近年、スマホの長時間使用は、姿勢や目への悪影響だけでなく、心理的ストレスも高めることが指摘され始めている。ストレスは口腔乾燥や口腔環境の悪化を招き、口臭の原因になりやすい。これにより、スマホ使用と口臭発生の関連性や、「スマホ使用時の口臭抑制にガム咀嚼が有効に働くのではないか」という仮説のもと研究が行われ、その有効性が示された。研究内容を見てみよう。

研究の背景と結果

ロッテは「噛むこと」の健康機能に着目し、さまざまな研究に取り組んでいる。本研究では、スマホ使用が口臭成分(揮発性硫黄化合物:VSC)に与える影響を明らかにするとともに、ストレス緩和や唾液分泌促進が期待されるガム咀嚼による口臭抑制効果を検証した。
この研究が行われた背景には、スマホ使用と口臭悪化の間に直接的な関連があるかがこれまで確認されていなかったこと、そしてガムの咀嚼がストレス緩和や唾液分泌の促進に効果があることが報告されていたことがある。
研究は2025年3月から4月にかけて、20~60代の健常な男女26名を対象に実施された。参加者は「ガム咀嚼あり」と「ガム咀嚼なし」の2つの条件下で、それぞれ30分間スマホを使用。使用前後で口腔内の主要な口臭成分である揮発性硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド)を、リアルタイムに測定可能な機器(PTR-ToF-MS)を用いて分析した。その結果、「ガムを噛まない条件」では、30分間のスマホ使用後にVSCの総量が有意に増加した。一方、「ガムを噛んだ条件」では、この増加が抑制され、ガム咀嚼がスマホ使用による口臭成分の上昇を防ぐ可能性が示された。
「ながらガム」が現代社会の口臭予防に効果的?
スマホが生活のあらゆる場面に浸透している現代社会では、長時間使用による身体的・心理的負担は避けられないと言える。そんななか、「ながらガム」というシンプルな行動が、ストレスの軽減や唾液分泌の促進を通じて、口臭ケアにも役立つ可能性が示された点は注目に値する。今後は、スマホの使用時間や操作内容の違い、さらにはガムの種類や咀嚼のタイミングによる効果の差など、より詳細な検証が期待される。
出典:【ロッテ・噛むこと研究室】
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