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「買い切り型」ゲームは時代遅れ?ライブサービス型への移行が続く理由と課題

かつて、家庭用ゲームといえば「パッケージを購入して遊ぶ」というスタイルが主流で、一度購入すれば、そのゲームの持つ世界観や物語を最後までじっくりと楽しむことができました。

一方、現在、市場では「ライブサービス型ゲーム」と呼ばれる、リリース後も継続的にコンテンツが追加・更新されていくモデルが勢いを増しています。基本プレイ無料(Free to Play, F2P)で提供されることも多く、アイテム課金やシーズンパスといった形で収益を上げるのが一般的です。

「買い切り型」ゲームは時代遅れ?ライブサービス型への移行が続く理由と課題1
(画像は「フォートナイト」公式サイトより引用)
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ライブサービス型ゲームの最大の魅力の一つは、ゲームが「生きている」かのように進化し続ける点です。たとえば、Epic Gamesの『Fortnite』はシーズンごとにマップが大きく変化し、新たな武器やアイテム、ゲームモードが追加されることで、プレイヤーを飽きさせません。

「買い切り型」ゲームは時代遅れ?ライブサービス型への移行が続く理由と課題2
(画像は「Apex」公式サイトより引用)

同様に、『Apex Legends』では定期的に新キャラクター(レジェンド)が登場し、既存マップにも手が加えられることで、常に新鮮な戦略や戦術が求められます。

一本のタイトルを正式に購入し、物語へと没入して「じっくりと楽しむ」のは時代遅れになりつつあるのでしょうか?

「買い切り型ゲーム」が置かれている現状を見ていきましょう。

なぜ「ライブサービス型」のゲームが増加したのか

ライブサービス型ゲームが増加している背景を考えるうえでは、まず「買い切り型」のタイトルの各ユーザーから得られる収益が初回の売り上げに限定されてしまうという課題がある。

AAA(トリプルエー:大規模予算を投じた大作)タイトルの開発費は年々高騰しており、従来の買い切りモデルでは、初回の売り上げだけで開発費を回収し、十分な利益の確保が難しくなってきています。

なぜ「ライブサービス型」のゲームが増加したのか1
(画像は「PlayStation」公式サイトより引用)

たとえば2023年10月に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売された『Marvel’s Spider-Man 2』は発売から24時間で250万本を売り上げたと報じられましたが、開発費は1作目の3倍にあたる3億ドル(当時約430億円)。初動では開発費は回収できなかった計算になります。

これに対し、ライブサービスモデルは、継続的なコンテンツ提供を通じて、プレイヤーからの追加収益を得る機会を長期的に創出します。これにより、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化が期待できます。また、プレイヤーの行動データを収集・分析し、それに基づいてゲーム内イベントや新コンテンツを投入することで、プレイヤーのエンゲージメント(ゲームへの関与度)を高め、より長く遊んでもらうための施策を打ちやすくなるという側面もあります。

「モノ」ではなく「コト」を消費するユーザーの増加

「モノ」ではなく「コト」を消費するユーザーの増加1
(画像は「photoAC」より)

かつてはゲームソフトという「モノ」を購入し所有することが一般的でしたが、ライブサービス型ゲームの普及により、継続的なアップデートやオンラインでの他者との交流といった「体験」そのものが重視されるようになりつつあることも「ライブサービス型」ゲームのトレンドに拍車をかけている面もあるでしょう。

ライブサービス型ゲームでは、プレイヤーが単なる消費者ではなく、ゲーム世界の「参加者」であるという意識を持ちやすい構造があります。たとえば、ゲームのアップデート内容や運営方針に対して、フォーラムやSNSを通じて意見を発信し、それが実際にゲームに反映されるかもしれないという期待感は、プレイヤーの当事者意識を高めます。

一部の研究では「ゲームに対する共感が高い人ほど、ライブサービス型ゲームへの選択意向が高まる可能性」も示唆されており、この「共感」はゲームへの参加意識と深く関連していると考えられます。

ライブサービス型ゲームが提供する「コト」の例

ライブサービス型ゲームは、プレイヤーを飽きさせないために、定期的なコンテンツアップデートが不可欠です。デイリーミッション、ウィークリーミッション、期間限定イベント、ログインボーナスなどはその典型です。これらの要素は、ゲームを習慣化させ、エンゲージメントを高める効果があります。

また大型のDLCの追加などもゲームの「ライブサービス型への移行」の一例と言えるでしょう。従来の買い切り型ゲームであれば一度クリアすれば終わりであったゲームに対して、ライブサービス型ゲームが提供する「終わりがない」という感覚は、プレイヤーに常に新しい刺激や目標が提供され続けることへの期待感を生み出します。

もっともプレイヤーにとっては「常にゲームのことを気にしていなければならない」というプレッシャーになるでしょう。

またそもそもライブサービス型ゲームで、有償アイテムなどに実際に課金を行うユーザーは全体の中ではごく少数にとどまるのが一般的です。「P2W(Pay to Win)」とも呼ばれるゲーム内で課金要素によって有利なアイテムや能力を得られるようなゲームバランスは、ゲームの収益には一定程度貢献しても、他の多くのユーザーの支持を失うきっかけにもなり、最終的にタイトルを衰退させるリスクもあります。

さらに長期間運営される中で、どうしてもコンテンツがマンネリ化してしまうリスクも伴います。新しい要素が追加されても、基本的なゲームプレイの構造が変わらなければ、古参プレイヤーは飽きてしまい、新規プレイヤーにとっては複雑化しすぎたシステムや膨大な過去コンテンツが参入障壁となってしまうこともあります。

ライブサービス型ゲームの開発中止も続く

ライブサービス型ゲームの開発中止も続く1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

最近ではゲームのリリース直後のサービス終了や、開発中止なども相次いでいます。たとえばスマートフォン向け位置情報ゲーム「KINGDOM HEARTS」は2022年にタイトルが発表されましたが、リリース予定だった2024年に配信の延期が発表され、結局2025年5月に中止が発表されることに。

さらに開発に8年かけたといわれているソニー・インタラクティブエンタテインメント「CONCORD」は発売からわずか2週間で、サービス中止を発表しています。

つまりライブサービス型ゲームへの移行がトレンドになりつつあるのは事実ですが、ライブサービス型ゲーム「だから」成功するとも言えないのが現状でしょう。

ゲームの開発費の高騰はゲーム業界にとって、買い切り「だけ」では製作費を回収できないレベルまで進んでいるのは事実です。とはいえ、ライブサービス型ゲームもまだまだ課題は大きいと言えます。

見直される「買い切り型」ゲームの価値

ライブサービス型ゲームが市場を席巻する一方で、その課題も浮き彫りになる中、買い切り型ゲームならではの価値が再評価されつつあります。

買い切り型ゲームの最大の魅力は、一度購入すれば、制作者が意図した純粋なゲーム体験に最後まで集中できる点です。追加の課金要素や、継続プレイを促すための時間的制約を気にすることなく、自分のペースで物語の深淵に触れたり、緻密に設計されたゲームシステムをじっくりと味わったりすることができます。この「完結性」は、プレイヤーに深い満足感と達成感を与えてくれます。

全てのゲームがライブサービス型に向かう必要はなく、また、そうなるべきでもありません。重要なのは、各ゲームの特性、ターゲットとするプレイヤー層、そして制作者が提供したい体験に最適なビジネスモデルを選択することです。たとえば、重厚なストーリーや芸術性を追求するシングルプレイ中心のゲームでは買い切りモデルが適している一方、プレイヤー間の協力や競争、コミュニティ形成を重視するゲームではライブサービスモデルがその強みを発揮しやすいでしょう。

実際には、これら二つのモデルは単純な二項対立ではなく、多様な形で共存し、時には融合しています。たとえば買い切り型の本編をベースとしつつ、発売後に大型の有料ダウンロードコンテンツ(DLC)を提供することで、ゲームの世界を拡張し、長期的にプレイヤーを楽しませるハイブリッドなモデルも成功を収めています。

結局のところ、プレイヤーが求めているのは、多様な選択肢と、それぞれのビジネスモデルの長所を活かした質の高いゲーム体験です。画一的なモデルに収束するのではなく、ゲームの内容やジャンルに応じて最適な形が模索されるべきでしょう。

※サムネイル画像は(Image:​「フォートナイト」公式サイトより引用)

スマホライフPLUS編集部

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