Yahoo!天気・災害アプリの「現在地表示」が生んだ笑いと違和感

スマホの位置情報は便利であると同時に、時に妙な表示で私たちを戸惑わせることがある。2024年7月、X(旧Twitter)に投稿されたあるひと言が、多くの共感と笑いを呼んだ。
投稿主は朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さん。そのつぶやきは実にシンプルだった。
「琵琶湖のど真ん中で投稿してるやつは何」
この投稿にはYahoo!天気・災害アプリのスクリーンショットが添えられており、“現在地”のピンが琵琶湖の中央に立っていた。天気を調べようとアプリを開いたら、自分の居場所がなぜか湖上にある。そんな予想外の表示に対しての、突っ込みにも似た投稿である。

もちろん、朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さんがボートに乗っていたわけではない。ただ日常的に使っているアプリが、突如として“ありえない場所”を指し示したことへの戸惑いと面白さが、140文字にぎゅっと詰まっていた。
この投稿は瞬く間に拡散され、多くのユーザーが「あるある」と共感。コメント欄では「水の上を歩くやつがいる」「ヌシがスマホ持ってる」などのユーモアあふれる反応が寄せられ、大きな反響を呼んだ。
スマホの「現在地」は案外あやふや
Yahoo!天気・災害アプリが示す“中心点”の謎
ではなぜ、朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さんの現在地が琵琶湖のど真ん中に表示されたのか。実はこうした“ズレ”は、スマホのGPSやアプリの仕様上、ごく自然に起こりうる現象である。
スマートフォンのGPSは年々精度が向上しているが、屋内や山間部、水辺など、電波の届きにくい場所では正確な位置情報を取得しづらい。するとアプリ側は、地域内の「代表地点」や「中心点」にピンを立てて表示することがある。
Yahoo!天気・災害アプリでは、GPSだけでなく市町村名や広域地名を基にして位置を特定する仕組みが用いられている。このため、たとえば「滋賀県」や「近江地方」などのおおまかな範囲しか認識されていないと、その“中心”として琵琶湖の中央が選ばれる可能性がある。
さらに、スマホ側のGPS設定がオフになっていたり、通信状況が不安定だったりすると、前回取得した位置情報や、Wi-Fiや基地局の情報を基にしたおおまかな場所が使われることもある。その結果、ユーザーの実際の居場所とは全く異なる地点が“現在地”として表示されるのだ。
朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さんの投稿がきっかけで、多くの人が「自分にもあった」と過去の“現在地ズレ”体験を語り出したのも印象的だった。誰にでも起こり得る、ちょっとしたテクノロジーの誤差が、SNSでは笑いのタネになる。
ちょっと不正確なスマホが、日常を面白くする
朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さんの投稿には、多くのコメントが寄せられた。
「ヌシが投稿してる説」
「水上歩行してるのかと思った」
「コイキングがスマホ持ってる世界線」
「昔ポケモンGOでも琵琶湖中央に飛ばされた記憶ある」
「地球の中心点、そこ説」
技術的にはただの誤差、あるいは仕様通りの表示である。だが人々はそこに想像力を持ち込み、「もしかしたら本当に湖の真ん中に誰かが…」という空想や、ちょっとしたユーモアに昇華させてしまう。SNSとは、そういう遊び心の集積でもある。
スマートフォンはますます正確になっていくが、完璧な技術だけでは心が動かない。むしろこうした“ちょっとズレている”瞬間に、私たちは親しみを感じ、笑い、語り合う。それがデジタル時代の「余白」であり、面白さなのだ。
琵琶湖のど真ん中から発信された現在地表示。それは誰かのGPSの誤作動か、あるいはアプリの仕様か。しかし、確かなのは、その一瞬が多くの人に「あるある」と笑顔を届けたということだ。
そしてそのきっかけをくれたのは、日常のひとコマを見逃さず、ひと言で切り取った朱鷺(とき)(@tokiy_0904)さんの投稿力にほかならない。
琵琶湖のど真ん中で投稿してるやつは何 pic.twitter.com/KO0rvSPigG
— 朱鷺(とき) (@tokiy_0904) July 13, 2025
※サムネイル画像(Image:「朱鷺(とき)(@tokiy_0904)」さん提供)