ChatGPTなどの生成AIが普及し、作業の効率化やアイデア出しに利用されているが、若手層とシニア層との間には、生成AIの利用に大きな違いが生まれている。BEYOND AGEが20代の若手社会人と50代のシニア社会人を対象に行った「生成AIの業務活用実態」に関する調査によると、利用頻度に大きな差がある“世代間のAI格差”が生まれているという。さっそく詳細を紹介していく。

若手とシニアで生成AIの利用に20%近く差が生まれている
生成AIの利用実態を見ると、20代の約6割が生成AIの利用経験が「ある」と回答。一方、50代で利用経験があったのは約4割で、生成AIの利用に20%近くの格差が生まれていることが分かる。

また、使ったことがない理由についても尋ねたところ、両世代とも「操作が難しそう・分からない」という声が多く挙がった。利用者人数の差こそあれど、未経験の人々の理由は同じということだ。他にも「誤った情報が出てきそうで信用できない」「人の手でやった方が正確」という意見も多く集まり、まだまだ生成AIに対する信頼度は低いことがうかがえる。

各世代で利用頻度について尋ねてみると、20代は「ほぼ毎日使う」という回答が26%近くを占めた。対して50代は週1日程度という回答が37.4%を占めた。
1日当たりの平均使用時間については20代が30分から1時間程度利用しているのに対し、50代は30分未満が半数以上を占めるなど、AI格差を直に感じずにはいられない結果となった。
生成AIの利用シーン拡大が利用頻度の拡大につながる?

若手とシニア層でどのような業務に生成AIを利用しているかの調査結果を見てみると、20代はアイデア出しや文章の要約、メール文の下書きなどが多く、幅広く使っていることがうかがえる。50代の方は、「文章の要約」が64.9%と圧倒的に多く、偏りが顕著に見られた。

関連して「生成AIでどのようなサービスがあれば利用したいか」についても尋ねたところ、20代は「業務に使えるプロンプトやテンプレートの提供」の回答が多く、業務効率化を求めていることが分かる。一方50代の回答を見ると、「生成AIの基本的な使い方に関する研修・eラーニングサービス」といった声が多いことから、シニア層も生成AIへの理解を深めたいと考えていることが分かった。
生成AIの利用において、どんなことが懸念されるかについても尋ねたところ、「情報漏洩やセキュリティリスク」や「誤情報や信頼性の低さ」がどちらの世代も高かったものの、「特に懸念はない」という回答も両世代で多く集まったという意外な結果となった。
20代のデジタルネイティブとこれまでの経験や知見に頼る50代のシニア層で、AI格差は開いている現状ではあるが、シニア層も生成AIへの関心が低いわけではない。手軽に使える生成AIサービスの提案や、導入しやすいサポート体制を整えることで、AI格差は狭まっていくのではないだろうか。
出典:【株式会社BEYOND AGE】
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