これまで「人脈は出世に必要」とされ、人脈は大切に扱われてきた。しかし、現代では多様性、若手世代の昇進意欲低下などが影響し、人脈の価値が再定義されつつある。 転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する調査機関「Job総研」は2025年9月3日~8日、430人の社会人男女を対象に「2025年 人脈の実態調査」を実施した。人脈に対する人々の価値観などについて紹介していこう。

世間は人脈作りにどんなリスクを感じている?

今回の人脈の実態調査の結果を見ると、人脈を広げることに対して51.7%が「リスクを感じる」と回答。年代別では20代、30代の若手世代ほどリスクを感じていることが明らかになった。

実際にどんなリスクを感じているかについても尋ねたところ、48.6%が「プライバシーの侵害」を気にしていることが判明。他にも「精神的疲労」「情報漏洩の不安」など、実害だけでなく精神面でのリスクを感じるといった回答が多く集まった。また、人脈作りで避けたいSNSとして、「X」や「Instagram」「Facebook」などがほぼ同率で挙げられた。今は、SNSなどでプライバシーを簡単に投稿でき、ゆるく広くつながることができる時代であるがゆえに、危険な人物とつながってしまうリスクも高まっている。また、人との関わりが増えることで、精神的に疲弊してしまうケースも少なくない。

人脈を作りたい理由、作らない理由についても回答を見てみると、作る理由としては「相談相手が欲しい」「業務を円滑に進めたい」「専門知識や情報を得られる」という回答が多く、実際的なメリットを考えて人脈拡大を目指す人が多いと判明。一方、作らない理由としては「無理に付き合うのが疲れる」「プライベートと分けたい」「出世や昇進に興味がない」などの回答が多く、現代の特徴ともいえる、人付き合いに気を遣いたくない人や会社での昇進に興味がない人などが多いと分かった。
人脈は会社での評価や昇進に影響?

社会人になってから人脈の重要度がどう変化したかについて調査結果を見てみると、なんと全体の77.1%が「重要度が上がった」と回答。仕事で人脈を作ろうとする人も66.7%いることが明らかになった。

また、ビジネスシーンでの出世に人脈が必要だと感じている人も83.8%と非常に多く、社会人になることが、人脈作りに対する意識の分かれ目になっているのかもしれない。

現在勤務している職場が、人脈が会社での出世に影響する職場か尋ねたところ、回答者の64.7%が「影響すると思う」と回答。今後3年で人脈を拡大したいという人も76.3%と多いことが明らかになった。
若い世代でも、社会人を経験すると人脈作りがいかに重要なものか分かるということは、やはり時代が変わってもビジネスシーンにおいて、人脈は大いに求められているというわけだ。
出典:【Job総研(パーソルキャリア)】
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