「彼が私より3歳下なんだけど、変かな……?」「年下の女性じゃないと釣り合わない気がする」──パートナーとの年齢差を気にしてしまった経験はありませんか。長らく日本では「夫が年上、妻が年下」が”自然な組み合わせ”とされてきました。しかし、その常識がいま大きく揺らいでいます。
結婚相談所大手のIBJ(IBJ結婚みらい研究所)が2026年4月から毎週木曜に公開している『2025年 IBJ 成婚白書』シリーズ。5月21日公開の最新回では、約2万人の婚活ビッグデータを分析した結果、夫婦の平均年齢差がこの8年間で約1.46歳縮小し、「同年齢+妻年上」カップルの合計が約1.6倍に拡大したことが明らかになりました。”年の差婚”が当たり前ではなくなりつつある背景には、日本社会の構造的な変化が見え隠れしています。

データが語る「同年代婚」シフトの実態
平均年齢差は2.77歳まで縮小
まずは数字を整理しましょう。2025年に成婚した9,394組のカップルを分析したところ、夫婦の平均年齢差は2.77歳。2017年(2,444組)の4.23歳と比較すると、わずか8年で約1.46歳も縮まっています。
これはつまり、「夫が一回り年上」「親子ほどの年の差」といった大きな年齢差で結ばれるケースが目に見えて減少しているということ。代わりに「夫が2〜3歳年上」が、いまや結婚相談所における”標準的なスタイル”になりつつあります。
「同年齢」「妻年上」カップルが約1.6倍に拡大
さらに注目すべきは、夫婦のどちらが年上かという構成比に起きている変化です。
・「夫年上」:82.6%(2017年)→ 72.2%(2025年)
・「同年齢」:8.3% → 11.1%
・「妻年上」:9.1% → 16.8%(約1.8倍)
「同年齢」と「妻年上」を合計すると17.4%→27.8%へと約1.6倍に拡大。実に約4組に1組以上(27.8%)が「同年齢」または「妻年上」という構成です。依然「夫年上」が多数派であることは確かですが、「男性が年上であるべき」という前提が”当たり前”ではなくなりつつあるのは間違いありません。
なぜ”年の差婚離れ”が起きているのか
背景1:共働きが前提となった結婚観
最大の要因は、結婚における経済モデルの変化です。
かつての日本では、「夫が稼ぎ、妻が家庭を守る」という分業型が一般的でした。この前提に立つと、結婚相手の男性には経済的に成熟していること──つまり一定のキャリアと収入が求められ、必然的に「夫が年上」という構造が生まれます。
しかし、共働き世帯が標準となった現代では、女性自身も安定した収入を持つようになりました。IBJの別分析(第3回「稼ぐ女性は敬遠される?」)でも、「夫が一人で高年収を稼ぐ」スタイルは減少し、夫婦で世帯年収を築く考え方が主流になりつつあることが示されています。経済的安定をパートナーに”依存”する必要が薄れた結果、「年齢」よりも「価値観」や「ライフスタイルの一致」を重視する選択が増えているわけです。
背景2:シニア層ほど”年の差婚離れ”が顕著
年代別に2017年と2025年を比較すると、変化の主役は実はシニア世代です。
・50代:7.66歳 → 3.57歳(-4.09歳)
・60代以上:8.33歳 → 3.06歳(-5.27歳)
50代以上の平均年齢差は、なんと半分以下にまで縮小しています。一方で、20代・30代はもともと同年代婚が中心だったため、変化は小幅にとどまりました。
つまり、シニア層ほど「一回り以上年下のパートナー」よりも、人生経験や価値観を共有できる同世代との結婚を選ぶ傾向が強まっているということ。”セカンドライフを共に歩む相棒”としての視点が、年齢差以上に重視されているのです。
「年の差婚」VS「同年代婚」──メリットとデメリットを冷静に比較
ここで一度、両者を客観的に整理してみましょう。
年の差婚のメリット
・経済的・精神的な安定感が得やすい
・包容力のあるパートナーシップ
・役割分担が明確になりやすい
年の差婚のデメリット
・ライフステージのズレ(介護や退職タイミングなど)
・流行や文化的価値観のギャップ
・健康面・寿命差への不安
同年代婚のメリット
・共通の文化的体験・話題が豊富
・ライフイベントの足並みが揃いやすい
・対等な意思決定がしやすい
同年代婚のデメリット
・お互いに未熟な時期が重なる可能性
・経済基盤を一から共に築く負担
どちらが優れているという話ではありません。ただ、社会の側が「同年代婚を選びやすい環境」へと整ってきたことは間違いないでしょう。
編集部の見解:これから婚活する人が知っておくべきこと
このデータから読み取れる最も重要なメッセージは、「年齢差を気にして相手を絞り込みすぎるのは、現代ではむしろ機会損失になりうる」という点です。
「30代の女性だから、相手は35歳以上で……」「自分は男だから絶対年下を……」といった条件の付け方は、母集団を不必要に狭めてしまいます。実際、初婚カップルの平均年齢差は2.66歳、再婚を含むカップルでも3.49歳と、いずれも3歳差以内。エリア別に見ても東京都2.65歳、東京都以外2.81歳と、その差はわずか0.16歳しかありません。全国的に「同年代・少し年上」が新しいスタンダードになっているのです。
婚活の現場では、年齢フィルターを±2〜3歳広げてみるだけで、出会える候補は大きく変わります。「同年齢」「妻年上」のカップルが着実に増えているいま、固定観念をアップデートすることが、後悔のないパートナー選びの第一歩になるはずです。
価値観で選ぶ時代へ──”次のアクション”の取り方
「夫が年上」という昭和・平成のスタンダードが、令和の今、静かにその絶対性を失いつつあります。代わりに台頭してきたのは、年齢ではなく価値観で結ばれるパートナーシップです。
もし今、「年齢差」という条件に縛られて婚活で行き詰まっているなら、一度その枠を外してみる価値があります。データはすでに、その先に新しい出会いが広がっていることを示しています。
IBJの『2025年 成婚白書』は毎週木曜日に最新データが公開されており、次回(第8回)は「職業別『結婚の相性』マトリクス」を予定。安定の公務員はやはり人気か、医療従事者同士は惹かれ合うのか──”職業相性説”の真偽がデータで明かされます。婚活中の方も、これから始める方も、最新の市場データをチェックしておくことをおすすめします。
出典:IBJ結婚みらい研究所「縮まる夫婦の年齢差。データで見る、令和の『同類婚』のリアル」
参考:IBJ結婚みらい研究所「成婚白書」アーカイブ、株式会社IBJ プレスリリース「『2025年 IBJ 成婚白書』公開」(PR TIMES)、IBJ結婚みらい研究所「『稼ぐ女性』は敬遠される?データが証明する共働き時代の『世帯年収』新常識」(第3回)


