iPhone/Androidスマホやキャッシュレス決済、SNS、アプリに関する情報サイト スマホライフPLUS
スマホライフPLUS > スマホニュース > スマホの「タッチペン」利用は時代遅れ?ペン搭載機種が減っている理由
New

スマホの「タッチペン」利用は時代遅れ?ペン搭載機種が減っている理由

スマホの「タッチペン」利用は時代遅れ?ペン搭載機種が減っている理由1
(画像はスマホライフPLUS編集部撮影)
この記事の画像(5枚)

かつて、PDA(携帯情報端末)や初期のスマホにおいて、タッチペンは主要な入力デバイスとして独自の地位を築いていました。また、2010年代に登場したSamsungのGalaxy Noteシリーズは、「ペンで操作するスマートフォン」という独自のカテゴリーを切り開いたと言えるでしょう。

しかし、2025年の現在、スマートフォン市場を見渡すと、ペンを本体に内蔵したモデルは減少し、選択肢はごくわずかです。たとえば筆者はSamsung Galaxy S25 Ultraを所有していますが、ペンの用途はそれほど多くありません。また、筆者の周囲でも「ペン内蔵スマホを利用している人」は見かけません

では、スマホでのタッチペン利用はすでに「時代遅れ」となってしまったのでしょうか?

タッチペンの栄枯盛衰

タッチペンが登場したPDAの時代からiPhoneの登場までを見てみましょう。

PDAの時代

PDAの時代1
(Image:Shutterstock.com)

PDA型端末は1990年代から2000年代初頭にかけて、すでにインターネットやメール、スケジュール管理などの機能を搭載していました。PDAを手掛ける代表的な企業の一例はNokiaであり、たとえば携帯電話とPDA、そしてQWERTYキーボードが一体となった「Nokia Communicator」シリーズは今日のスマホの前身のような存在です。

PDAの時代2
(画像は「シャープ」公式サイトより引用)

またスタイラスペンを搭載するPalm OSや、ペンによる手書き文字認識に対応する『ザウルス』も人気でした。

ちなみに、PDAや初期のタッチスクリーンデバイスで主流だったのは「抵抗膜(感圧)方式」と呼ばれる技術でした。これは、画面に加えられた物理的な圧力を検知して位置を特定する仕組みです。この方式の画面は、指先のような面積の広いもので操作すると、圧力が分散してしまい、正確な位置を特定するのが困難でした。そのため、先端の尖ったプラスチック製の棒、すなわち「スタイラス」が、文字入力やアイコンのタップといった精密な操作に重宝する「相棒」だったのです。

iPhoneの登場

iPhoneの登場1
(画像は「Apple」公式サイトより引用)

タッチペンの歴史における最大の転換点は、2007年の初代iPhoneの登場です。Appleが採用した「静電容量方式」タッチパネルは、人間の指が持つ微弱な静電気に反応する仕組みであり、指先で軽く触れるだけで直感的な操作を可能にしました。

スタイラスペンだけでなく、2000年代に人気を博した『BlackBerry』シリーズが搭載するQWERTYキーボードも排する大胆な設計は革命的なものでした。

これにより、物理的な圧力を必要とする抵抗膜方式とその相棒であったスタイラスは、急速に時代遅れのイメージをまとっていくことになります。

もっとも、iPhoneの登場後、タッチペンは「廃れるばかりだった」わけでもありません。たとえば、2011年にSamsungが発表した「Galaxy Note」と、それに付属する「Sペン」などは一定の支持を得たのも事実です。とはいえ2025年現在、ペン内蔵のスマホは少なく、やはり衰退傾向にあるのも間違いないでしょう。

なぜペン搭載機種は減少している?

iPhoneの登場1
(画像は「Galaxy」公式サイトより引用)

ペン内蔵スマホ市場の動向は明るいものとは言えません。たとえばSamsungは2022年にGalaxy Noteブランドの正式な終了が明らかになり、その役割とDNAは、フラッグシップであるSシリーズの最上位モデル「Ultra」に統合されました。

同ブランドが終焉を迎えた理由の一つは、Galaxy Noteシリーズが切り開いた「大画面」という特徴が、もはや特別なものではなくなった点にあります。スマートフォン全体のトレンドとして画面サイズが大型化し、Noteシリーズの優位性は相対的に薄れていきました。

加えて以下のような理由で、ペン搭載スマホに経営資源を集約させることが「合理的」とは言えなくなりつつあるのも事実です。

設計上の制約とコスト

2000年代と比較し、今日のスマホは一層「生活のインフラ」としての役割を強めています。そのためユーザーニーズは「より大容量のバッテリー」「より高性能なチップ」なおかつ「コストパフォーマンスの高さ」へと集約される傾向も強まっています。

一方、スマホの設計上の制約は年々強まっているとも言えます。

ペンを収納するためのスロット(格納部分)を確保することは、他の重要な部品を搭載するスペースを犠牲にすることを意味します。たとえば、そのスペースがあれば、より大容量のバッテリーを搭載して駆動時間を延ばしたり、より高性能なカメラモジュールやセンサーを組み込んで撮影品質を向上させたり、あるいは効率的な冷却システムを配置して高負荷時のパフォーマンスを安定させることが可能になります。

限定的なユーザー層のニーズ

スマホは老若男女を問わず広く浸透し、その一般的な用途はメッセージングアプリでのコミュニケーション、SNSの閲覧、動画視聴、ウェブ検索などライトなものです。一方で、タッチペンを積極的に活用するユーザー層は、より専門的なニーズを持つ人々に限定されます。たとえば、イラストレーターやデザイナー、講義や会議の内容を頻繁に手書きでメモするビジネスパーソンや学生などです。市場全体から見れば、これはニッチな需要と言わざるを得ません。

多くのユーザーにとって、ペンは「あれば便利かもしれないが、なくても困らない」存在であり、そのために追加コストを支払うことには消極的です。

結果として「ペン搭載機種」の市場ではSamsungが孤軍奮闘していた一方、他の主要スマートフォンメーカー(Apple、Xiaomi、OPPOなど)は、ペン「内蔵」型のスマートフォン市場へ本格的に参入することに終始慎重な姿勢を貫いてきました。各メーカーは、ペンを内蔵することで得られるメリットよりも、開発コストや価格上昇によって失う競争力の方が大きいと判断したと言えるでしょう。

タッチペンは本当に不要か?

ペン内蔵スマートフォンの減少は、タッチペンという技術そのものが時代遅れになったことを意味するのでしょうか。答えは「ノー」です。「スマホのタッチペン」が衰退することは、タッチペンそのものの価値の低下を意味しません。

現在のタッチペンは、特に「クリエイティブ」「ビジネス」「教育」の3つの分野でその価値を大いに発揮し、ペーパーレス化や生産性向上に貢献しています。

特に教育分野での需要は顕著です。デジタル教科書への書き込みや、ノートアプリでの学習記録など、GIGAスクール構想以降、教育現場でのICT活用が進む中で、スタイラスペンの重要性は増しています。

同様にビジネスの場面やクリエイティブの場面でも、タッチペンは重用され続けています。PDF資料への書き込みや、クリエイティブな現場における写真のレタッチなどにペンは有用だからです。

つまり、ユーザーは「スマートフォンにペンが内蔵されていること」にはこだわらなくなりましたが、「タブレットや2-in-1 PCと組み合わせて、アクセサリーとしてペンを使う」というスタイルは、むしろ広く受け入れられ、定着しつつあるのです。ペンは「スマホの付属品」という立場から、クリエイティビティと生産性を高めるための「独立した専門デバイス」へと、その立ち位置を変化させたと言えるでしょう。

タッチペンは「時代遅れ」になったのではありません。誰にでも必要な「汎用品」から、特定の分野で輝きを放つ「専門家」へと成熟したと言えるのかもしれません。

スマホライフPLUS編集部

スマホライフPLUS編集部

スマホライフPLUSは、スマホやデジタルサービスを活用するための情報を提供するITメディアです。
iPhone・Androidの便利な使い方、SNSの活用術、キャッシュレス決済、ネット銀行、金融アプリなど、日常生活に役立つテクニックやお得な情報を紹介・レビューしています。スマホが欠かせない時代に、より賢く活用するためのヒントを独自の視点から発信しています。

スマホの「タッチペン」利用は時代遅れ?ペン搭載機種が減っている理由のページです。スマホライフPLUSは、【スマホタッチペンスマホiPhone】の最新ニュースをいち早くお届けします。