共働き世帯が増えるとともに、家事・育児も夫婦で分担するものという意識が広がっている。しかし実際のところ、この分担がなかなかうまくいっていない家庭も多いと話題になる。Job総研は、「2025年 共働き意識調査」を実施。果たして共働き=平等は進んでいるのか、その調査結果を見ていきましょう。

共働きの見えざる格差は「あると思う派」83.1%で大多数

Job総研は、2025年8月1日~7日、JobQ Townに登録している社会人男女442人を対象に「2025年 共働き意識調査」を実施。
共働きによる見えざる格差の有無を尋ねると、全体で「ある派」は83.1%と大多数を占めました。その内容は「やって当然の空気感がある」43.2%、「一方が無意識に家事を行う」41.4%、「一方が諸々の調整を引き受ける」32.6%という結果に。

家事分担の役割について尋ねると、「男性が多く担うのは違和感がある」と回答した人が69.4%、「女性が多く担うのは仕方ないと思う」と回答したのが56.6%でした。女性が多く担うのは仕方ないという考えに対し「理想的ではないが実際多い」39.1%や、「社会ではその傾向が強い」35.5%といった声が多数を占め、家庭でのマネジメント責任が女性に偏る風潮がいまだ根強いことがうかがえます。
収入差で家事育児の分担を変えることに「賛成派」60.2%で過半数を占める

収入の差で家事分担を変えることへの賛否を尋ねると、「賛成派」が60.2%に及ぶ。男女別では、男性の賛成派が64.9%で最多となり、女性は51.6%でした。

賛成の理由として「稼ぐほうが仕事に集中したほうがいい」「効率よく家庭を回せる」「時間・体力差での分担が合理的」といった声がある一方、反対派の意見は、「責任は収入関係なく共有」「収入差での分担は不満が出る」「両者が両立意識を持つべき」といった声が挙がりました。
共働きによるキャリアへの影響、女性は「ある」73.9%

共働きによって自身のキャリア選択に影響があるかを尋ねると、影響があると回答したのは男性で64.1%、女性で73.9%に上りました。具体的には「場所や時間に制約を感じる」「転職・異動・昇進に慎重になる」「相手のはたらき方を意識する」など。
共働き=男女平等が進んでいるかと尋ねると、47.3%の人が「男女平等は進んでいない」と回答。これに対して女性から「共働きだが、子どもの面倒、家庭と仕事を両立するためにも仕事を半分諦め、転職した」「姑から仕事を辞めろと言われパート勤務に。キャリアを捨てなければいけなかったことが辛かった」といったコメントが寄せられた。男性からは「女性の出産を考えると、どうしても仕事に関われない期間が生じるので完全な平等は難しいと思う」「平等であるべきという考えは現実的に難しい。家庭ごとの正解があるという考えが浸透するといい」などのコメントが挙がりました。
共働きが増えた昨今でも家事育児は女性がするものといった固定観念が根強く残っていることや、表面化していないジェンダーギャップが、いまだに存在していることが浮き彫りになりました。形式的な平等ではなく、背景にある意識や構造の偏りに目を向けて、個々の家庭で柔軟な合意を形成することが大切かもしれません。
出典:【Job総研】
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