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「MP3」は時代遅れ? 意外と知らない「AAC」と「MP3」の違い

音楽ファイルを再生したり、CDからリッピングする際に「MP3」形式を目にするケースが減った方が多いのでは? 近年主流のファイル形式は、不可逆圧縮音源で、Spotifyなどにも採用されている「AAC」。

SpotifyやApple Music、YouTube Musicに採用される「AAC」1
(画像は筆者作成)
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また、MP3やAACとは異なり、可逆圧縮音源として代表的なものに「FLAC」があります。それでは、MP3はすでに時代遅れなのでしょうか? 今回は、AACとMP3の違いや、MP3が時代遅れになりつつある理由について解説します。

Spotifyなどストリーミングサービスに採用される「AAC」

まずMP3は少なくとも「音楽ストリーミングサービスに採用されるファイル形式」としては時代遅れ感が否めません。たとえば音楽ストリーミングサービスの代表格である「Spotify」に採用されているのは、AACです。デバイスやプランによって音質は変わりますが、最高で320 kbit/秒の音質でファイルが配信されています。

SpotifyやApple Music、YouTube Musicに採用される「AAC」1
(画像は「Spotify」公式サイトより引用)

なお、AACとMP3はともに「不可逆圧縮音源」です。音楽データを圧縮する際に一部の情報を削除することで、ファイルサイズを大幅に削減する方式で、人間の聴覚特性を利用し、聞こえにくい周波数の音を無視したり、音を間引いたりすることで圧縮を行います。

そしてAACは実質的に「MP3の後継」に当たる不可逆圧縮音源です。特に低ビットレート(128kbps以下)では、AACの優位性が顕著になりやすいです。そのためネットワークの接続状況にもよりますが、低音質で再生されることの多いストリーミングサービスではAACがフォーマットとして選ばれるケースが多いです。

ちなみにAACはAppleの「iPod」や、NTTドコモ「FOMA」などで採用され、一躍有名になったフォーマットです。音声圧縮規格としてメジャーになったのはここ20年弱です。

なぜ「MP3」はあまりサブスクで採用されないの?

MP3が音楽ストリーミングサービスでファイル形式として選ばれるケースは、少なくとも2024年現在「稀」です。その理由はやはり、特に低ビットレートにおける音質的な面での「AACの優位性」が挙げられます。

またMP3は2017年に特許ライセンスが終了していますが、特許が継続していた期間には権利侵害をめぐって様々な係争が行われたフォーマットでもあります。その点、先にご紹介したAACは特許ライセンスの形態が分かりやすいフォーマットであるという一面も持ち合わせています。

事実、AACのライセンスを管理するVia Licensing社の公式ウェブサイトでは「ライセンス料はエンコーダーおよび/またはデコーダーの販売時にのみ発生します。AACでエンコードされたファイルの配布には、それが放送、ネットワーク経由のストリーミング、または物理的なメディアでの提供のいずれであっても、特許ライセンス料は発生しません(※注:筆者訳)」と明言されています。

そのため2017年にMP3の特許ライセンスが終了したとはいえ、2017年に至るまでにMP3の代替技術がすでに十二分に研究されており、ライセンスの明快さも含めて「AACで十分」なケースが増えたと言えるでしょう。

なお可逆圧縮も含めると、完全にフリーで利用できる「FLAC」の採用ケースも非常に増えてきています。

「MP3」は時代遅れのフォーマット?

ここまで述べてきた通り、MP3は「時代遅れのフォーマット」になってしまった感が否めません。

MP3の実質的な上位互換として、すでに「AAC」が定着しているのはまぎれもない事実です。加えて近年では、VorbisやFLACなどのオープンソースの音声フォーマットも普及してきています。これらのオープンソースのフォーマットは「特許使用料が不要であること」が最大の特徴です。そのため音楽配信サービスでも採用が増えています。

Vorbisは圧縮音声フォーマットとして、FLACは可逆圧縮フォーマットとして、それぞれ異なるニーズに応えていると言えるでしょう。

過去の音声ファイルを使える基本形式としては価値がある

とはいえMP3は特許ライセンスが切れたことで、特許が継続していた期間に比べれば柔軟な使用が可能なフォーマットになったことも事実です。加えてMP3は確かに技術的には古い規格ですが、長年に基本的な音声フォーマットとして使われてきたこともまた事実です。

特に過去にCDなどからリッピングされた膨大な数のMP3ファイルが、現在もHDDやSSDに多数残っている方は多いでしょう。こうしたいわば「レガシーデータ」の再生では、MP3の再生に対応するメディアプレーヤーの需要はそう簡単に失われることはないでしょう。

「MP3」「AAC」にその他の違いはあるの?

MP3とAACの違いについて、本稿では主に「低ビットレートでのAACの優位性」と「ライセンスの明快さ」に言及しました。特に低ビットレートにおいてAACが優位であるという点は、音声圧縮技術の効率性において「AACが優れている」ことを示しています。

では、これら以外にMP3とAACにはどのような違いがあるのでしょうか?

あえて挙げるとすれば、「互換性の違い」があります。MP3は長年にわたり非常に広く普及した音声フォーマットであり、デジタルオーディオプレーヤーで「MP3再生に非対応のデバイス」を見つけるのは、むしろ難しいと言えるでしょう。

一方、AACはApple製品(iPodなど)やSpotifyなどのストリーミングサービスで標準的に使用されています。しかし、一部の古いデバイスではAACへの互換性が低い場合があります。

稀ではありますが、iPod以外の古いデジタルオーディオプレーヤーでファイルを再生しようとした際、AACに対応していないケースも存在します。そのため、中古のデジタルオーディオプレーヤーを購入する際は、対応フォーマットを事前に確認することをおすすめします。

※サムネイル画像(Image:Fabio Principe / Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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