
あなたも”検索して終わり”になっていませんか?
最近、GoogleやBingで何かを調べたとき、検索結果の一番上にAIが作った「まとめ」が表示されることが増えていませんか。「ああ、なるほど」とその要約を読んだだけで、どのサイトも開かずにブラウザを閉じる――。心当たりがある方は多いはずです。
NTTドコモのモバイル社会研究所が2025年11月に行った調査で、まさにこの行動が数字で裏付けられました。生成AIを使っている人のうち、実に64%が「AI要約だけで満足してリンクを開かないことがある」と回答したのです。
この「ゼロクリック検索」と呼ばれる行動は、一見すると便利で時短になる良いことのように思えます。しかし、本当にそれで大丈夫なのでしょうか?
そもそも「ゼロクリック検索」とは何なのか

ゼロクリック検索とは、検索エンジンの結果画面に表示される情報だけで調べものを完結させ、どのWebサイトにもアクセスしない行動のことです。
以前から、天気予報や有名人の年齢といったシンプルな情報はGoogle検索の画面上に直接表示されていました。しかし、最近はGoogleの「AIによる概要(AI Overview)」やBingの「Copilot」など、AIが複数のサイトの情報をまとめて要約してくれる機能が標準搭載されるようになりました。
これにより、「おすすめのスマホは?」「確定申告のやり方は?」といった、以前なら複数のサイトを見比べていたような質問でも、AIの要約を読むだけで「分かった気」になれる時代になったわけです。
今回の調査結果をもう少し詳しく見ると、興味深い傾向が浮かび上がります。

特に10〜20代の女性と50〜70代の女性は、「ほとんどやめる」「よくやめる」を合わせた割合が約4割と、他の層よりゼロクリック傾向が強いという結果が出ています。若い世代は”タイパ(タイムパフォーマンス)重視”、シニア世代は”複数サイトを比較する手間を避けたい”という、異なる動機が背景にありそうです。


便利だけど怖い、ゼロクリック検索の「3つのリスク」
もちろん、忙しい日常でサッと答えが分かるのはありがたいことです。ただし、筆者はこの傾向にいくつかの危うさを感じています。
リスク1:AIの要約が「正しい」とは限らない
AIは複数の情報源をもとに要約を生成しますが、その元情報が古かったり、誤っていたりするケースは珍しくありません。たとえば、制度改正前の税率や、すでに終了したキャンペーン情報がそのまま要約に反映されることがあります。サイトを開いて日付や出典を確認していれば気づけるミスも、要約だけでは見抜けません。
リスク2:「答えだけ知ればいい」思考の加速
今回の調査では、「問題の答えがなぜそうなるかを理解するよりも、単純に答えだけ知っている方がよい」と考える人ほど、ゼロクリック検索をする傾向が強いことも分かっています。
スマホの料金プラン選びを例に考えてみてください。AIが「〇〇プランがおすすめです」と出したとして、なぜそれがおすすめなのか、自分の使い方に本当に合っているのかを理解しないまま契約してしまえば、結果的に損をする可能性があります。「答えだけ」で動くことのコストは、意外と大きいのです。
リスク3:「確認もAIに任せていい」という過信
さらに注目すべきデータがあります。「AIが作った文章の確認作業もAIに任せてよい」と考えている人ほど、ゼロクリック検索を行う傾向が強かったのです。これは、いわばAIの答え合わせをAIにさせている状態です。人間の目によるチェックがどこにも入らないまま、情報を鵜呑みにしてしまうリスクがあります。
筆者が実践している「AI要約との付き合い方」
とはいえ、「AIの要約を一切見るな」というのは現実的ではありません。筆者自身も日常的にAI要約を活用しています。大切なのは、使い分けです。
AI要約だけでOKな場面(例)
今日の天気、スポーツの試合結果、単語の意味など、事実が一つしかないもの
軽い興味で調べただけで、判断や行動につながらないもの
必ず元のサイトも確認すべき場面(例)
お金が絡む判断(料金プラン、保険、投資、ふるさと納税など)
健康や医療に関する情報
手続きの締め切りや条件が関わるもの(制度変更、届け出など)
仕事や学業の提出物に使う情報
判断の目安はシンプルで、「この情報が間違っていたら困るか?」と自分に問いかけるだけです。困るなら、面倒でもリンクを1つは開いて、情報の出典と日付を確認する。この一手間が、AIの”ハルシネーション(もっともらしいウソ)”から身を守る最大の防御策になります。
まとめ:便利さに甘えすぎず、「開いて確認」の習慣を残そう
AI要約は間違いなく便利な技術であり、今後さらに精度が上がっていくでしょう。しかし、「6割超がサイトを開かない」という今回の調査結果は、私たちが情報を”消費”するだけの存在になりつつあることを示唆しています。
今日からできるアクション: 次にAIの要約で「分かった」と思ったとき、その内容が自分のお金・健康・仕事に関わるものなら、あと1回だけタップして元の記事を開いてみてください。それだけで、誤った情報に基づいて判断してしまうリスクをぐっと下げることができます。
AIは賢い”助手”ですが、最終判断を下すのはあくまで自分自身です。便利なツールほど、上手に「疑いながら使う」姿勢が大切ではないでしょうか。
出典:【モバイル社会研究所】
※サムネイル画像はスマホライフPLUS編集部で作成しています。



