「AIが質問してきて、それに答える」——そんな調査の形が、すでに現実のものになりつつあります。
マクロミルグループの株式会社モニタスが、AIインタビュー「ListenLabs(リッスン ラボ)」を活用した海外調査ソリューションの提供を国内で初めて開始しました。これは企業が海外の消費者の声を集めるためのサービスですが、注目したいのは「AIが人に直接質問し、回答を集める」という仕組みそのものです。
今後、こうしたAIインタビューが広がれば、自分自身がAIに考えや好みを話す場面が増えるかもしれません。そのとき気になるのが、話した内容がどこに保存され、どう使われるのかという点ではないでしょうか。
この記事では、今回の発表内容をもとに、AIを使った調査の仕組みと、情報の扱われ方について関心を持つきっかけを整理します。

国内初の「ListenLabs」とは?AIが質問する調査の仕組み
「AIがインタビューする」と聞くと、自分のスマホにも関係があるのかと気になるかもしれません。まず結論を言うと、このサービスは企業が海外の消費者を対象に「定性調査」を行うためのものです。定性調査とは、アンケートの数字だけでは拾いきれない、一人ひとりの考えや行動の理由を深掘りする調査を指します。
「ListenLabs(リッスン ラボ)」は、最先端の自律型AIインタビューツールです。人間の調査員の代わりにAIが質問を行い、回答を集める仕組みになっています。
今回のソリューションでは、この「ListenLabs」と、モニタスのグループが持つ東南アジア消費者パネル「MMSEA(Marketing Monitor South East Asia)」を連携させています。東南アジアに住む消費者のネットワークと、AIによるインタビュー技術を組み合わせたサービスです。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
「ListenLabs」は、最先端の自律型AIインタビューツールである
東南アジアの消費者パネル「MMSEA」と連携し、企業が海外の消費者を対象に定性調査を行うためのサービスとして提供されている
一般の個人が直接利用するサービスではなく、企業向けの調査ソリューションである
直接使う場面がなくても、AIに個人の考えや情報を話す機会は今後増えていく可能性があります。自分の情報がどう扱われるのか、関心を持っておくことが大切です。
なぜ企業はAI調査に注目するのか?海外マーケティングの変化
海外の消費者が何を考え、どんな理由で商品を選んでいるのか——企業にとって、こうした「生の声」を集める調査は欠かせません。しかし海外での調査には、言語の壁や時間、コストなど多くのハードルがあります。
こうした課題の背景にあるのが、海外マーケティングにおける定性調査のDX化(デジタル技術による変革)です。従来は現地の調査員が一人ひとりに対面で聞き取りを行うのが一般的でしたが、デジタル技術を取り入れることで、調査のスピードや規模を大きく変えようという動きが広がっています。
今回のAI調査ソリューションでは、約1週間でインドネシア人100名規模の定性調査を実現できるとされています。
海外マーケティングの定性調査をデジタル技術で変革する流れがある
約1週間・100名規模という短期間・大人数での定性調査が可能になった
こうした技術の進展は、企業の調査手法を変えるだけにとどまりません。AIに対して個人の考えや情報を伝える場面が、今後さらに増えていく可能性を示しています。
AIに答えた内容はどこへ行く?情報の扱いで気になるポイント
「AIが質問してきて、自分の買い物の理由や好みを答える」——そんな調査が広がりつつあります。今回のListenLabsは、消費者の「購買ジャーニー」(商品を知ってから買うまでの行動や気持ちの流れ)などを明らかにするための定性調査に活用されるサービスです。
ここで気になるのは、「AIに話した内容は、その後どう扱われるのか?」という点ではないでしょうか。
現時点の公式発表では、調査対象はインドネシアの消費者であり、日本の一般利用者が直接回答する場面は想定されていません。ただし、AIが聞き手になる調査の仕組み自体は、今後さまざまな場面で広がる可能性があります。
公式情報からは、回答データの保管先や第三者提供の有無、回答後の削除ルールといった具体的なプライバシーポリシーの詳細までは確認できていません。つまり、「答えた情報がどこに渡り、いつまで残るのか」は、現段階ではわからない部分が残っています。
もし今後、こうしたAI調査に回答する機会が出てきた場合に意識しておきたい視点は次のとおりです。
調査の運営元がどの企業かを確認する
回答内容の利用目的がどこに書かれているかを探す
回答は任意か、どこまで答える必要があるかを見極める
AIが相手だと、つい人間に話すように詳しく答えてしまうことがあります。「誰が聞いているか」ではなく「誰がデータを持つか」に目を向けることが、自分の情報を守る第一歩になります。
無料提供中の「美容液調査レポート」は誰でももらえる?
「無料レポート」と聞くと、自分もダウンロードできるのかと気になるかもしれません。ここでは、プレスリリースで告知されている内容を整理します。
今回無料で提供されているのは、インドネシアの18〜39歳の男女101名を対象にAIインタビューツール「ListenLabs」を使って実施された「美容液に関する購買ジャーニー調査」の詳細分析レポートです。購買ジャーニーとは、消費者が商品を知ってから購入するまでの一連の流れのことです。
ただし、以下の点に注意が必要です。
レポートを受け取れるのは、問い合わせをした方限定であり、誰でも自動的にもらえるわけではない
無料提供の期間は2026年7月31日までと明記されている
つまり、このレポートは主に海外市場に関心のある企業担当者向けの内容であり、一般の消費者が日常で使う情報とは性質が異なります。「無料」という言葉だけで飛びつく前に、自分に必要な情報かどうかを見極めることが大切です。
まとめ
今回取り上げたように、企業向けのサービスとして「AIが人にインタビューを行う調査ソリューション」がすでに登場しています。現時点では企業のマーケティング調査が主な用途ですが、こうした技術は今後、身近なところでも使われるようになる可能性があります。
たとえばアンケートや問い合わせの場面で、相手が人ではなくAIだったというケースが増えるかもしれません。そのとき大切なのは、「自分が話した内容がどう扱われるのか」に関心を持つことです。
回答先がAIかどうかを意識する
個人の考えや情報を伝える場面では、情報の利用目的を確認する習慣を持つ
技術の進歩は止まりません。だからこそ、日頃から「誰に・何を・どこまで伝えるか」を意識しておくことが、自分の情報を守る第一歩になります。



