1964年に世界初の高速鉄道として誕生した日本の新幹線。現在は北海道から九州まで縦断しており、ビジネスや旅行などで利用したことがある人も多いでしょう。でも、新幹線にはあまり知られていない秘密があるのをご存じでしょうか? そこで今回は、新幹線に隠された6つの秘密を紹介します。

【1】新幹線の線路は東と西で分断されている
北は北海道から南は九州まで日本を縦断している新幹線ですが、実は東と西で線路が分断されているのをご存じでしょうか?
分断されているのはJR東京駅。東(北)へと向かう北海道・東北・秋田・山形・新潟・北陸新幹線と、西(南)へ向かう東海道・山陽・九州新幹線の線路はつながっていないのです。
たとえば、東海道新幹線の新大阪駅から東北新幹線の新青森駅に新幹線で行こうとすると、必ず東京駅で乗り換える必要があるんですね。

ちなみに、分断されている新幹線はもうひとつあります。それは2022年に開業した西九州新幹線。これは博多駅と長崎駅を結ぶ予定の路線ですが、長崎駅-武雄温泉駅間が先行整備されたため、途中の武雄温泉駅-新鳥栖駅間は在来線となっているのです。


【2】330円で新幹線に乗れる区間がある
新幹線といえば長距離移動がメインなので、乗車券+新幹線特急券の料金はけっこう高いイメージがありますよね。でも、実はたった330円で乗れる区間があるのをご存じでしょうか?
それは博多駅-博多南駅間の博多南線。この区間は2駅(8.5km)を8分程度で移動する特急ですが、使用されている車両は新幹線です。そのため乗車券200円+自由席券130円=330円で新幹線に乗れてしまうんですね。
そもそも、博多南駅がある那珂川市・春日市は、山陽新幹線が博多駅まで開業した1975年から住宅地として開発されましたが、博多までバスで1時間ほどかかる不便な場所でした。
しかし、この地域に「JR西日本 博多総合車両所」があったので、“どうせ新幹線を博多駅から回送で車両所まで移動させるなら、この区間を営業線として活用しては?”という話になったそうです。
そのため、1990年に博多南駅を開業し、短い距離にもかかわらず新幹線車両が在来線の特急扱いで運行されているんですよ。
ちなみに、博多南駅はJR西日本の車両所の敷地内に作られた駅なので、九州にありながらJR西日本の管轄になっています。チケットもe5489から購入できますし、駅情報もJR西日本のサイトに掲載されています。

【3】新幹線ホームの自動販売機の「硬いアイス」は硬くない
現在、東海道新幹線や山陽新幹線の普通車での車内販売は終了されていますが、やはり、今でも、新幹線に乗ると無性に食べたくなるのが車内販売されていた硬いアイス。
実は、この社内販売されていたアイスは現在も東京駅の東海道新幹線ホームにある自動販売機で販売されています。

でも、この自動販売機のアイスは車内販売で購入したアイスと硬さが違い、柔らかく食べやすいのをご存じでしょうか?
車内販売のアイスが硬いのは、車内販売用クーラーボックスを冷やす役割をこのアイスが兼務しているから。そのため、始発すぐのアイスはカッチカチに冷やされて硬くなっており、熱海駅ぐらいまではかなり硬かったんですね。
もちろん、ホームにある自動販売機ではクーラーボックスを冷やす役目がなく、通常のアイスの適温で販売されているので、さほど硬くないのです。
ちなみに、JR東日本とJR東海、JR西日本が共同で開発した「スジャータアイスクリーム(岡山県産シャインマスカット)」も新発売されていますが、これはかなり美味しいのでおすすめですよ。
【4】ドクターイエローはまだ見られる
東海道・山陽新幹線で運用されていた検測・点検用新幹線「新幹線923形電車(以下、ドクターイエロー)」は、2025年1月29日にJR東海が保有していた車両(T4編成)が引退しました。
そのため、「ドクターイエローの走っている姿はもう見られない」と思っている人も多いようです。
でも、最新のドクターイエローは2編成あって、2025年に引退した車両はJR東海が所持している1編成(T4編成)だけなんですね。また、JR西日本が所有しているドクターイエロー(T5編成)はまだ引退していません。
したがって、今でも東海道・山陽新幹線でドクターイエローの走行姿を見ることができるかもしれないんですよ。
ちなみに、現在使われているドクターイエロー(T5編成)は2027年度に引退する予定です。

【5】福島駅の新幹線ホームに山形新幹線の新ルートが建設中!
JR福島駅は、山形新幹線と東北・北海道新幹線の分岐駅となっています。そのため、14番線に入った新幹線は山形方面と青森・北海道方面に分かれて運用されています。
しかし、山形新幹線はこの14番線しか入ることができないため、新幹線を併結・分離ができるのはこの14番線しかありません。
そのため、上り列車と下り列車が両方とも14番線に入る必要があり、利用者には少しややこしい状況でした。
しかも、山形新幹線が遅れてしまうと14番線を空けていなければならず、ほかの新幹線にも影響が出てしまう可能性があったのです。
●JR東日本「福島アプローチ線プロジェクト」は→こちら
この不具合を解消するため、JR福島駅では新たな山形新幹線の約2キロにも及ぶアプローチ線を上りホーム11番線に工事中。そのため、現在11番線は封鎖されています。
地上から東北・北海道新幹線の高架をくぐり、新幹線ホームの高さまで急上昇する必要があるため、最大傾斜区間になるとのことです。
2026年度の完成を予定しているので、鉄道好きなら完成後にぜひとも山形新幹線の上りに乗ってみたいところですね。

【6】東京駅には新幹線専用の時間限定改札がある
JR東京駅の新幹線は1日数十万人が利用しており、いつも混雑していますが、繁忙期の改札となればさらに混雑していますよね。実は、そのような大混雑した改札をスルーできる、“隠れ改札”があるのをご存じでしょうか?
もし、繁忙期に在来線から乗り換えができる「南のりかえ口」と「中央のりかえ口」が混雑してホームに入れない場合は、一度改札を出て「新幹線・日本橋口」を目指してください。
この新幹線・日本橋口は東京駅八重洲口の北にある新幹線専用改札。新幹線ホームと直結しており、在来線から入ることはできないため、繁忙期でも比較的空いているんですね。
もちろん、繁忙期には改札付近のトイレに行列ができますが、ここのトイレなら比較的空いています。
ちなみに、日本橋口のうち「東海道新幹線」方面は最終便まで開いていますが、「東北・山形・秋田・北海道・上越・北陸新幹線」方面は朝8時から19時30分までしか開いていません。利用する際は注意してください。

まとめ
いかがでしょうか? 普段何気なく利用している新幹線には、あまり知られていない秘密がたくさんあります。
とくに、JR福島駅の山形新幹線のアプローチ線は現在工事中で、2026年度には完成する予定です。工事中の様子は今しか見られないので、鉄道ファンなら今のうちにしっかり見ておきましょう。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)



