楽天モバイル、au、ソフトバンク、ドコモの4大携帯キャリアが自社で提供している銀行・証券サービスの利用状況に注目が集まっている。ICT市場調査コンサルティングを手がけるＭＭ総研が、各社の利用状況を調査し、その結果を発表した。各社のクロスユース率を見ていこう。
楽天モバイルユーザーによる「楽天銀行」の利用がトップ
ICT市場調査コンサルティングのＭＭ総研は、15～79歳の携帯キャリア4社を利用している男女2万6,979人を対象にWebアンケート調査を行い、銀行口座、証券口座の利用状況について確認した。
※携帯電話利用者が、契約先の携帯キャリアが提供する各種サービスを「最も利用している」と回答した比率（以下クロスユース率）を指標とする
携帯キャリアとメインで利用している銀行サービスの利用状況を見ていくと、楽天モバイルユーザーによる「楽天銀行」の利用が23.1％に達し、「地方銀行」19.4％や「ゆうちょ銀行」15.3％を大きく上回る結果となった。モバイル契約者が銀行口座開設時のポイント付与キャンペーンや、本人確認を簡素化できる「ワンクリック申し込み」により、楽天グループ内でのサービス利用促進につながっているとみられる。
一方、ドコモユーザーは「地方銀行」が最も多く、次いで「ゆうちょ銀行」「三菱UFJ銀行」と続いた。ソフトバンクユーザーでは「地方銀行」が首位、続いて「ゆうちょ銀行」「三菱UFJ銀行」。auユーザーも「地方銀行」が1位で、「ゆうちょ銀行」「三菱UFJ銀行」が続いた。「auじぶん銀行」は上位5行に入らなかったが、「au PAY」や「マネ活プラン」による金融連携の強化で、利用率は上昇傾向にあり、今後のクロスユース率拡大が期待される。
証券サービスのクロスユース率でも「楽天」がトップ
次に携帯キャリアと証券会社の利用状況を見ると、楽天モバイルユーザーによる「楽天証券」の利用が24.5％で1位に、2位「SBI証券」11.4％、3位「野村証券」3.9％となった。楽天グループはモバイル契約者向けに証券口座開設やNISA同時開設でポイントを付与するキャンペーンを継続しており、強固なグループ内シナジーによってトップシェアを維持しているとみられる。
一方で、「SBI証券」はどのキャリアでも上位にランクイン。手数料無料化の効果がキャリアを問わず浸透しており、メガバンク系証券から個人投資家を取り込んでいると見られる。auユーザーでは1位に「楽天証券」、2位「SBI証券」、3位「野村証券」が続く。2025年2月に社名変更した「三菱UFJ eスマート証券」は5位にランクインし、グループ内でのクロスユースは限定的ではあるが、auじぶん銀行やPontaポイントとの連携施策により、徐々に存在感を高めている。
大和証券やSMBC日興証券も依然として全キャリアで上位に位置しており、対面型サービスや信頼感による安定的な支持が高い結果となった。
今後は、単なるサービス連携にとどまらず、キャリアごとの経済圏戦略がユーザーの金融行動をどう変えるかに注目が集まりそうだ。
出典:【ＭＭ総研】
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