますよ。
●JR東日本「都圏エリアへ「駅ナンバリング」を導入します」は→こちら(PDF)


駅ナンバリングのアルファベットって逆に分かりにくくない?
駅ナンバリングのアルファベット(路線記号)は路線名に由来するものが多く、初めて見ても何となく想像できる場合があります。
首都圏のJR東日本路線のアルファベットは「J」から始まり、2文字目に路線名由来のアルファベットが来ています。山手線なら「JY」、東海道線なら「JT」、南部線なら「JN」となるので、この法則が当てはまるものはあまり違和感がありません。
しかし、鶴見線が「JI」、横須賀線・総武線快速が「JO」、埼京線が「JA」だったりして、ちょっと連想しづらい組み合わせもあります。

ちなみに、全国的に見ると重複する路線記号があったりします。「横浜市営地下鉄ブルーライン」「JR西日本湖西線」「近鉄京都線」は、いずれも同じ「B」を使っているんですね。
駅ナンバリングの唯一の問題点は、複数の路線が乗り入れている駅の場合、駅ナンバリングが路線分存在すること。つまり、同じ駅名なのに違う駅ナンバリングが多数存在するのです。
たとえば、多数の路線が乗り入れている池袋駅は英字3文字の「スリーレターコード」は「IKB」となっていますが、駅ナンバリングは下記のように複数存在します。
■池袋駅(IKB)の駅ナンバリング例
・JA12(JR埼京線)
・JY13(JR山手線)
・JS21(JR湘南新宿ライン)
・M25(東京メトロ・丸の内線)
・Y09(東京メトロ・有楽町線)
・F09(東京メトロ・副都心線)
・SI01(西武鉄道・池袋線)
・TJ01(東武鉄道・東上線)
この駅ナンバリングがすべて“池袋駅”を示していると言われても首都圏在住者には逆にピンとこないでしょうが、東京の路線に詳しくない旅行者であれば、この駅ナンバリングを確認することで、何線の池袋駅なのか間違えないで済みますね。

まとめ
いかがでしょうか? 通勤電車などで何となく見ていた駅名標の駅ナンバリングですが、実は、日本語の分からない外国人やその地域に詳しくない旅行者向けに、アルファベットや数字で駅名を表していたんですね。
ちなみに、新幹線の駅には駅ナンバリングがありません。その理由は定かではありませんが、新幹線に併設されている在来線のほうには駅ナンバリングがあるので、新幹線を利用した際には駅名標を確認してみてください。
