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Apple史の決定版「Apple: The First 50 Years」がついに出た。ジョブズ伝記を超える608ページの大作

『Apple: The First 50 Years』書籍カバーのイメージ画像
(画像はmacrumorsより引用)

「Appleの歴史なんて、もう知ってるよ」って?

ガレージで始まった伝説、スティーブ・ジョブズの追放と復帰、そしてiPhoneによる世界の激変。Appleの物語は、テック好きなら誰もが一度は触れたことがあるはずです。映画にもなりましたし、書籍だって何十冊と出ています。

でも、ちょっと待ってください。その”知っているつもり”の歴史、実は間違いだらけかもしれません。

2026年3月10日、まさに今日発売されたのが、テックジャーナリストの重鎮デイヴィッド・ポーグ氏による新刊『Apple: The First 50 Years』。Apple共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏をはじめ、元CEOジョン・スカリー氏、元デザイン責任者ジョナサン・アイブ氏など、Appleを形作った150人への直接インタビューを収録した608ページの大著です。

4月1日のApple創業50周年を目前に控えたこのタイミングで、なぜこの本が注目に値するのか。単なる「また一冊のApple本」では片付けられない理由を、深掘りしていきます。

著者デイヴィッド・ポーグとは何者か?

Apple関連の書籍といえば、ウォルター・アイザックソンによる公式伝記『スティーブ・ジョブズ』(2011年)が圧倒的に有名です。ジョブズ本人が唯一公認した伝記として、世界中で大ベストセラーになりました。

では、今回の著者ポーグ氏はどんな人物なのか。CBSの人気報道番組「サンデー・モーニング」の特派員であり、ニューヨーク・タイムズやMacworld誌でAppleとテクノロジーについて長年執筆してきたベテランジャーナリストです。つまり、Apple業界の「中の人」ではないけれど、数十年にわたって至近距離から観察し続けてきたプロの目を持つ人物なのです。

この立ち位置が重要です。社内の人間が書けば政治的な配慮が入り、完全な部外者が書けば表面的な話に終わりがち。ポーグ氏は、その絶妙な「近すぎず、遠すぎず」のポジションから、関係者の本音を引き出せる稀有な存在といえます。

過去のApple本と何が違う?「歴史を正す新事実」の意味

正直なところ、Apple史を扱った書籍は飽和状態です。ざっと挙げるだけでも、以下のような名著・話題作があります。

これまでの主なApple関連書籍

  • 『スティーブ・ジョブズ』(アイザックソン著・2011年):ジョブズ公認の伝記。個人の物語としては最高峰だが、Apple”企業”の全体像は描ききれていない
  • 『Becoming Steve Jobs』(2015年):ジョブズの人間的成長に焦点を当てた”もう一つの伝記”
  • 『After Steve』(2022年):ティム・クックとジョナサン・アイブの確執を描いた、ジョブズ後のApple内部ドラマ
  • 『Creative Selection』(2018年):元Apple社員がiPhone開発の舞台裏を明かした一冊

こうした先行作品がある中で、本書の公式説明文にはかなり挑戦的な一文が含まれています。「歴史の記録を正す新事実(new facts that correct the record)」を収録している、というのです。

これは裏を返せば、「これまで広く信じられてきたAppleの歴史には、誤りや誇張がある」と宣言しているようなもの。150人もの当事者への新規取材だからこそ可能になった、過去の書籍や報道では拾いきれなかった証言が含まれていると考えられます。

608ページ・フルカラーという”本気度”

608ページという分量は、一般的なビジネス書の約2倍にあたります。さらにフルカラー写真を収録しているとのことで、これは電子版よりも紙のハードカバーで手に取りたくなる仕様です。ただの読み物ではなく、Appleという企業の「ビジュアル年鑑」としての価値も狙っているのでしょう。

Apple創業50年:改めて振り返る”3つの時代”

本書を手に取る前に、Appleの50年をざっくり整理しておくと、より深く楽しめるはずです。

第1期:創業と混乱(1976〜1997年)

スティーブ・ジョブズとウォズニアックがガレージで始めた会社は、Apple IIの大ヒットで急成長。しかしMacintoshの商業的苦戦、ジョブズの追放、その後の迷走と、まさにジェットコースターのような時代でした。倒産寸前まで追い込まれた1997年が、この時代の象徴です。

第2期:ジョブズの帰還と革命(1997〜2011年)

復帰したジョブズのもと、iMac、iPod、iPhone、iPadと、次々に業界の常識を塗り替えた黄金期。2011年にジョブズが亡くなるまで、Appleは「世界で最もイノベーティブな企業」の代名詞になりました。

第3期:ティム・クック体制と世界最大企業へ(2011年〜現在)

「ジョブズなきAppleは終わる」と言われながら、クックCEOのもとでAppleは時価総額で世界最大の企業に成長。Apple Watch、AirPods、Apple Siliconなど、ジョブズ時代とは異なるアプローチで着実にエコシステムを拡大しています。

本書はこの3つの時代すべてを、当事者の生の声で紡ぎ直す試みです。ポーグ氏は最近、ティム・クックCEOへのロングインタビューも実施しており、現在進行形のAppleの姿もしっかり収録されていると期待できます。

Appleユーザーの人は買ってみてもいいかも

率直に言って、Appleユーザーで「なぜ自分はこのブランドを使い続けているのか」を一度でも考えたことがある人には、間違いなくおすすめです。

私たちが毎日触っているiPhoneやMacの裏側には、想像以上にドラマチックな人間模様があります。150人の当事者証言という一次情報の厚みは、Wikipedia的な知識を遥かに超えるものでしょう。

一方で、気になる点もあります。608ページという分量は、読書慣れしていない人にはハードルが高い。また、英語の原著のみで日本語翻訳の発売時期は現時点で未定です。英語に抵抗がある方は、翻訳版を待つか、CBSニュースのサイトで公開されているスティーブ・ジョブズに関する抜粋記事をまず読んでみるのがよいでしょう。

なお、3月18日にはテキサス州オースティンで開催中のSXSW 2026にて、ポーグ氏がApple元マーケティング責任者フィル・シラー氏と公開インタビューを行う予定です。ここでさらに興味深い話が飛び出す可能性があるので、要チェックです。

Apple創業50周年、公式イベントはあるのか?

ちなみに、Apple自身はまだ50周年を記念する公式イベントを発表していません。ただし、Appleの正式な創業日は1976年4月1日。今後数週間のうちに何らかの形でこの節目を祝う可能性は高いでしょう。特別な記念モデルの発表や、Apple Storeでのイベントなど、さまざまな憶測が飛び交っています。

本書を読んでAppleの50年を予習しておけば、そうした公式の動きをより深く、より楽しく追いかけられるはずです。まずはCBSニュースサイトの抜粋記事で、ポーグ氏の筆力を確かめてみてはいかがでしょうか。きっと、608ページの本編が気になって仕方なくなるはずです。

出典:【Macrumors

スマホライフPLUS編集部

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