数年前は都市部を中心に拡大していた「5G」ですが、近ごろは地方を含め、全国的に使えるエリアが増加しました。この記事をお読みの方の中にも、比較的最近になってから4G回線ではなく5G回線を使い始めた方もいるのでは? しかし、いざ4G回線から5Gに切り替えても「思ったような速度が出ない」場合もありませんか。
実際、筆者も4Gから5Gに切り替えたものの、なぜか5Gに切り替えた後の方が下りの通信速度が遅くなってしまいました。これには5Gのいくつかの特性が絡んでいる場合があります。この記事では、5Gの通信速度が遅くなる主な理由を4つ解説していきます。
【1】5Gで使用されるミリ波の電波特性
まずは5Gで使用されるミリ波の特性として「障害物に弱い」ことが挙げられます。加えてミリ波対応のスマホが市場にまだまだ浸透していないことも挙げられます。
まず5Gの通信技術には、ミリ波、Sub6、NR化という3つの主要な周波数帯があり、使い分けがされています。
・ミリ波:周波数帯:28.3-29.1GHz。超高速・大容量通信が可能だが、通信範囲が狭く、障害物に弱い。
・Sub6:周波数帯:3.7GHz帯と4.5GHz帯。ミリ波より広い範囲をカバーし、障害物の影響を受けにくい
・NR化:4G LTEで使用している周波数帯を5Gでも利用する技術。速度は4Gとほぼ同等で、大幅な速度向上は見込めない。
最も高速なのはミリ波ですが、ハイエンド機種などを除き、ミリ波対応のスマホは数少ないのが現状です。2024年12月には、こうした状況を踏まえ、総務省がミリ波対応スマホの割引施策を開始しました。
2025年1月現在、5GではSub6もしくはNR化が主流の通信技術といえます。
なお、筆者の場合、4Gと5Gの速度比較をミリ波非対応のスマホで行いました。そのため、5G本来のポテンシャルを十分に引き出せず、速度の違いを実感できませんでした。
【2】5Gインフラの未整備
5Gの通信速度を最大限に引き出すには、密度の高い基地局ネットワークが必要です。しかし、現時点では多くの地域で5Gインフラが十分に整備されていないため、通信速度が期待値に達しないことがあります。特に地方や都市部でも一部のエリアでは、5Gのカバレッジが不十分で、4Gに切り替わることもあります。
たとえば5G対応エリアとそうでないエリアの境目では、普通に5Gを利用している場合でもいつの間にか4Gに切り替わってしまっていることも多いです。
もっともここ数年で5G対応エリアは地方も含め、急速に拡大しています。こうした問題は5Gインフラの整備が進むにつれ、時間の経過とともに少しずつ安定に向かう可能性も大きいです。
【3】スマホ料金プランに基づく速度制限の対象
5Gを利用していても、契約している料金プランやその設定によって、通信速度に制限がかかる場合があります。
たとえばmineoの場合、「データ容量節約機能」があり、最大速度が200kbpsになる代わりにパケット消費が発生しません。
つまりmineoユーザーの場合、mineoスイッチをONにしていると5Gを利用していても速度制限も適用され、通信速度の向上という恩恵はゼロ。いくら5Gであっても速度は遅いままです。
このように契約しているキャリアや格安SIMの設定によっても、速度は遅くなりがちなため設定や契約内容の内訳を細かく見直すこともおすすめします。
【4】低電力モードやバッテリーセーバーを有効にしている
多くのスマホには、バッテリーの消費を抑えるための「低電力モード」や「バッテリーセーバー」といった機能がありますが、これをオンにすると、バッテリーの消費を抑えるために5G通信を4Gに切り替えたり、通信速度を意図的に落としたりする場合があります。高速通信を優先する場合は、これらの省電力機能をオフにしておきましょう。
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