ワークライフバランス重視の風潮や、管理職を目指さない若手の増加を背景に、組織内の責任や負担が上司世代に偏りつつある。若手優遇とも捉えられる動きが広がる職場で、上司世代は何を感じているのだろうか。Job総研の調査によると、部下に嫉妬する上司の割合は6割に達した。今後、上司・部下間のギャップは広がっていく一方なのだろうか。それとも、歩み寄りの可能性はあるのか。調査結果から、その実情を見ていこう。

上司が部下に嫉妬!?その原因とは

Job総研は2025年10月、現在就業中の20~50代男女385人を対象に、「2025年 上司と部下の意識調査」を実施した。
職場で若手世代の優遇を感じるかの調査では、「感じる」という回答が52.7%となり、優遇を感じる派が過半数を占めた。どんなところに優遇を感じたのか、感じる派の204人に聞いた調査では最も多かったのは「給与」(44.6%)が挙がった。次いで「チャレンジの機会」(30.4%)、「昇進スピード」(26.5%)が続いた。金銭的な優遇のほか、チャンスの配分やキャリアの進み方にも不満を示しているようだ。

また、現在部下がいる166人に、部下に嫉妬した経験有無を聞いた調査では「ある」という回答が59.6%。ある派の99人が嫉妬したことの内容を見ると、最多は「人事評価の結果」(27.3%)。次いで「はたらき方」(22.2%)、「学歴」(19.2%)が続いた。若手の働き方や評価基準に対し、上司世代が納得していない実態がうかがえる。これらの調査結果から、職場での評価や機会の分配をめぐって、上司・部下間の温度差が生じていることがうかがえる。
価値観の違いは大きいものの、歩み寄りの可能性も示唆

価値観の違いによる課題について、現在部下を持つ166人と、上司のもとで働く342人を対象に調査した。上司側は、「感じる」と答えた合計73%が、価値観の違いによる課題を感じていることが浮き彫りに。部下側も「感じる」という人が62.6%で課題を実感していることが明らかとなり、調査結果からは、上司・部下間の溝が深まっている状況がうかがえる。

しかし、上司・部下それぞれに関係値を深めたいかを聞いた調査では、「深めたい」と答えた人が合計59.0%と、約6割が関係値を深めたいと回答。部下側も、「深めたい」と答えた人が合計57.6%となり、双方に、心の距離やギャップを縮めたいという意向があることが分かった。
上司・部下の双方が信頼関係を構築するために一歩踏み出し、工夫していくことで、両者の心の距離が少しずつ埋まる可能性は十分にあると考えられる。お互いの努力によって、個が活躍できる組織づくりにつながることを期待したい。
出典:【Job総研】
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