従来の4G回線や3G回線に比べ、5Gは通信速度が大きく向上しています。つまり「5G回線」で「テザリング」を行えば、固定回線でのネット利用に相当する速度での通信が実現する可能性すらあります。
一方で実際に5G回線でのテザリングを行うと、思うような速度が出ないことも多いのでは?
実は5Gでのテザリングで安定した速度ないしは期待した速度が出ない場合、テザリング方法を「USBテザリング」に変えることで速度が改善する場合があります。具体的に見ていきましょう。
「固定回線の代わり」として期待される5G回線でのテザリング
「Wi-Fi費用を節約したい」「光回線ほどの早さはいらない」といった方から注目が集まっているのが「5G回線でテザリングし、固定回線の代替にする」という通信手段です。
4Gに比べて5Gでの通信は高速化していることに加え、データ通信無制限のプランがキャリアから登場していることも「5Gテザリングが固定回線の代わりになるのでは?」と期待が高まっている要因です。
たとえば楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は月額3,168円(税込)で、データ通信無制限の利用が可能です。Rakuten最強プランは5Gに対応しており、テザリングの利用にも特に制限はありません。
つまりRakuten最強プランを契約したうえで、5G回線でテザリングすればパソコンでも5G回線でインターネットの利用ができます。光回線ほどの速度が不要であれば、固定回線を解約することで節約をしつつ、ある程度快適な速度で通信が引き続き実現できます。
5Gスマホで使える主なテザリングの種類
一方で本当に固定回線を解約し、5Gでのテザリングをメインで使うならば「テザリングの種類」にも気を配ることが大切です。
一般的に利用する機会が多い「Wi-Fiテザリング」では、期待したほどの速度が出ないことが多かったり、バッテリー消費が激しいことも多いためです。
なお、5G対応スマートフォンで利用できるテザリングには、主に3種類あります。
・「Wi-Fiテザリング」:スマートフォンをWi-Fiルーターのように使用する方法
・「Bluetoothテザリング」:Bluetooth接続を介してインターネットを共有する方法。
・「USBテザリング」:USBケーブルでスマートフォンとパソコンを直接接続する方法。
この3通りの中で、唯一PCと端末を直接繋ぐのが「USBテザリング」です。そのためWi-FiテザリングやBluetoothテザリングが安定しない場合は、USBテザリングを試す価値があります。
5G回線のテザリングは「意外に高速ではない」?
では5G回線でのテザリングは、接続方法によってどれくらい速度が変わるのでしょうか?
まずはWi-Fiテザリングで、5G回線のテザリングを行ってみました。ちなみに筆者の自宅の光回線の速度は下りが「290Mbps」です。
スマホの5G回線を利用したWi-Fiテザリングで、PCで接続を行い、速度計測を行った結果は「29Mbps」。「そこそこの品質での通信」ではあるものの、5G回線でのテザリングが固定回線の代わりになり得るというレベルでの通信ではないという感覚もあります。
USBテザリングのススメ
そこで、スマホとPCをUSBケーブルで繋いでUSBテザリングを試してみました。結果は47Mbpsとなり、Wi-Fiテザリングの「29Mbps」よりも速度が改善しました。
47Mbpsという速度は、オンライン会議などでも基本的にはカクつくこともない速度です。仕事をするには十分でしょう。
また高画質な動画の視聴でも、40Mbps以上があれば遅延やカクツキはあまり気になりません。ちなみに20Mbpsを下回ると遅延やカクツキが目立ちだします。
なおUSBテザリングでは端末の充電とテザリングを両立できるというメリットもあります。バッテリーの消費が気になりづらい点も嬉しい点です。
USBテザリングはなぜ高速?
USBテザリングが高速である理由は、その接続方式にあります。USBテザリングでは、スマートフォンとパソコンが直接接続されるため、通信の遅延が最小限に抑えられ、結果として高速な通信が実現できます。
ただしUSBテザリングにもいくつかの注意点があります。まずケーブルは充電専用のものではなく、データ通信対応のものを選ぶようにしてください。データ通信対応のケーブルではない場合、あくまでそのケーブルでできることは「充電」のみです。
またUSBケーブルは玉石混合です。100円ショップなどで販売されているケーブルは、ものによっては品質が低く、思うような速度が出ないことがあります。できれば正規品を使いましょう。
また余談ですが、USBテザリングで思うような速度が出ない場合はイーサネットテザリングを試すのも一案です。
1.スマートフォンに有線LANアダプターを取り付ける
2.Wi-FiルーターのWANポートに接続
3.スマホでイーサネットテザリングをONにする
といった手順で接続が可能です。こちらはいっそう強固な有線テザリングが実現できる可能性があるため、5Gスマホのテザリング高速化を徹底したい場合はぜひチャレンジしてみることもおすすめします。
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