
「自分には関係ない」その油断が一番キケンです
「リベンジポルノ」や「ディープフェイク」。ニュースで見かけるたびに、「芸能人や有名人の話でしょ?」とスルーしていませんか?
残念ながら、それは完全な誤解です。
警察庁の統計によれば、日本国内の「私事性的画像記録」に関する相談件数は年間1,800件を超えるペースで推移しています。しかも、これはあくまで”相談に至ったケース”だけ。泣き寝入りしている被害者を含めれば、実態はこの数倍とも言われています。
さらに厄介なのが、AI生成によるディープフェイクの爆発的な増加。あなたのSNSに上げた何気ない自撮り1枚から、まったく身に覚えのない「性的画像」が生成され、ネット上にばら撒かれる——そんな悪夢のようなケースが、世界中で急増しています。
そんな中、Googleが2025年2月に発表したのが、Google検索からの非同意性的画像の削除プロセスの大幅アップグレードです。
「やっと本気出したか」というのが正直な感想ですが、今回のアップデートは”やっつけ仕事”ではなく、被害者の立場をかなり考えた設計になっています。何が変わったのか、そしてあなたが今日中にやるべきことは何か。徹底的に解説します。
そもそも、今までのGoogle検索の「画像削除」は何がダメだったのか
まず、大前提の話をしましょう。Googleは以前から、リベンジポルノやディープフェイク画像の削除リクエストを受け付ける仕組みを持っていました。
じゃあ何が問題だったのか?
ひと言で言えば、「手続きが複雑すぎて、被害者が途中で心が折れる」という致命的な欠陥です。
従来の削除リクエストの流れを振り返ると、こんな感じでした。

特に深刻だったのが、最後の「再アップロード問題」です。
加害者側は、元の画像を別のサイトにアップし直すだけで、被害者に再び同じ苦しみを強いることができました。いわば、被害者が永遠に”モグラ叩き”を続けなければならない構造だったのです。
今回のアップデートで「何が」変わったのか:3つの進化ポイント
Googleが今回発表した改善点を、ユーザー目線で整理します。
進化①:画像から”直接”削除リクエストが出せるようになった
これが地味に一番デカい変化です。
Google検索で問題の画像を見つけたら、その画像の右上にある「三点メニュー(⋮)」をタップ → 「検索結果を削除」→ 「私の性的画像が表示されている」を選択するだけ。
従来のように、わざわざ別のフォームページに飛んで、URLをコピーして、カテゴリーを選んで……という”苦行”が不要になりました。
さらに、1回のリクエストで複数の画像をまとめて選択・提出できるようになっています。被害画像が複数枚ある場合(残念ながら、多くのケースでそうです)、これは精神的な負担を大きく軽減する改善です。
進化②:「再アップロード防止フィルター」がついに実装
今回のアップデートの最大の目玉がこれ。
削除リクエストを提出した後、ユーザーは「プロアクティブ・セーフガード(予防的保護機能)」にオプトインできるようになりました。
これは何かと言うと——
「あなたの画像と似た性的コンテンツが、今後Google検索に新たに表示されそうになった場合、自動的にフィルタリングする」
——という仕組みです。
つまり、加害者が別のサイトに同じ画像(または加工した類似画像)を再アップしても、Google検索には表示されにくくなるということ。
あの”終わらないモグラ叩き”に、ようやく終止符が打たれるわけです。
ただし、ここで重要な注意点があります。
この機能はあくまで「Google検索の結果から除外する」ものであり、画像そのものがインターネット上から消えるわけではありません。 元のサイトにアクセスすれば、画像はまだ存在しています。完全な削除には、ホスティングサイトへの個別対応や法的措置が必要です。
ここを勘違いしてはいけません。Googleにできるのは「検索結果という”入口”を塞ぐ」ところまで。とはいえ、被害画像への到達経路の大部分がGoogle検索である以上、その入口を塞ぐ効果は絶大です。
進化③:削除後の「心のケア」と「進捗管理」
3つ目の変化は、削除リクエスト提出後のサポート体制です。
リクエスト送信後、画面に専門支援団体へのリンクが表示されるようになりました。法的サポートや心理的サポートを提供する組織への橋渡しです。
「画像を消したらおしまい」ではなく、「その後の人生の立て直し」まで視野に入れた設計になっている点は、素直に評価できます。
また、すべての削除リクエストの進捗状況をGoogleアプリの「あなたに関する検索結果」ハブで一元管理できるようになりました。プロフィールアイコンをタップするだけでアクセスできます。
放置すると何が起きるのか:最悪のシナリオ
「自分は被害に遭っていないから関係ない」。
そう思った方にこそ、知っておいてほしい現実があります。
シナリオ1:AIディープフェイクは”素材”を選ばない 2024年以降、一般人のSNS写真をもとにしたディープフェイクポルノが急増しています。必要なのは顔が映った写真数枚だけ。InstagramやFacebook、X(旧Twitter)に公開設定で顔写真を載せているなら、あなたは”素材”になり得ます。
シナリオ2:就職・転職活動への致命的ダメージ 採用担当者があなたの名前をGoogle検索した時、性的な画像が表示されたら? それがフェイクであろうとなかろうと、「この人を採用するのはリスクだ」と判断されてしまう可能性は極めて高いです。
シナリオ3:家族・友人関係の崩壊 被害者の多くが口を揃えて言うのは、「画像そのものより、それが知人に見られるかもしれない恐怖が一番辛い」ということ。この精神的ダメージは、月日が経っても簡単には消えません。
今すぐやるべき3つのアクション
「自分ごと」として捉えられたなら、この3つだけやってください。スマホ片手に5分で終わります。
「あなたに関する検索結果」を確認する
Googleアプリを開き、右上のプロフィールアイコンをタップ。「あなたに関する検索結果」にアクセスしてください。ここで、あなたの名前に紐づいてGoogle検索に表示されている情報を確認できます。運転免許証やパスポート番号、マイナンバーなどの個人情報が表示されていた場合も、同じハブから削除リクエストを出せます。
「何も出てこなかった」なら、それが一番いいニュースです。 でも、定期的にチェックする習慣をつけてください。
SNSの公開設定を見直す
ディープフェイクの”素材”を減らすために、以下を今すぐ確認しましょう。
・Instagram:アカウントを「非公開」に設定しているか?
・Facebook:投稿の公開範囲が「友達のみ」になっているか? 過去の投稿も含めて一括変更が可能です。
・X(旧Twitter):顔写真の投稿を極力控える。鍵アカウントの検討も。
「そこまでやるのは大げさでは?」と思うかもしれません。しかし、ディープフェイク生成AIの精度は半年ごとに倍々で向上しているのが現実です。大げさなくらいがちょうどいい。
万が一の”通報先”をブックマークしておく
被害に遭ってからパニック状態で調べるのでは遅すぎます。以下のリンクを、今のうちにブックマークしておいてください。
・Google画像削除リクエスト(Google検索の画像三点メニューから直接アクセス可能。新機能は順次ロールアウト中)
・セーファーインターネット協会(SIA):日本国内のリベンジポルノ被害相談窓口
・法務省 人権擁護局:人権侵害に関する相談
・警察庁 サイバー犯罪相談窓口
「備えあれば憂いなし」は、もはやサイバーセキュリティにおいても鉄則です。
Googleの”本気度”は評価する。でも、まだ足りない。
今回のGoogleのアップデートは、被害者のUX(ユーザー体験)を本気で改善しようとした点で、間違いなく前進です。特に「再アップロード防止フィルター」は、長年の課題に対する実効性のある回答と言えます。
しかし、根本的な問題は残っています。
Google検索から消えても、画像はネット上に存在し続ける。 この構造的な限界を、一企業の努力だけで解決するのは不可能です。各国の法整備、プラットフォーム間の連携、そしてAI生成コンテンツに対する規制——やるべきことは山積みです。
そして何より、あなた自身の「予防」に勝る対策はありません。
SNSの公開設定を見直す。自分の名前を定期的にエゴサーチする。万が一のための通報先を把握しておく。
この記事を読み終えたら、スマホを閉じる前に、まずアクション1の「あなたに関する検索結果」の確認だけでもやってみてください。所要時間、たった30秒です。
その30秒が、あなたの未来を守るかもしれません。
出典:【Android Police】
※サムネイル画像はスマホライフPLUS編集部が作成しています。


