「デジタル終活」という言葉をご存じでしょうか。スマートフォンやSNS、ネット口座など、デジタル資産の管理は、現代の終活において無視できない課題となりつつあります。一般社団法人終活協議会が実施した調査からは、デジタル終活の現状と課題、そして終活の現場におけるリアルな声が明らかになりました。詳しく見ていきましょう。

デジタル終活における認知と実行のギャップ

一般社団法人終活協議会は、2025年8月1日~31日にかけて、終活ガイド資格2級・3級を取得している523名を対象に「デジタル終活」に関する意識調査を実施した。その結果、「デジタル終活」という言葉を「知っている」「聞いたことがある」と回答した人は61.3%と6割を超え、一定の認知が広がっていることが分かります。一方で、38.6%が「知らない」と回答しており、まだ一般に浸透しているとは言い切れない現状も明らかになりました。

さらに、家族や親しい人と「スマホやSNSをどうするか」について話したことがあるかを尋ねると、「話そうと思っている」と回答した人が57.8%と最多でしたが、実際に『話した』という人はわずか7.6%にとどまっています。認知は進んでいても、実際に行動に移す人は少なく、最初の一歩を踏み出せていない現状が浮き彫りになりました。「どこから始めればよいのか分からない」という具体的行動へのハードルの高さや、個人のスマホやアカウントはプライベートの領域だからこそ、家族と率直に話しづらいといった心理的な壁も要因として考えられます。
デジタル終活で最も多い不安は「パスワード問題」

では、デジタル終活に関して人々はどのような不安を抱えているのだろうか。調査によると、「スマホやパソコンのパスワードが分からず家族が困る」が28.1%で最も多く、次いで「サブスクやネット口座の解約」が23.7%、「自分が亡くなったあとの管理方法を決めていない」が18.7%と続いた。パスワードの管理やサブスクリプションサービスの解約など、日常生活に直結する実務的な課題が大きな懸念材料となっていることがうかがえます。また、デジタル終活で重要だと思う準備については、「パスワードの記録」や「データの整理・処分」「アカウント一覧の作成」「削除依頼の方法を明記」といった具体的な取り組みが挙げられました。単なるデータの整理だけでなく、記録や削除依頼にまで踏み込んだ、多岐にわたる準備が必要だと考える人が多いようです。
スマホやSNSが生活の基盤となった今、パスワードやアカウント管理をめぐる課題は誰もが直面しうる問題だ。こうした身近なテーマだからこそ、早めに話し合いと準備を進めておくことが、ご家族の安心につながる第一歩になるのではないでしょうか。
出典:【一般社団法人終活協議会/想いコーポレーショングループ】
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