国内では9,700万人の利用者が存在するLINE。アジアの一部の国々でもシェアがある一方で、中国では『WeChat(微信)』、ベトナムでは『Zalo』などのアプリが人気。つまりメッセンジャーアプリのシェアは国によってかなり異なります。
そして韓国で人気のメッセンジャーアプリと言えば『カカオトーク』。カカオトークはLINEと使用感がよく似ており、日本でも一定の認知度があるアプリです。
ではLINEとカカオトークには実際のところ、何が違うのでしょうか?また機能差が大してないならば、なぜ日本で流行したのはカカオトークではなく、LINEだったのでしょうか?

地域シェアの違い

先述した通り、LINEの利用者は9,700万人で、日本の人口の約70%にあたります。一方、カカオトークは韓国の登録者が4,750万人超で、韓国の人口の約90%が利用していると言われています。
なお、『LINE』は日本だけでなく、台湾やタイ、インドネシアなど東南アジアでも広く利用されています。

一方、『カカオトーク』は韓国国内での利用が中心であり、韓国以外の地域ではそれほど普及していません。このように、地域的な分布において両者は大きく異なります。
LINEの人気が国内で拡大した要因は?

結論から言えば「細かな機能差」こそあれど、LINEとカカオトークの通話機能の品質には、体感できるほどの差は見られません。
すると日本国内でカカオトークではなく『LINE』が大きく広がった理由には、機能差ではなく「時代」「文化」の違いがあったと言えるのではないでしょうか。
そもそもLINEが無料メッセンジャーアプリとしてリリースされたのは2011年6月23日。サービス開始後、1年で登録者数は6,500万人まで伸びましたが、うち日本国内のユーザーが3,000万人を超えていました。
また、LINE誕生のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災。緊急時の“ホットライン”という位置づけであり、既読機能は「返信できない状態でも無事であることを伝えるもの」でした。
東日本大震災の際に「電話がつながらない」「メールも届かない」という思いをした方は少なくないでしょう。たとえば筆者の場合、東日本大震災直後には電話やメールが全く使えなくなり、唯一X(Twitter)のみが安定的に利用でき、友人らとの連絡を取ることはできました。
しかし家族はX(Twitter)を利用しておらず、連絡が取れるまでにはかなりの時間を要したという記憶があります。
こうした体験を持つ方が国内に少なからず存在したことから、震災をきっかけに生まれたホットラインである『LINE』は熱狂的に受け入れられたと言えるのかもしれません。
基本機能の違い
LINEとカカオトークの基本機能の違いをご紹介します。
グループチャットの最大人数

『LINE』では、グループチャットの最大参加人数は500人。一方、「カカオトーク」では最大3,000人まで参加可能です。人数にかなりの差はあるものの、LINEは通常のLINEとは別に「LINE WORKS」というビジネスチャットもあり、こちらはグループトークの人数が無制限となっています。
既読表示について

『LINE』では、相手がメッセージを読むと「既読」とつくのに対し、『カカオトーク』では、メッセージを送った瞬間に自分を除くそのグループの人数の数字が表示されます。相手が読むと数字が減っていき、全員が読むと数字の表示がなくなる仕組みになっています。
通話品質はLINEとカカオで異なる?

筆者が比較した限り、通話品質に大きな違いはありません。通信環境に左右されはするものの、高品質と言えます。
SNSとしての機能の違い
LINEをSNSとして見たときの機能の違いをご紹介します。
オープンチャット

LINEにはオープンチャット機能があり、個人間での友達登録不要で最大10,000人まで参加可能なグループを作成できます。この機能は情報交換やイベント運営など幅広い用途に利用されています。
一方でカカオトークにもオープンチャット機能があり、LINEと同じように友達ではない人とトークすることが可能です。
ニュースやウォレット

『LINE』は、SNSのような多機能な設計を採用しており、ニュースタブやウォレットタブなど、さまざまな機能を統合しています。
一方でカカオトークもカカオペイやショッピングなどプラットフォーム型サービスを展開しています。
ゲーム

LINEは「LINEバブル」「LINE ポコポコ」、ナンプレやソリティアなど手軽に楽しめるゲームが多くあります。
一方でカカオは子会社である株式会社カカオゲームズがPC向けやモバイル向けゲームを配信しています。たとえば「ガーディアンテイルズ」「ArcheAge」などが知られています。
LINEとカカオのブロックチェーンは協業により統合済み
LINEとカカオトークは、それぞれ独自のブロックチェーン技術を開発していましたが、2024年に両者の技術を統合した新しいブロックチェーン「KAIA(カイア)」が誕生しました。
KAIAは、既存のイーサリアムの知識を活用してアプリ開発が可能で、スマートコントラクトもサポートされているため、多くの開発者がKAIA上でプロジェクトを進めやすい仕組みとなっています。また、このブロックチェーンは「PoS(プルーフオブステーク)」方式を採用しており、トークン保有者がステーキングによる報酬を得られる仕組みも用意されています。
さらに、KAIAはLINEやカカオトークの既存ユーザーに直接Web3.0へのアクセスを提供することで、新たな暗号資産市場への橋渡し役ともなっていると言えるでしょう。LINEアプリ内で利用できる分散型アプリ(Dapp)もリリースされており、簡単なゲームや操作でKAIAトークンを獲得できる仕組みが話題となっています。このような手軽さと利便性から、多くのWeb2ユーザーが自然にWeb3領域へ移行する可能性が期待されています。
KAIAは現在、日本国内でも取引可能な暗号資産として認められており、将来的にはLINEとカカオトークを横断するような暗号資産を用いた施策なども期待されるかもしれません。