近年、生成AIの発達、SNSの普及などデジタル環境の変化が著しいが、その一方で、若者の新聞離れやテレビ離れが進んでいるといった話も耳に入ってくる。年代によって情報を得る方法に変化はあるのだろうか。紀尾井町戦略研究所が実施したデジタルリテラシーに関する調査結果を詳しく見てみよう。
全世代の77.4%が「インターネットのポータルサイト」から最新情報を入手している
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紀尾井町戦略研究所株式会社が全国の18歳以上の男女1000人を対象に、デジタルリテラシーに関する意識調査をウェブでおこなった。「ニュースなどの最新情報を何から得ているか」を尋ねたところ、77.4%が「インターネットのポータルサイト」と回答。次いで、「テレビ」(71.5%)、「紙の新聞」(34.5%)、「YouTubeなどの動画配信」(31.7%)、「XやインスタグラムなどのSNS」(28.0%)と続いた。
回答を年代別に見た調査結果では、「インターネットのポータルサイト」と回答した人は20代で4割台、他の年代は6割台であった。また、「テレビ」「紙の新聞」と回答した人は年代が高くなるほどに増える傾向があることがわかった。20代に限定して見ると、上位3位は「テレビ」「インターネットのポータルサイト」「XやインスタグラムなどのSNS」の順で、いずれも4割台と拮抗。「新聞」と回答した人は、なんと1割台であった。スマホやインターネットが普及し、若者の活字離れが問題になっているが、実際に新聞から最新情報を入手している20代はかなり少ないことがわかる。
またテレビの割合は他の層と同様に高いものの、YouTubeなどの動画配信やSNSから最新情報を得ている人が多いのが顕著だ。実際に事件が起こった際などは、テレビよりSNSのほうが早く情報が出回ることも多くあるため、20代ではインターネットのポータルサイトやSNSを活用しているのだろう。
信頼できるメディアを「新聞」と回答した20代は2割
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続いて「信頼できるメディア」について尋ねると、「新聞」が最も多く40.3%であった。次いで「テレビ」35.7%、「インターネットのポータルサイト」14.4%であった。その一方で、「信頼できるメディアはない」と回答した人が36.8%と意外にも高い割合を占めている点は注視すべきかもしれない。
信頼できるメディアを「新聞」と回答した人を年代別に見ていくと、70代以上は6割以上であったが、20~30代は2割台にとどまった。新聞に対するイメージは、年代によってかなり差があるようだ。
これからさらなるデジタル化が進み、情報収集先においてもインターネットやSNSの割合が高くなることは否めない。米国でSNSのファクトチェックが廃止され、利用者同士が指摘し合う「コミュニティノート」と呼ばれる機能が導入される予定との話もあるように、これからは自分たちで情報が正しいかどうかを見極める力が必要になってきそうだ。
出典:【紀尾井町戦略研究所株式会社】
※サムネイル画像(Image:Loredana Sangiuliano / Shutterstock.com)