
お子さんのiPhone、本当に”安全”ですか?
「子どもにiPhoneを持たせたいけど、変なアプリを入れないか心配……」。そんな声は、スマホが生活必需品になった今、もはや珍しくありません。フィルタリングやスクリーンタイムを設定していても、App Storeには18歳以上向けのアプリが普通に並んでいます。
そんな保護者の不安に、Apple自身がいよいよ本腰を入れて応え始めました。2026年2月24日、AppleはApp Storeにおける年齢確認(Age Assurance)ツールの対象地域を大幅に拡大。ブラジル、オーストラリア、シンガポール、そして米国のユタ州・ルイジアナ州の計5地域で、18歳以上向けアプリのダウンロードに”成人確認”が必須になります。
日本は今回の対象外ですが、「次はうちの番では?」と気になる方も多いはず。今回は、この動きの中身と私たちへの影響をかみ砕いて解説します。
何が変わった? 3つのポイントを整理
ポイント①:3カ国では「即日適用」、18禁アプリに年齢の壁
オーストラリア、ブラジル、シンガポールでは2月24日から、18歳以上(18+)にレーティングされたアプリを、成人確認なしにダウンロードできなくなりました。確認はApp Storeが「合理的な方法」で自動的に行うとAppleは説明しています。
ここで言う「合理的な方法」の具体的な中身は明かされていません。ただ、Appleが新たに提供する「Declared Age Range API」はユーザーの年齢カテゴリ(成人か未成年かといった区分)を返すだけで、生年月日そのものにはアクセスしない設計です。つまり「あなたは何歳ですか?」ではなく「あなたは大人ですか?」だけを確認する仕組み。プライバシーへの配慮が見て取れます。
ポイント②:ブラジルでは「ガチャ=18禁」に自動格上げ
ブラジル独自のルールとして注目したいのが、ルートボックス(いわゆる”ガチャ”)を含むアプリの年齢レーティングが自動的に18+に引き上げられるという点です。
ルートボックスは、ランダムにアイテムが出る課金の仕組み。ゲーム業界では定番の収益モデルですが、「ギャンブル性が高い」として世界的に規制議論が続いています。ベルギーやオランダではすでに一部が違法とされ、日本でも「コンプガチャ」問題が過去に大きな話題になりました。ブラジルがこの流れに乗ったことで、ガチャ規制の世界的な包囲網がまた一段と狭まった形です。
ゲームアプリの開発者にとっては、「ガチャを入れるか否か」がレーティングに直結する時代になりつつあります。
ポイント③:米国2州は「新規アカウント限定」、ただし罰則は強烈
米ユタ州(5月6日〜)と米ルイジアナ州(7月1日〜)でも年齢カテゴリの共有が始まりますが、こちらは新規に作成されたApple Accountのみが対象です。既存ユーザーには当面影響がありません。
ただし、法律の罰則規定は見過ごせません。
ユタ州(App Store Accountability Act):保護者が訴訟を起こせる仕組みで、「実損害」または「違反1件あたり1,000ドル(約15万円)」の大きいほうを請求可能。弁護士費用も対象です。
ルイジアナ州(House Bill 570):州司法長官が執行し、違反1件あたり最大10,000ドル(約150万円)の民事制裁金。ただし原則45日間の「是正期間」があります。
「是正期間」とは、簡単に言えば「違反を指摘されてから罰金が発生するまでの猶予」のこと。いきなり制裁金を課されるわけではないので、開発者にとっては修正チャンスが与えられる形です。とはいえ、1件あたり最大150万円という数字は、小規模な開発者にとって経営を揺るがしかねないインパクトがあります。
メリット vs デメリット──誰が得して、誰が困る?
ユーザー(保護者)にとってのメリット
最大の恩恵は「親がいちいち監視しなくても、仕組み側でブロックしてくれる」という安心感です。これまではスクリーンタイムやファミリー共有で個別に設定する必要がありましたが、App Store自体がゲートキーパーになることで、設定漏れによる”すり抜け”が減ります。
また、Appleがプライバシー重視の設計を貫いている点も評価できます。年齢カテゴリだけを扱い、生年月日や身分証データをやり取りしないため、過度な個人情報収集への不安は軽減されます。
一般ユーザーにとってのデメリット
一方で、成人であっても新たに確認ステップを踏む手間が増えるのは事実です。「自分は大人なのに、なぜいちいち確認されなければならないのか」というストレスを感じる方もいるでしょう。
さらに「合理的な方法」の詳細が不透明なため、将来的に身分証の提示やFace IDによる年齢推定といった、より踏み込んだ手段が導入される可能性もゼロではありません。利便性とプライバシーの天秤は、今後も揺れ続けるテーマです。
開発者にとっての影響
開発者にとっては、地域ごとに異なるルールへの対応が大きな負担になります。「ブラジルではガチャがあれば18+」「ユタ州では保護者の許可が必要なケースがある」など、同じアプリでも国や州によって求められる実装が変わる。特にインディー(個人・小規模)開発者には厳しい状況です。
日本への波及はいつ?
今回の対象に日本は含まれていません。しかし、楽観はできないと見ています。オーストラリアは2024年末に「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」を成立させ、子どものネット利用規制で世界をリードしてきました。日本でも青少年のネット利用に関する議論は国会で続いており、2025年には総務省が年齢確認技術に関する報告書を公表しています。
Appleが対象地域を段階的に広げている動きを見れば、法整備が進んだ地域から順次適用されるパターンが明確です。日本で関連法が整備されれば、同様の仕組みが導入されるのは時間の問題でしょう。
また、Google Playストアも年齢確認の強化を進めており、AppleだけでなくプラットフォーマーI全体の潮流として捉える必要があります。「うちはAndroidだから関係ない」とはならない可能性が高いのです。
まとめ
今回の変更は日本のユーザーに直接の影響はありませんが、今のうちに以下を確認しておくと安心です。
保護者の方は、iPhoneの「設定」→「スクリーンタイム」→「コンテンツとプライバシーの制限」から、App Storeでのダウンロード制限が適切に設定されているか見直してみてください。現状ではこれが日本における最も確実な防御策です。
アプリ開発者の方は、Appleが公開した「Declared Age Range API」のベータ版ドキュメントに目を通しておくことをおすすめします。対象地域が拡大された場合にスムーズに対応するための”予習”になります。
Appleの年齢確認強化は、スマホが子どもの生活に深く入り込んだ現実への、遅すぎたかもしれないけれど確実な一歩です。次の対象地域に日本の名前が並ぶ日が来たとき、慌てずに済むよう、今から準備しておきたいところです。
出典:【9to5mac】
※サムネイル画像はスマホライフPLUS編集部が作成しています。



