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SNS上で急増する「お金配り」への応募は危険? 現金配布の裏にある仕組み

2019年1月、実業家の前澤友作氏がフォロワーに総額1億円をプレゼントするという企画を行ったことで注目された「お金配り」。

前澤氏の同企画から長い年月が経ち、2025年現在、SNSには一般人による「お金配り」も見受けられるようになりました。

その中には安易に応募すると個人情報を抜き取られたり、詐欺に利用されるといった危険なものもあります。つまり前澤氏の企画で注目された「お金配り」という仕組みは、残念ながらそれを悪用する人が少なからず存在しているのもまた事実です。

今回は悪用が目立つようになってしまった「お金配り」の裏にある仕組みをご紹介します。

SNSで急増する「お金配り」の裏にある仕組み(例)

SNSで急増する「お金配り」の裏にある仕組み(例)1
(画像は筆者作成)
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SNS上の「お金配り」を悪用する仕組みの一例には「振り込め詐欺」との組み合わせがあります。犯人グループはSNSで「お金配り」を宣伝し、ユーザーの口座情報を取得。実際にお金を配ることで、ユーザーからの信頼をまず獲得します。

その後、高齢者を対象に「振り込め詐欺」を実施。その振込先に集めた口座情報を用います。そして利用した口座の保有者に対しては「間違えて100万円入金してしまいました!10万円は差し上げるので90万円は返してください」などと伝えることで、資金の回収を行います。

この場合、お金配りへの応募者は知らないうちに「謝礼を受け取る形で、詐欺の受け子を行った」という立場になってしまいます(※)。お金配りへの応募者が最終的に詐欺に加担したとして逮捕される可能性もあります。

(※)こうしたシナリオが本当に悪意を持って行った詐欺事件で「言い訳」として利用されているケースもあります。

前澤友作氏の「お金配り」詐欺に関する見解は?

「お金配り」が注目されるきっかけとなったのは、冒頭でも述べた前澤氏の企画であることは間違いありません。そんな前澤氏は2024年3月17日、Xで「お金配り」詐欺について言及しています。

前澤氏はお金配りはあくまでマーケティングやキャンペーンにおける「発明」であり、「いつの時代も発明を悪用する人が出ないように規制するのがプラットフォーマーや当局の役割」と、詐欺を野放しにしているプラットフォーム側の責任を指摘しています。

お金配りは爆発的な注目を集める「発明」である一方で、その発明を悪用する人に対する規制の在り方や対策が確立されていないのが現状と言えるかもしれません。

「PayPay倍増配布」など現金以外の電子決済による配布も増加傾向

前澤氏がお金配りを大々的に行った2019年頃と現在で大きく違うのは「キャッシュレス決済」や「暗号資産」の普及度合いでしょう。近年は現金以外の配布も大きく増えました。特に目立つのは、PayPayの配布です。

「PayPay倍増配布」など現金以外の配布も増加傾向1
(画像は筆者作成)

応募者がPayPayで送金した金額の倍額を返金するという「PayPay倍増配布」という手法もあります。このPayPay倍増配布では、フォロワー増加を目的にPayPayを配布しているなどと銘打った上で「500円を送金してくれたら1000円返します」「予算5万円の配布が終わり次第企画終了します」といった謳い文句でユーザーを集めます。

倍増配布である代わりに少額の配布を謳っているケースが比較的目立ち「フォロワーを増やすには、数万円程度ならPayPay倍増配布をすることもあるかもしれないな」などと思惑を読み取ったユーザーが、残念ながら実際に応募をしてしまうケースも見受けられます。

「PayPay倍増配布」では送金した金額が返ってこないリスクはもちろん、PayPayアカウントの情報を詐取される可能性もあります。さらに、応募した最初は本当に倍額してくれるものの、金額が大きくなった途端に返さなくなるというケースもあるため、安易な応募は絶対にやめましょう。

「現金配布」を謳う人に個人情報を渡してしまった場合の対処法

「お金配り」「PayPay配布」などに応募した場合、氏名や口座情報など個人情報を渡してしまうリスクがあります。

また「お金配り」では、はじめのうちは本当にお金が入金されることが多いようです。相手に対する信頼感が醸成されるうちにメールアドレスや住所などその他の個人情報を渡してしまう場合もあるかもしれません。

SNS上で急増する「お金配り」への応募は危険? 現金配布の裏にある仕組みの画像1
(画像は筆者作成)

すると最終的に「氏名」「住所」「口座情報」などが相手の手元に揃い、その個人情報を人質にとるような形で闇バイトへの加担などを要求される可能性があります。

もしすでに個人情報を詐欺師に渡してしまった場合は、すぐ警察に相談し、被害の届け出を行いましょう。また、銀行口座の情報を渡してしまった場合は、取引のある金融機関に連絡し、不正利用の監視を依頼します。電話番号を変更したり、迷惑メール対策を強化したりするなど、二次被害を防ぐために、警察や金融機関に相談するなど早急な対応が重要です。さらに、クレジットカード情報を渡してしまった場合は、カード会社に連絡して再発行を依頼することをおすすめします。

※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています

監修日:2025年1月27日

清水陽平/法律事務所アルシエン・弁護士

清水陽平/法律事務所アルシエン・弁護士

法律事務所アルシエン 共同代表パートナー。2007年弁護士登録(60期)。2010月11月法律事務所アルシエンを開設。
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力。総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)の構成員。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を務める。

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