せっかく、10Gbpsの超高速なネットサービスに加入したのに、ネット速度が期待していたより遅いことってありませんか？ もしかするとそれは、古いLANケーブルを使っているのが原因かもしれません。LANケーブルはどれも見た目が同じですが、実は、規格の違いでネットの速度も大きく異なるんです！
LANケーブルは“カテゴリ”で最大通信速度や伝送帯域が大きく異なる！
以前、一般的な家庭のインターネット回線は、光回線で100Mbps〜1Gbps程度でしたが、2022年9月にはNTTがマンション向け10Gbpsの高速光回線サービス「フレッツ 光クロス」を開始してからは、10Gbpsのネット回線を利用できる家やマンションも増えてきました。
しかし、せっかく高速な光回線サービスを契約しても、LANケーブルが古い規格のままだと、本来の通信速度が出ないことがあるんですね。
そもそも、LANケーブルは米国の「TIA/EIA/ANSI」が策定した「カテゴリ（CAT）」規格で分類されており、このカテゴリによって通信速度や周波数などが異なっています。
現在、LANケーブルの規格は「CAT.5」〜「CAT.8」までありますが、基本的にカテゴリの数字が大きいほど新しい規格で、通信速度が速くなり伝送帯域も広くなります。
なお、伝送帯域の幅が広いと伝送できるデータ量が大きく通信が快適になりますが、これは道路の車線の多さで比較されることがあります。たとえば、CAT.5eの伝送帯域は100MHz（1車線）ですが、CAT.6Aであれば5倍の500MHz（5車線）になるとイメージすれば分かりやすいかもしれません。
何しろ、LANケーブルは見た目が同じなので、カテゴリを判別しにくいのですが、たとえば、1Gbps（1,000M）の光回線サービスを利用している場合に、最大100Mbpsの古いCAT.5のLANケーブルを使ってしまうと、本来の速度が出ないことがあります。
もし、自宅に光回線を導入して新たにLANケーブルを買うときは、とりあえず10Gbpsに対応している「CAT.6A」以上のものを買っておきましょう。これなら、最大10Gbpsの光回線サービスでも対応できます。
ただし、カテゴリ（CAT）の性能はケーブルが100mでの場合での性能を保証するものであり、ケーブルが100mを超えると信号が減衰してしまいます。
逆にケーブルが短いと、実効速度が改善されることもあります。たとえば、規格上最大通信速度が1GbpsのCAT.6であっても、ケーブルが短い場合は10Gbpsに対応できることもあるようです。
なお、現状では40Gbps対応の「CAT.8」はかなりオーバースペックになります。もちろん、最大10Gbpsの光回線の環境でCAT.8のLANケーブルを使っても、10Gbps以上の速度が出ることはありません。
LANケーブルのカテゴリをどうやって調べればいいの？
筆者の自宅にはいつ買ったか分からない古いLANケーブルが何本もありますが、見た目はどれも同じで困ります。
しかし、LANケーブルをよく見てみるとカテゴリを見分けることは可能です。まずは「CAT」表記。LANケーブルには細かい文字で刻印がありますが、ここにカテゴリを示す「CAT」が表示されているのです。
もし、LANケーブルのカテゴリが「CAT.5」なら最大100Mbpsまでですので、1Gbpsの光回線サービスを利用している環境では、本来の速度が出ない可能性が高いでしょう。
次に、「CAT」のカテゴリの表記が見当たらなくてもケーブルに刻印された「配線規格名」を見ればカテゴリを判断できる場合もあります。
どうしても、LANケーブルのカテゴリが確認できない場合は、転送速度が遅くなる可能性があります。LANケーブルはそれほど高いものではないので、この際、新しいLANケーブル（CAT.6A以上）に買い替えたほうが安心でしょう。
覚えておきたいLANケーブルの特性
ここまでの説明で、LANケーブルのカテゴリについてはご理解いただけたと思いますが、LANケーブルを購入するときはほかにも注意したい部分があります。
まず、LANケーブルの形状には大きく分けて「スタンダード」「スリム」「フラット」の3タイプがあり、用途によって選択肢が異なるのです。
まず、オススメなのが一般的な丸形のスタンダードタイプ。とくに意図がなければこれを選んでおけばいいでしょう。
次に、ケーブルが細くて曲げやすいのがスリムタイプ。持ち運びにも便利ですが、通信の安定性はやや低くなってしまいます。
そして、平べったいフラットタイプは、カーペットの下やドアの隙間などに配線するためのものです。ただし、ノイズに弱いので長距離では使わないようにしましょう。
LANケーブルが長いと、どうしても信号が減衰したりノイズの影響を受けることがあります。もちろん、取り回しも大変ですし、ムダに長いケーブルを買わず適切な長さのものを購入するのがコツ。
また、LANケーブル内部の構造にも注意が必要です。まず、「単線」は内部の銅線が太く安定した通信が可能ですが、ケーブルが太く硬くなってしまうので取り回しがよくありません。
これに対し「より線」はケーブルの内部に細い銅線を束ねた構造になっています。ケーブルが軟らかいので取り回しやすいのですが、やや安定性は落ちてしまいます。
もし、10m以上の長いLANケーブルを買うなら「単線」、短いLANケーブルを買う場合は「より線」のほうがいいでしょう。
最後に、LANケーブルは「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」という2種類があります。
パソコンとパソコン、ハブとハブなどをつなぐときはクロスケーブルを使いますが、現在では自動認識されるので、基本的にはストレートケーブルを買っておけば問題ありません。
まとめ
いかがでしょうか？ 今回はLANケーブルのカテゴリについて解説しました。せっかく10Gbpsの光回線サービスに加入したのに「どうも通信速度が遅いな〜」と感じた場合は、LANケーブルを疑ってみてください。
もし、古いカテゴリのものであった場合は、LANケーブルを新しいものに交換することで、通信速度がグッと上がる可能性があります。
※文中の価格はすべて税込みです。
※価格は2025年6月23日現在のものです。商品が品切れになったり価格が変更されることがあります。
