2020年3月から日本国内で利用できるようになった5Gサービス。高速・大容量通信、低遅延、多数接続が可能という特徴から、利用者は拡大を続けている。だが、今の4Gで不便していない、5G対応のスマホにまだ移行していない、料金が高くなりそうという不安などから、利用するかどうか様子見をしている人もいるだろう。そんな中、モバイル社会研究所が2025年1月に実施した携帯電話の回線利用状況についての調査によれば、日本国内の5G利用率が初めて50%を超え、全体の52%に達したことが明らかになった。利用拡大の背景とは?

現在、5Gが最も利用されている回線に

日本全国の携帯電話を持つ15~79歳を対象に、「利用している回線の種類をすべてお答えください」と複数回答形式で調査を実施し、2018年からの変化を集計した。その結果、5Gは2021年の調査開始以降、毎年11~14ポイントのペースで増加し、2025年にはついに過半数の52%が「5Gを利用している」と回答。さらにこの結果は、「4G LTE」や「Wi-Fi」の利用率を初めて上回り、5Gが最も利用されている回線となった。日本における次世代通信インフラの定着を反映しているといえる。一方で、「自分が利用している回線の種類がわからない」と答えた人の割合も減少を続けており、2025年には10%にまで低下していることも読み取れた。これは、消費者の通信サービスに対する理解や関心の高まりを示す傾向として注目したいところだ。
60歳未満のすべての年代で利用率が50%を超える

2025年の5G利用状況を性年代別に集計した内容からは、5Gの普及には世代や性別による差も表れていることが判明した。調査によると、5Gの利用率が最も高かったのは「15〜19歳の男性」で67%。女性では「20〜30代」が最も高く、58%に達した。若年層の新技術への関心度が高いことや、端末への乗り換えに対し抵抗感が少なく、フットワークの軽さが伺える。一方で、年齢が上がるにつれて5G利用率は下がる傾向も見て取れ、高齢層では使い慣れている従来回線を利用し続けるケースが多いようだ。本記事冒頭で触れたような様子見層や必要としていない層が多く、若者と比べて通信環境に対する優先度や利用スタイルの違いが背景にあると考えられる。とはいえ、男性・女性ともに60歳未満のすべての年代で半数以上が5Gを利用しているという結果は、5Gが着実に生活の一部として定着し始めている。おそらく今後もさらに広がるだろう。
全ての人にとって5Gが必要なものであるとは言えないが、身近な通信が少しずつ変わっていく今、使っている回線が「なんとなく遅い」や「もう少しスムーズに」と感じた瞬間があるなら、5Gを考えるいいタイミングかもしれない。
出典:【モバイル社会研究所】
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