経済産業省によると、2024年の国内のキャッシュレス決済比率は42.8%と初めて4割を超え、将来的には80%まで引き上げを目指しているという。実際に、どのような支払いシーンでキャッシュレス決済が利用されているのかについて、TISが調査を行った。日常生活や冠婚葬祭などシーンによって、現金かキャッシュレスか支払い方法が分かれることが明らかになった。

シーンで分かれた令和の決済方法

TISは、2025年9月10日~11日、キャッシュレス決済を利用したことがある15歳~69歳の男女600人を対象に、全30の支払いシーンにおけるキャッシュレスと現金の利用実態・利用意向について調査を実施。
キャッシュレスか現金か、どのような支払いシーンで使い分けているのか尋ねたところ、コンビニやスーパー、ドラッグストアで日用品を購入するときや、電車やバス、高速道路などの移動時、公共料金の支払いにおいてもキャッシュレス決済を選択する人が多いよう。店舗や設備にキャッシュレス決済システムが導入されていれば、ブランド品の購入、飲食店、自動販売機、コインパーキング、タクシー、病院などの支払いでもキャッシュレスを利用したいという意向が確認された。
一方、現金での支払いシーンには、結婚式のご祝儀や葬儀の香典、お小遣いの授受、祈祷料、お賽銭など伝統的な慣習によるものが多かった。
キャッシュレス利用は、移動時の支払いで需要が高い

キャッシュレス決済が使えるのであればどのようなシーンで利用したいのか「利用意向」をランキングで見ていくと、1位が「高速道路の通行料を支払うとき」83.5%、2位「電車やバスで乗車料を支払うとき」82.8%と、交通手段へのキャッシュレス利用意向が上位を占めた。スムーズな移動に対するキャッシュレスの需要の高さがうかがえる。また、10位に「病院やクリニックで診察料を支払うとき」がランクインしており、現状は現金のみの場所でも、キャッシュレスが使える環境であれば利用したいという意向が明らかになった。

次に現金の利用意向をランキングで見ると、1位は「葬儀の香典を渡すとき」68.7%、2位は「結婚式のご祝儀を渡すとき」67.2%となり、神社のお賽銭やお年玉、募金などでも、キャッシュレスが使える場合でも現金を選ぶ人が多いという結果になった。
特に「結婚式のご祝儀を渡すとき」を世代別に見ると、60代が85.0%で最も多く、20代や30代でも約半数が現金派だった。理由としては「伝統的な慣習だから」という声が多い。
儀礼的な場では効率性よりも慣習を重んじる傾向が強く、今後その慣習が変化すれば、これらのシーンでもキャッシュレス化が進む可能性がある。
出典:【TISインテックグループ】
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