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NHK ONEは「失敗」か?ネット利用だけでも受信料対象に、ネット業務必須化と迷走

放送法改正による「ネット業務の必須業務化」に伴い、NHKのインターネットサービスは新たな段階に入りました。その象徴が「NHK ONE」のリリースと、それに伴うウェブサービスの抜本的な再編です。

これまではテレビを持たない層にとって「あくまで放送の補完」であったネット展開が、これからは「放送と同等の本来業務」となり、条件を満たせばネット利用のみでも受信料(割増金を含まない契約)が発生します。

しかし、NHK ONEのサービス内容、その裏で失われた「ウェブ独自の価値」に対し、公共メディアとしての矛盾を指摘する声も上がっています。

NHK ONEは「失敗」か?ネット利用だけでも受信料対象に、ネット業務必須化と迷走の画像1
(画像はスマホライフPLUS編集部撮影)
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「放送と同じ価値の提供」によって失われた、ウェブ独自の親和性

NHK ONEは、2025年10月1日にNHKが開始した新しいインターネットサービスです。これまで「NHKプラス」「NHK NEWS WEB」など複数のサイトやアプリに分かれていたNHKのオンラインコンテンツを一つにまとめたプラットフォームと言えます。

いわばNHK ONEは、NHKのネット業務が必須化されたことを契機に「インターネット空間において、放送で培った信頼性の高い情報を、放送と同じ熱量で提供すること」を目的に開始されたサービスだと言えるでしょう。

「放送と同じ価値の提供」で消滅したウェブとの親和性1
(画像は「NHK ONE」公式サイトより引用)

一方でこれまで親しまれてきた「NHKニュース」をはじめとする従来のウェブコンテンツの多くが閲覧できなくなった、あるいは大幅に縮小されたという現実が、NHK ONE開始の裏側で進行していました。

たとえば以前は「NHK NEWS WEB」を誰でも登録やログインなしで閲覧できましたが、NHK ONE開始後は原則として「NHK ONE ID」のログインや新規登録を求められる仕様になりました。

実はこれまでNHKのWebサイトに掲載されていた記事の多くは、「理解増進情報」という枠組みで制作されていました。これは「放送番組の理解を深めるための情報」と位置づけられ、比較的自由な編集方針の下、ニュースに加え、放送枠には収まりきらない取材メモや、ネット独自の特集が組まれていたのです。

たとえば「政治マガジン」や「国際ニュースナビ」「事件記者取材note」といったサイトは、テレビの尺に縛られないディープな解説記事で高い支持を集めました。しかし、ネットが「必須業務」となったことで、状況は一変しました。新聞協会や民間放送局からは「民業圧迫である」との強い反発がありました。これに配慮する形で、NHKのネット展開は「番組関連情報」へと厳格に定義されたのです。

「放送と同じ価値の提供」で消滅したウェブとの親和性2
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

この変更に伴い、2024年春頃から「理解増進情報」にあたる独自サイトは一斉に閉鎖、あるいは更新停止に追い込まれました。NHK ONEで提供されるのは、あくまで「テレビ番組のアーカイブ」や「ニュース動画」が中心であり、かつてネットユーザーを惹きつけた「読み物としてのNHK」は姿を消してしまったのです。

「理解増進」を求めない受信料徴収の矛盾

ここで、NHK ONEの設計における決定的な矛盾が浮き彫りになります。

「ウェブに親しむ一方でNHKのコンテンツになじみがない人」も受信料の対象とするのであれば、理解増進を担うコンテンツが必要なはずです。

しかしNHKは、その理解増進を担ってきたコンテンツから自ら撤退しました。NHK ONEの登録をしていない「将来的な利用者層」からはウェブでNHKのコンテンツに触れる機会すら失われているのです。

強まる「徴収」と加速するテレビ離れ

強まる「徴収」と加速するテレビ離れ1
(画像はスマホライフPLUS編集部撮影)

「NHKの受信料徴収」といえば、あまり良いイメージを持たない人も多いですが、それに拍車をかけた出来事が、2025年に全国各地で発生した公用車のカーナビを巡るNHK受信料未払い問題でしょう。
市民感情は「しっかりカーナビとNHKの受信契約を結ばなくては」とはならず、むしろ「脱カーナビ」「選ぶならディスプレイオーディオ」という流れに拍車をかけた可能性があります。

総じて直近の決算を見ても、世帯数の減少やテレビ離れの影響で、受信料収入は減少の一途をたどっています。若年層単身世帯のテレビ保有率は著しく低下しており、従来の「世帯ごとの契約」というビジネスモデルは崩壊の危機に瀕しています。

カーナビに対する受信料請求は「テレビがなければカーナビで、カーナビがなければスマホで」ととにかく受信設備(あるいは受信アプリ)を持つ接点を見つけ出し、徴収の網を広げているようにしか見えない、と受け止められている側面もあります。

つまり、理解増進を捨て、受信料の徴収だけを正当化しようとしても、テレビ離れ、そして「NHK離れ」はさらに進む可能性があります。今必要なのは、徴収のためのシステムではなく、人々がお金を払ってでも支えたいと思える「圧倒的な価値」と「対話」を取り戻すことなのではないでしょうか。

スマホライフPLUS編集部

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