「東京アプリ、ニュースで見てインストールはしたけど、そのまま放置している」「11,000ポイントがもらえるって聞いたけど、マイナンバーカードの設定が面倒で止まっている」。そんな方は少なくないはずです。
そんな”放置組”にとって見逃せない動きが、10月28日に東京都から発表されました。都が「東京アプリ普及促進パートナー」として企業を募集し、店舗やイベントの現場でアプリの紹介や操作サポートを担ってもらうというものです。これは単なる行政のお知らせではなく、「スマホの設定が苦手で止まっていた人」の壁を取り払う可能性を秘めた施策です。順を追って解説します。

そもそも「東京アプリ」とは何か
東京アプリは、2025年2月(令和7年2月)にリリースされた東京都の公式アプリです。都の行政サービスの情報にアクセスしたり、社会的意義のある活動に参加したりする窓口として設計されており、「スマホ一つで行政とつながる」ことをコンセプトに掲げています。
多くの人がこのアプリを知ったきっかけは、やはり「東京ポイント」でしょう。現在実施中の「東京アプリ生活応援事業」では、アプリ上でマイナンバーカードによる本人確認を済ませた都民に11,000ポイントが付与されます。物価高対策という位置づけで、対象は都内在住の15歳以上。実施期間は2027年4月1日(令和9年4月1日)までとなっており、今からでも十分に間に合います。 貯まった東京ポイントはau PAYやdポイント、楽天ペイ、Vポイント、メルカリポイントのほか、2026年7月からはPayPayポイントやWAON POINTにも交換できるようになっており、「使い道がない」という心配はほぼ不要です。
そして10月30日(金)10時、アプリは「より見やすく、使いやすい」ことを目指したリニューアルを迎えます。ボタンが大きくなって直感的に操作しやすくなるほか、読み上げ機能が充実し、顔認証や指紋認証(パスキー)でパスワード入力なしにログインできるようになる予定です。今回のパートナー募集は、この新バージョンを一気に広めるための布石と読むのが自然です。
今回の発表の核心!「店頭で教えてくれる人」が増える
パートナー企業が担う5つの役割
都が企業に求めている取り組みは、次の5つです。
- 東京アプリに関する情報発信・普及啓発
- 店舗、事業所、イベントなどでのアプリ紹介
- スマホ操作に不慣れな人への利用支援・相談機会の提供
- 都の事業やキャンペーンへの協力
- その他、都と連携した普及促進の取り組み
ここで注目すべきは3番目です。マイナンバーカードをスマホにかざして本人確認する手順は、「デジタル認証アプリ」という別アプリのインストールや、4桁の暗証番号を2種類入力する作業が必要で、慣れていない人にはかなりハードルが高いのが実情です。この「最初の一歩」を店頭で手伝ってもらえるなら、放置していた人が動き出すきっかけになります。
応募できるのは”大きな店”か”多店舗展開”の企業
応募条件を見ると、都の狙いがよく分かります。
- 都内に店舗面積1,000㎡超の店舗を持つ企業
- 都内に10店舗以上を展開する企業
- または、東京都とワイドコラボ協定を結んでいる企業
つまり、大型商業施設や家電量販店、ドラッグストア、コンビニ、スーパーなど「都民が日常的に足を運ぶ場所」が想定されています。パートナーには都からのぼりやチラシなどの広報資材が提供され、ロゴマークの無償使用や都のウェブサイトへの企業名掲載といった特典もあります。応募期間は11月2日(月)10時から11月13日(金)正午まで、結果は12月上旬に公表予定です。
この制度で「得する人」と「変わらない人」
得する人:設定で止まっていた層、家族のサポートをしている層
実は都は、2026年7月から都議会議事堂などに「東京アプリサポートセンター」を設け、対面サポートをすでに始めています。ただしこちらは予約制の講義形式で、わざわざ足を運ぶ必要があります。買い物ついでに立ち寄れる店頭で聞ける場所が増えれば、スマホの設定に苦手意識がある方や、高齢の家族にアプリを使わせたいけれど自分で説明しきれないという方にとって、心理的な負担は格段に軽くなるはずです。
変わらない人:すでに本人確認まで済ませている層
一方で、すでにポイント受け取りまで完了している方にとっては、直接的な変化はほぼありません。ただし見方を変えると、パートナー企業が「東京アプリを活用した都のキャンペーンへの協力」を求められている点は見逃せません。今後、提携店舗でのポイント施策や特典が広がる可能性は十分にあり、「使い続ける理由」が増えていく展開は期待できます。
注意点:端末要件を先に確認する
本人確認にはNFC対応のスマホが必須で、iPhoneはiOS16以降、AndroidはAndroid 11以降が対象です。古い端末を使い続けている方は、店頭で相談する前にこの条件を満たしているかだけ確認しておきましょう。マイナンバーカード自体の有効期限が切れていないかも要チェックです。
本質は「アプリ」ではなく「本人確認の完了率」
この施策を眺めていて感じるのは、都が本気で気にしているのは「ダウンロード数」ではなく「マイナンバーカード認証まで到達した人の数」だということです。当初7,000ポイントだった付与額を4,000ポイント上乗せして11,000ポイントにし、サポートセンターまで設けても、認証の手順でつまずく人が一定数いる。その”最後の一歩”を、行政の施設ではなく民間の店頭で埋めにいくのが今回の発表です。
自治体アプリは全国で乱立していますが、「ポイントで引き込み、店頭でサポートし、リニューアルで使い勝手を上げる」という三段構えは、かなり実務的なアプローチだと言えます。読者目線で言えば、「入れるかどうか」で迷う段階はもう終わっており、「いつ認証を済ませるか」を決めるフェーズです。期限は2027年4月1日ですが、年度末は窓口もサポートも混み合いがちです。パートナー企業の店頭サポートが12月以降に本格化するとすれば、年内から年明けにかけてが最もスムーズに進められるタイミングでしょう。

今日からできる3ステップ
- 端末を確認する:iPhoneならiOS16以降、AndroidならAndroid 11以降か、設定画面でチェック。
- 2つのアプリを入れる:「東京アプリ」と、デジタル庁の「デジタル認証アプリ」。
- 暗証番号を思い出しておく:マイナンバーカード交付時に設定した4桁の暗証番号が2種類必要です。忘れている場合は、店頭サポートに行く前に区市町村の窓口で再設定しておくと一度で済みます。
10月30日のリニューアル後に、新しくなった画面で一度立ち上げてみてください。「あったら便利な機能」の意見はアプリ内のアンケートから都に直接届けられるので、使ってみて感じたことをそのまま投げてみるのも、都民ならではの関わり方です。
出典:東京都(東京アプリ普及促進パートナー募集)、東京都(東京アプリリニューアル)
参考:東京都(東京アプリ生活応援事業)、東京都(対面サポート開始)、東京都(対面サポート拡大)、東京都(東京アプリリリース)、東京都(補正予算資料)、DXマガジン



