2025年2月19日、JR東日本は乗り鉄ご用達のフリーきっぷ「週末パス」を、2025年6月27日で廃止すると発表しました。さすがに、この決定には乗り鉄からも悲鳴が上がっていますが、いったいどのくらいおトクなきっぷだったのでしょうか?
JR東日本の特別企画乗車券「おトクなきっぷ」は乗り鉄ご用達!
JR東日本では、通常のきっぷ以外に特別企画乗車券「おトクなきっぷ」を販売しています。
たとえば、新幹線や特急が割引となる「トクだ値」、新潟県内のJRがフリーエリアとなる「えちごワンデー/ツーデーパス」、首都圏がフリーエリアとなる「のんびりホリデーSuicaパス」などがあります。
もちろん、期間限定の「青春18きっぷ」や「秋の乗り放題パス」などもおトクなきっぷの一種です。
そのなかでも、乗り鉄に人気が高かったのが、広大なエリアで第三セクター鉄道も利用できて8,880円と低価格の「週末パス」ですが、残念ながら2025年6月27日で販売終了されることになりました。
筆者も、週末パスをよく利用していた一人ですが、いったいどのぐらい便利でおトクだったのか振り返ってみましょう。
●JR東日本公式サイト「週末パス」は→こちら

「週末パス」は広大なフリーエリアが利用できて8,880円と格安!
「週末パス」は、繁忙期以外の毎週末(土・日・祝)に設定される企画きっぷで、土日や日祝など連続する2日間に設定されます。
価格は8,880円で、利用日の前日まで駅の指定席券売機から購入可能。子ども料金は半額以下の2,600円でさらにおトクです。
週末パスの特徴は何と言ってもエリアの広さ。南はJR伊東駅、北はくりこま高原駅や酒田駅、西は上越妙高駅や南小谷駅まで。東は千葉県から宮城県の女川駅まですべてフリーエリアなのです。

さらに、週末パスは新幹線や特急の乗車券にもなるため、特急券を追加するだけで新幹線や特急に乗れるのがいいんです。
たとえば、東京駅から新潟や仙台を観光するとき、普通に新幹線のきっぷを往復割引で購入するより、週末パス+新幹線特急券のほうが2,000円ほど安くなるんですね。
■週末パスはどのくらいおトク?
【1】新幹線で東京駅〜新潟駅を往復した場合
2万1,120円(新幹線eチケット・普通指定席・往復割)
【2】週末パスを利用して新幹線で東京駅〜新潟駅を往復した場合
8,880円(週末パス)+1万80円(紙のチケット・普通指定席)=1万8,960円
【1】2万1,120円-【2】1万8,960円=2,160円おトク!

週末パスはJR以外の第三セクター鉄道にも乗れる!
週末パスが乗り鉄に愛されているのは価格が安いだけでなく、JR以外の第三セクター鉄道もフリーエリアに含まれていること。
「青春18きっぷ」はJR路線が乗り放題になりますが、JR以外の第三セクター鉄道は対象外となっています。しかし、週末パスなら“14社”もの第三セクター鉄道も乗り放題になるんですね。
たとえば、長野駅から湯田中渋温泉を結ぶ「長野電鉄」や飯坂温泉を訪れる際に便利な福島交通の「飯坂電車」、茨城県の沿岸を走る「鹿島臨海鉄道」、トンネルが多い「北越急行」など、週末パスがあればさまざまな地域へ気軽に行くことができるのです。
また、第三セクター鉄道が利用できることでスムーズな乗り換えも可能。とくに長野駅から新潟方面へ普通列車で北上するには「しなの鉄道」を経由する必要がありますが、週末パスなら改札を出ることもなく追加費用も必要ないんです。


JR東日本ではほかにも2つのおトクなきっぷが廃止される!
JR東日本が廃止を決めたおトクなきっぷはほかにもあります。それは「首都圏週末フリー乗車券」と「東京フリー乗車券」。
首都圏週末フリー乗車券は新潟・長野エリア発の場合で25年3月30日までの土休日、それ以外はどちらとも25年6月27日で発売終了となります。
首都圏週末フリー乗車券は、往復乗車券とフリーきっぷが合わさった企画きっぷで、地方から東京へ遊びに行くのに便利なきっぷです。
連続する2日間に利用可能で、繁忙期以外の土日祝に設定されています。ただ、指定方法や価格が特殊で使いにくい面もありました。
たとえば、JR秋田駅から首都圏週末フリー乗車券を利用すると価格は1万3,930円、JR青森駅からは1万4,980円、JR福島駅からは7,650円と、出発駅によって価格が変わってしまうんですね。
しかも、この金額には出発駅から東京までの往復運賃と、フリーきっぷの代金しか含まれておらず、新幹線を利用するには、別途新幹線特急券を購入する必要があるのです。
また、えきねっとから購入することもできず、地元の指定席券売機やみどりの窓口からしか購入できないのも、けっこう不便でした。
●JR東日本公式サイト「首都圏週末フリー乗車券」は→こちら

東京フリー乗車券も往復乗車券とフリーきっぷが合わさった企画きっぷ。利用期間は長く、連続する4日間利用可能ですが、こちらも価格が分かりにくいうえに、新幹線利用時には新幹線特急券を追加しないといけません。
また、出発地点の設定が少ないのも難点。羽後本荘駅、象潟駅、酒田駅、余目駅、鶴岡駅、あつみ温泉駅のみが出発地点になるので、利用できる人はかなり限定されるでしょう。
価格は大人1万1,420円、子ども5,710円なのでけっこうおトクなのですが、ちょっと分かりにくですよね。
●JR東日本公式サイト「東京フリー乗車券」は→こちら
ちなみに、上記のフリーエリアはSuicaが必須の企画きっぷ「のんびりホリデーSuicaパス」で代用可能。価格は1日あたり大人2,670円、子ども1,330円です。
つまり、地元から深夜バスなどの列車よりも格安な移動手段で東京まで来て、「のんびりホリデーSuicaパス」で観光したほうが安くつくので、この企画きっぷが終了してしまうのも仕方ありませんね。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は、25年6月27日に廃止されるJR東日本の特別企画きっぷ「週末パス」の、おトク度や使い勝手の良さを紹介しました。
週末パスは、東京駅から新潟駅や仙台駅の往復なら普通に新幹線の往復割引乗車券を買うよりも安くなります。そのため、乗り鉄だけでなく旅行や出張でもおトクに使えるんですよね。
また、同時に廃止される「首都圏週末フリー乗車券」と「東京フリー乗車券」のほうは使い勝手が悪く、利用者も限定されていました。
首都圏のフリーエリアは「のんびりホリデーSuicaパス」で代用できるので、首都圏の観光ならこちらで大丈夫でしょう。
週末パスのヘビーユーザーだった筆者としては、この廃止決定はかなり悲しいのですが、代わりのフリーきっぷが用意されることを切望しています。
※文中の価格はいずれも税込です。