2024年12月に登場した新たなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi2」。もともと「mixi」といえば2010年前後に大流行したSNSで、リリース直後、旧mixiユーザーから大きな注目を集めました。
旧mixiユーザーから反響が集まった点のひとつは、もともとのmixiと同じ完全招待制であったこと。一見不便と思いきや、X(旧Twitter)などの他のSNSプラットフォーム上で、mixi2への招待リンクを求める声や、自身の招待枠を共有する投稿が活発に行われ、それが盛り上がりの一因ともなりました。
しかし、mixi2の招待リンクを求めるユーザー間の活発なコミュニケーションが落ち着いた2025年6月現在、mixi2に対して「廃れた」「盛り下がった」印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一方、実は筆者は現在も活発なmixi2ユーザー。Xやインスタグラムなども利用していますが、mixi2にはmixi2にしかない独自の雰囲気が形成されつつあり、他のSNSにはない魅力があります。まだmixi2を使い続けている筆者が、今のmixi2の良かった点・残念な点を本音レビューします。

mixi2と他のSNSの位置づけの違い
まず前提知識としてmixi2の特性をより理解するためには、日本国内で広く利用されている他の主要SNS(X (旧Twitter)、Facebook、Instagram、Threads)との比較が分かりやすいでしょう。

mixi2は、XやFacebookのようなオープンで広範なネットワークよりも、特定の関心でつながる小規模な集まりを重視しています。炎上や誹謗中傷が頻発しやすいオープンなSNSとは対照的に、安心して発言できる環境を提供することを目指しているとも言えるでしょう。
こうした「安心して発言できる環境」という場の設計は旧mixiにも相通じる点が多く、mixi2は旧mixiの思想を継承しつつ、現代のSNS疲れや情報過多に対するカウンターとしての役割を担おうとしている側面があります。「知人との緩やかな交流」と「共通の趣味を持つ仲間との深い交流」を両立させるプラットフォームとしての可能性を秘めていると言えるでしょう。
mixi2と他のSNSのユーザー層や収益モデルの違い

2025年6月現在、mixi2のタイムラインには広告が表示されておらず、また、他の主要SNSと比較してプロモーション目的の投稿や不審なスパムアカウントの出現頻度が低いです。
そのため、mixi2は2025年現在においては「不快な投稿を見る」ケースが非常に少ないSNSです。ただしその分「具体的な収益モデル」が見えていないプラットフォームであるのも事実です。実際にmixi2を利用し続けている筆者個人の感想としては、「良いSNSではあるがベータ版感が否めない」というのも素直な感想です。
mixi2を筆者が「まだ使い続けている」理由
筆者はmixi2がローンチされた2024年12月16日から、半年以上mixi2を使い続けています。
もともと主に利用していたのは、同じテキスト型SNSであるXですが、現在はXでもともとつながった人ともほそぼそと交流しつつ、mixi2で新たにできた交流もあります。
XがTwitterから改名して以降、サービスの改悪が問題となり、Threads、Misskey、Blueskyなどさまざまなテキスト型SNSが生まれましたが、なぜ筆者がmixi2に落ち着いたのか、その理由をご紹介します。

筆者がXに「うんざり感」を感じた背景とは
Xは情報の拡散力が高い一方で、近年は「インプレゾンビ」と呼ばれる収益目的のアカウントや、デマ・炎上・誹謗中傷が増え、心理的な負担を感じることが多くなりました。
また、筆者は多くの日本や韓国のアイドルを応援するという趣味があります。長くSNSを続けているとその界隈で友人ができる一方、そのすべての人と気が合うわけではありません。しかし、「フォローを外すと別の人間関係に影響が及ぶかもしれない」という懸念があり、人間関係が窮屈に感じるようになっていました。
さらに「自分のこの発言が誰かの気に障るかもしれない」と思うと、自由にポストすることもできなくなっていました。そこでmixi2という適度にクローズドな環境への「引っ越し」をしようと決め、mixi2のローンチ直後に招待を受けて登録したという流れです。
小規模でクローズドなコミュニティ志向
新しいSNSは当然ながら、「自分がこの場所でアカウントを作った」と教えなければ誰にも知られることはありません。そこで筆者は本当に仲のいい友人にだけアカウントを教え、主な居場所をmixi2に移しました。
mixi2の魅力のひとつが、コミュニティがあること。筆者が現在加入しているコミュニティは、好きなアイドルのコミュニティと、趣味でよく作るスパイスカレーのコミュニティです。

コミュニティは、基本的にコミュニティ内でコミュニケーションが終わるため、交流した人と必ずしもフォロー、フォロワー関係になる必要はありません。Xの場合、同じ趣味を持っていて、かつ交流した際には基本的にフォロー、フォロワー関係になることが多いものの、深入りせずに人と交流できる点は筆者にとって魅力的でした。
一方、現在はその中で本当に気が合うなと思った人だけをフォローしており、タイムライン上でも必要以上に気を遣うこともなくポストを投稿したり、人のポストを見て楽しんだりしています。
心理的な安全性が高いコミュニケーション
mixi2を統括している株式会社MIXI取締役の笠原健治氏は、2025年1月に受けたインタビューの中で、Xが採用しているレコメンドタイムライン(おすすめタブ)について、「自分の家だと思っていたのに、突然知らないおじさんがいました、みたいな状態」と表現しています。
実際、筆者もXのレコメンドタイムラインから同じ趣味の人を見つけて交流関係が広がっていったところもありますが、突然悪意のある言葉や知りたくなかった情報が突然入ってくることもあります。
mixi2にもXの「おすすめ」にあたる「発見」というタブもあり、自分が入っているコミュニティと近しいコミュニティのポストや、フォロワーのフォロワーのポストが流れてきますが、Xと比べ、より近しく、より興味のある話題の方が流れてくる印象が強くあります。

mixi2のおすすめ機能
mixi2には他のSNSにない、ユニークな機能が豊富にあります。先述したコミュニティ機能がもっとも大きな機能ですが、「エモテキ」や「リアクション」もおすすめ機能です。
お気に入りの機能とその活用法
「エモテキ」は、ポストの文字を大きくしたり揺らしたり、背景にアニメーションを追加することのできる機能。フォロワーに伝えたいことがより大きいときに使えます。

「リアクション」は人のポストに対してつけられるスタンプ機能のこと。コミュニティではオリジナルのリアクションを作ることも可能です。

Xではリアクションは基本的に「いいね」のみですが、mixi2のリアクションは絵文字やアルファベット、凝縮された日本語などさまざま。今ではLINEを使っているときでも、「mixi2のリアクションが使えればいいのに……」と思ってしまうほど便利な機能です。
mixi2に対する個人的な要望・改善点
mixi2では、ユーザーの要望をかなり柔軟に聞き入れて、サービスを改修してくれることがあります。
たとえばそれまではフォローしているユーザーのポストとコミュニティのポストがすべてタイムラインに流れる仕様になっていましたが、2025年4月のアップデートで、分けて見ることが可能に。また、5月にはブラウザ版も始まりました。
個人的には特定のキーワードを除外するミュート機能や、ユーザーのリスト機能が欲しいところ。一方、こうした要望も、他にも同じ思いのユーザーが多ければ実現する可能性が十分にあるのがmixi2です。
いわばmixi2は「廃れた」のではなく「今いる一人ひとりのユーザーと温かく向かい合いながら、手作り感のようなものを残しつつ発展しているサービス」と言えるかもしれません。mixi2がXやThreadsのように劇的に発展するサービスになるかは分かりませんが、mixi2にはmixi2にしかない空間が間違いなくあると言えるでしょう。
※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)