「小紅書(RED)」というSNSを利用したことがある人は、国内ではまだ少ないのではないでしょうか。
中国発の口コミ型SNS「小紅書(RED)」は簡単にいえばSNSとECモールと口コミ機能がすべて詰まったプラットフォーム。「InstagramとAmazonが合わさったようなアプリ」と称されることもあり、Z世代を中心に日本でも流行の兆しが見えています。
「次のインスタ」になる可能性がある『小紅書(RED)』。具体的な使い方や特徴を見ていきましょう。
小紅書(RED)とは何か?
小紅書(RED)は、中国発の口コミ型SNSで、2025年現在で月間アクティブユーザー3.1億人を突破しているとも言われるプラットフォームです。特に20〜30代の女性を中心にユーザーが、日本でも増えています。

Instagramとの類似点は、写真・動画を軸とした投稿型SNSであるところ。InstagramやTikTokの利用経験がある方であれば、UIや使い方に迷う点はほとんどないでしょう。

その上で『小紅書(RED)』の最大の特徴はEC機能がある点と、リアルな口コミ文化にあります。これにより「Instagram×Amazon」とも称される独自のポジションを確立しました。
まず小紅書(RED)のEC機能「RED Mall」の特徴は、投稿から商品の直接購入までがシームレスであること。情報収集から購入までをひとつのアプリ内で完結させることが可能です。
そしてECで商品を購入する際にポイントとなるのが、口コミやその商品に関するユーザー投稿が「信頼できるかどうか」でしょう。
小紅書(RED)はアルゴリズムの公平性も特徴で、新規アカウントによる投稿でもユーザーにコンテンツが平等に表示されるため、中小企業や個人の商品もユーザーに見つかりやすいという特徴を持っています。つまり残念ながら昨今のSNSでよく見られる「偏ったインフルエンサーや企業の投稿ばかりがピックアップされる」といった事象が起きにくい仕組みになっています。

小紅書(RED)ではユーザー同士の商品レビューや体験談が購買意思決定に直結しているため、中国消費者の間では「种草(商品を推奨する行為)」文化が芽生えています。
インスタとの違いと優位性
『小紅書(RED)』はインスタやTikTokからの影響を強く感じさせるUIも特徴です。

画像を見ると分かるとおり、小紅書(RED)のUIはそれらのSNSの利用経験がある方なら、直感的に操作できるものです。
では小紅書の「インスタに対する優位性」は何でしょうか。結論から言えば、やはりEC機能と公平性でしょう。
まずECに関して言えば、Instagramでは、商品の紹介や広告は可能ですが、直接購入するためには外部サイトに移動する必要がある場合が多いです(※ショッピング機能で直接購入可能なケースもありますが設定の複雑さなどから同機能を導入しているアカウントは一部に留まっています)。一方、小紅書の「RED Mall」では、投稿内で紹介された商品を直接購入可能です。
また先にも述べた通り、アルゴリズムの公平性はやはり小紅書の優位性の一つです。Instagramではフォロワー数の多いアカウントや広告主のコンテンツが優先的に表示される傾向がありますが、小紅書では新規アカウントでも平等に表示されます。
余談ですが、こうしたアルゴリズムの公平性は、実はTikTokにも存在します。『TikTok』『小紅書』というZ世代に人気の中国発祥のグローバルSNSがいずれも、Instagram、YouTube、XやGoogleにはない「アルゴリズムの公平性」という特徴を持っているのは興味深い点といえるでしょう。
小紅書(RED)の基本的な使い方
小紅書の基本的な使い方は以下の通りです。




課題と今後の展望
小紅書の今後の課題として、まず言語・文化の壁が挙げられます。
小紅書は「信頼性の高い口コミプラットフォーム」「Instagramの代わり」としてじわじわと若者の間で人気が拡大し続けていた中、2025年に入ると「TikTok禁止法」を巡る一連の騒動でTikTok難民に適したSNSとして急激にグローバル人気が拡大しました。そのため非中国語圏ユーザー向けの翻訳機能はまだまだ未成熟です。
また、競合との差別化の余地もまだあります。InstagramやTikTokが今後競合となり得るのはもちろん、中国国内での競合プラットフォームとしての微信(WeChat)との差別化もさらに求められるでしょう。小紅書は特に動画コンテンツの強化が進行中で、今後の展開に注目が集まっています。
小紅書は、ソーシャルとECの融合モデルで新たな消費行動をリードするプラットフォームとして、中国市場を超えて、グローバル展開に注目が集まっています。今後の成長が期待されるプラットフォームとして、日本国内でも人気をさらに集めるかもしれません。
※サムネイル画像(Image:Anastasia Trofiimova / Shutterstock.com)