以前、「『青梅駅』と『青海駅』を間違えた! 」なんて話がSNSでバズったことがありましたが、日本にはそれどころではない、もっと間違えやすい駅名や誤認しそうな駅名が多くあります。そこで今回は、間違えやすい、あるいは誤認されやすい駅名を10例紹介しましょう。

【1】野球が見られる“甲子園”はどっち?
関西以外の人が間違えやすいのが「阪神甲子園球場」の最寄り駅。野球が観戦できるのは「甲子園口駅」と「甲子園駅」のどちらでしょうか?
答えは、阪神電気鉄道の「甲子園駅」です。甲子園球場が阪神タイガースの本拠地なので、冷静に考えると阪神電気鉄道が最寄りなのは想像できるかと思います。
ちなみに「甲子園口駅」はJR西日本の駅で、甲子園球場から2.5キロも離れています。頑張れば歩けなくもない距離ですが、初めて「阪神甲子園球場」に行く際は注意が必要です。

【2】これなんて読むの!?「鷺ノ宮駅」と「鷲宮駅」
地元の人なら当たり前に読める駅名でも、初めての人だと何て読んでいいのか分からない駅名もありますよね。
たとえば、「鷺ノ宮駅」と「鷲宮駅」は何と読めばいいのか分かりますか? この駅名を初めて見た人は、漢字が難しく瞬時に読み方が分からないこともあるでしょう。
答えは、まず「鷺ノ宮駅」が東京都中野区にある西武鉄道「さぎのみや駅」、次に「鷲宮駅」は埼玉県久喜市にある東武鉄道「わしのみや駅」になります。
この2駅は場所も路線もまったく違うので、間違えることもないと思いますが、地方から来た人で駅名がうろ覚えだったときは“ワシだっけ? サギだっけ?”と迷うことがあるかもしれません。
ちなみに、『らき☆すた』の聖地として知られているのは、東武鉄道「鷲宮駅(わしのみやえき)」のほうですよ。

【3】首都圏の“ムサコ”ってどの駅なの?
首都圏の住みやすい町として、最近“ムサコ”が取り上げられることがありますが、実は「ムサコ」と略される駅は3つもあるのをご存じでしょうか?
それは、JR東日本・東急電鉄の「武蔵小杉駅」、東急電鉄の「武蔵小山駅」、JR東日本の「武蔵小金井駅」の3駅です。
「武蔵小山駅」は東京都品川区にあり、「武蔵小金井駅」は東京都小金井市にありますが、「武蔵小杉駅」は多摩川を渡った神奈川県の川崎市にあります。
したがって、会話で“ムサコ”が出てきた場合、首都圏在住者でも、どの駅を指しているのか、すぐに判別するのが難しいのです。

【4】大阪府にある「福島駅」
大阪市福島区には「福島駅」があります。関西圏に住む人にとっては何の違和感もないと思いますが、東北地域に住む人にとって「福島駅」といえば、やはり福島県福島市のほうを連想するでしょう。
実は、「福」という漢字は縁起がいいので、地名によく使われており、日本中に“福島”がつく駅名がたくさんあるのです。
たとえば、群馬県の上信電鉄「上州福島駅」、広島県の広島電鉄「福島町駅」、佐賀県の松浦鉄道「福島口駅」、宮崎県のJR九州「福島今町駅」などがあります。これを機会に、全国の“福島”駅を探してみてはいかがでしょうか?

【5】福岡県にはない「福岡駅」はどこにある?
先ほど紹介したように、県名のつく駅名が異なる地域にあるのは、けっこう紛らわしいと思いますが、「福岡駅」もそのひとつです。
そもそも福岡県に「福岡駅」はなく、ターミナル駅はJR九州の「博多駅」になります。それでは、福岡駅はいったいどこにあるのでしょうか?
その答えは「富山県のあいの風とやま鉄道」。北陸新幹線開業前はJR西日本の駅で、その頃から「福岡駅」でした。過去には、JRの自動券売機で博多駅と間違えて「福岡駅」と入力してしまい、意図しないきっぷが発券されたという逸話も残っています。
ちなみに、「南福岡駅」は福岡県(JR九州)にありますが、「上福岡駅」は埼玉県ふじみ野市(東武東上線)にあります。こちらもちょっとややこしいですね。

【6】実は「祇園駅」は京都にはない!
“祇園”といえば京都市東山区にある観光地・花街を思い浮かべる人が多いでしょう。でも、京都に「祇園駅」はなく、祇園駅は千葉県と福岡県にあるのです。
そもそも、“祇園”という言葉には「祇園社」という神社周辺の地名として使われることがあるため、京都以外にも祇園とつく場所がたくさんあります。
まず、千葉県にあるJR東日本「祇園駅」は木更津市祇園にある久留里線の駅。地名が祇園なのでそのまま駅名となりました。
次に、福岡県にある福岡市地下鉄「祇園駅」は、駅近くにある櫛田神社に奉納される“博多祇園山笠”が由来。以前は「博多旧市街口駅」という駅名でしたが、2022年2月14日に改名されています。ちなみに、現在でも「博多旧市街口駅」が副駅名として表記されています。

【7】隣り合う京都・大阪・奈良にそれぞれある「九条駅」
同じ駅名でも、離れた地域にあれば間違える可能性は低いですが、近隣に同じ名前の駅があるとしたら混乱しますよね。
その代表格が「九条駅」。京都府、大阪府、奈良県にそれぞれ九条駅があります。距離的には40キロほど離れていますが、ほかの地域からきた観光客にとっては注意が必要になるでしょう。
駅名の由来は、京都と奈良は過去に都があったため、通りの名前が由来となっています。また、大阪はかつて“衢壌島(くじょうじま)”と呼ばれていましたが、洪水の際に九条家の漂流物が流れ着いたため“九条”となった、という伝承があります。

【8】富士山が遠すぎる「富士山下駅」
日本の象徴ともいえる霊峰「富士山」。でも、「富士山下駅」は、富士山から遠く離れた群馬県桐生市の上毛電気鉄道上毛線にあります。
実はこの「富士山下駅」は“ふじやましたえき”と読み、富士山とはまったく関係ありません。駅の近くに富士山(ふじやま)があり、その下にあることが「富士山下駅」の由来となっているのです。
読み方が違うのでローマ字表記の欧米人は間違えませんが、逆に、漢字文化圏の外国人旅行者が間違える場合もあるんだとか……。

【9】地元民しか分からない!?「北◯条駅」「西◯丁目駅」
碁盤の目のように区画整理された街では、住所に1条、2条といった数字が使われることがありますが、その地名を駅名にしてしまうと、地元民にしか分からない旅行者泣かせの駅名が誕生します。
その代表例が北海道の札幌市営地下鉄。「北12条駅」「北13条東駅」「北18条駅」「北24条駅」「北34条駅」「西11丁目駅」「西18丁目駅」「西28丁目駅」など、数字だらけの駅名になっているんですね。
さらに、札幌市電を加えると「西4丁目駅」「西8丁目駅」「西15丁目駅」「西線6条」「西線11条」「西線14条」「西線16条」「西線9条旭山公園通駅」などもあってまさにカオス状態に……。
外の風景が見られる市電はまだしも、地下鉄は難易度が高めです。もう少し旅行者に優しい駅名だとありがたいですね。

【10】増え続ける「県庁前駅」
最後は現在進行形で増え続ける駅名「県庁前駅」。2025年12月現在では全国に7駅もあります。
採用されているのは、千葉県千葉都市モノレール、富山県富山地鉄、兵庫県神戸市営地下鉄、広島県アストラムライン、愛媛県伊予鉄道、高知県とさでん交通、沖縄県ゆいレールの7カ所。JRに県庁前駅は存在せず、主に私鉄や三セク路線で使われています。
さすがに、旅行者でも遠く離れた地域の県庁前駅と間違えることはないでしょうが、今後も地方鉄道の開業によってさらに増える可能性があります。
なお、似たような駅名に「市役所前駅」もありますが、こちらは「〇〇市」と市の名前が駅名につくので間違えることはないでしょう。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は、間違えやすい駅名や誤認されそうな駅名をまとめて紹介しました。
日本には9,000以上もの駅がありますので、どうしても似たような名前の駅や同じ駅名になってしまう場合もあります。
しかし、安易にネットで駅名を検索すると、とんでもない場所を案内されてしまう可能性もありますので、鉄道を利用する際は目的地の最寄り駅をしっかり確認しておきましょう。
※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より)




