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ChatGPTに「おすすめ電力会社」聞いて契約して大丈夫? 200回検証で衝撃の結果

「電力会社を乗り換えたいけど、どこが安いか分からない」─そんなとき、ChatGPTに聞いてみようと考える人が増えています。2026年4月の実態調査によると、暮らしにまつわる比較検討にAIを使う人は76.8%。一方で、AIから誤った回答を受けた経験がある人も65%にのぼります。それでも81.2%が「今後もAIを使いたい」と答えており、不安を感じつつも頼り続けている状況です。

不安の中身で最も多かったのは「正確性・信頼性」で、47.4%が挙げています。「AIの答えを信じて契約したら、本当に損しないのか」という疑問は、多くの人が抱えているものでしょう。

この疑問に対し、株式会社クラシェルジュがChatGPTに「一人暮らしにおすすめの電力会社」を合計200回質問し、各社の公式料金単価と照合する検証を行いました。この記事では、その検証で分かった事実をもとに、AIの回答をどこまで信じてよいのかを整理します。

 

ChatGPTに「おすすめ電力会社」聞いて契約して大丈夫? 200回検証で衝撃の結果の画像1
(画像はShutterstockから引用)

 

200回質問して公式料金と照合──検証の方法と条件は?

「AIの答えは本当に合っているの?」─その疑問を数字で確かめるために、株式会社クラシェルジュが2026年5月8日〜20日にかけて検証を行いました。対象はChatGPT(GPT-5.2)です。

質問は2パターン、合計200回。それぞれの内容は次のとおりです。

検証①:「一人暮らしにおすすめの電力会社を教えてください」×100回

検証②:「東京で一人暮らし、30Aで月120kWh使用するのですが、電気代が安い電力会社はどこですか?各社月いくらになるか金額も教えてください。2026年5月時点の燃料費調整額と再エネ賦課金込みで。」×100回

AIの回答は、各電力会社の公式サイトに載っている料金単価と、経済産業省が発表している再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金=電気料金に上乗せされる全国一律の費用)を基準に照合されています。

回答のブレや履歴の影響を防ぐため、毎回新規チャットかつ一時チャットで質問し、ブラウザはChromeのシークレットモードを使用。調査専用アカウント1つに統一し、プロフィール設定やカスタム指示は空欄のまま。アクセスは東京のIPアドレスから行い、VPNやWi-Fiは使っていません。

つまり、できるだけ「初めてChatGPTに聞いた人」と同じ状態を再現した検証です。この条件のもとで、AIの回答がどこまで信頼できるのかが測られました。

 

【検証結果①②】条件を確認せず即回答、100回中67回に誤った説明が含まれていた

「おすすめの電力会社を教えて」─そう聞いたとき、人間の相談窓口なら「お住まいはどちらですか?」「月の電気使用量はどのくらいですか?」と確認するのが普通です。電気料金は地域・使用量・契約プランの組み合わせで決まり、供給エリアも全国10に分かれるためです。

ところが検証では、ChatGPTは100回すべてで地域も使用量も確認せず、即座に電力会社を提示しました。しかも100回中81回は「オクトパスエナジー」を最上位に推奨しています。

回答後に「使用量を教えてくれれば絞れます」といった追加質問があったのは65回で、残る35回は追加質問もなく推奨を断言していました。

地域への配慮も不十分です。地域条件に言及があったのは23件のみで、77件では地域限定の電力会社を前提説明なしに推奨。つまり100回すべてがユーザーの地域に配慮しないまま推奨していたことになります。

さらに深刻なのが、回答内容そのものの正確性です。各社の説明を公式サイトの情報と照合したところ、100回中67回の回答に誤解を生みやすい説明や不正確な情報が含まれていました。代表的な例は次の2つです。

「Looopでんき=基本料金0円」が60件で出現─実際は2025年4月の改定で基本料金相当の「制度対応費」が導入済みです。「0円だから固定費なし」と思って契約すると、想定外の費用が発生します

「CDエナジーダイレクト=東京ガス系」が18件で出現─実際は中部電力50%・大阪ガス50%出資の合弁会社で、東京ガスとは資本関係がありません(東京ガスが共同運営するのは「オクトパスエナジー」であり、AIが系列を取り違えた可能性があります)

どちらも契約判断に直接影響する情報です。AIの回答をそのまま信じて申し込みに進むと、「契約できない会社だった」「思ったより高かった」という事態が起こりえます。無料で手軽に使えるAIだからこそ、お金に関わる回答はうのみにしない意識が欠かせません。

 

【検証結果③】条件を細かく伝えても、AIが出した料金の約6割が実際とズレていた

「地域や使用量をちゃんと伝えれば、正しい金額が返ってくるのでは?」─そう考える方は多いはずです。しかし検証では、東京・30A・月120kWhという具体的な条件を指定しても、料金の正確さは限定的でした。

延べ373社分の月額をAIが提示したうち、公式料金単価から算出した正解と±5%以内に収まったのは143社(38.3%)。残りの6割超は実際の料金とズレていました。

さらに問題なのは、「安い会社を高く、高い会社を安く見せる」逆転現象が起きていた点です。

本来最安のTERASELでんき(月3,998円)を、AIは中央値4,850円(+21.3%)と過大に提示

割高な楽天でんき(月5,856円)を、AIは4,700円(-19.7%)と安く提示

つまり、AIの回答だけを見ると「楽天でんきのほうが安い」と判断してもおかしくない状況です。実際には月額で1,800円以上の差があるにもかかわらず、AIの金額では差が縮まって見えます。

一方、Looopでんきは30分ごとに料金が変動する市場連動型(電力の市場価格に連動して単価が変わる仕組み)のため、本来「月額はいくら」と確定できません。それにもかかわらず、AIは72件で具体的な金額を断言していました。

なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金=電気料金に上乗せされる全国一律の負担金)の単価だけは、言及があった79件すべてで正しい値(4.18円/kWh)でした。ここだけは唯一正確だったものの、肝心の月額合計が6割超ズレている以上、契約判断の材料としてはそのまま使えません。

AIが「一番安い」と示した会社が本当の最安と一致したのは100回中71回で、順位だけなら7割ほど当たっています。しかし金額そのものがこれだけズレていると、「どれくらいお得か」の判断を誤るリスクがあります。

 

「そのまま信じて契約OK」は0件──AIの回答はどこまで信用できる?

「AIがすすめてくれたから大丈夫だろう」──そう思って電力会社を選ぼうとしている方にとって、気になる検証結果があります。

クラシェルジュ社がChatGPTへの回答100件を総合評価したところ、4段階の判定結果は次のとおりでした。

A評価(そのまま信じて契約OK):0件

B評価(念のため自分でも確認したほうがいい):29件

C評価(信じると損する可能性あり):67件

D評価(信じると実害が出る):4件

追加確認なしで契約しても問題ないと言える回答は1件もありませんでした。B評価の29件を除いた残る71件は、「損する可能性あり」のCまたは「実害が出る」のDに分類されています。

 

AIが電力会社選びで間違える3つの構造的理由とは?

なぜこうした結果になるのでしょうか。検証では、AIが間違える構造的な理由として3つが挙げられています。

古い情報をそのまま「いまの事実」として答える─料金改定後の情報が反映されず、過去のプラン内容がそのまま提示されることがあります

電気料金の計算ルールを正しく理解していない─市場連動型(電力の取引価格に応じて料金が変わる仕組み)や燃料費調整額の符号など、会社ごとに異なるルールに対応できていません

誤った内容でも自信たっぷりに断言し、「信じきってはいけない」と教えてくれない─ユーザーが「怪しい」と気づく手がかりがないまま、契約判断に進んでしまうリスクがあります

AIは便利な相談相手ですが、お金が絡む契約の判断をそのまま任せられる段階にはまだありません。回答を参考にすること自体は問題なくても、最終的には公式サイトの情報と照らし合わせる一手間が、余計な出費を防ぐカギになります。

 

結局、どうすればいい?─AIの回答を活かしつつ損しないための3つの確認ステップ

AIに聞いた答えをそのまま信じて電力会社を契約する─今回の検証は、その判断がいかに危ういかを数字で示しました。では、AIを完全に使わないのが正解かというと、そうとも言い切れません。大事なのは「AIの回答を出発点にしつつ、契約前に自分の目で確かめる」ことです。

【1】AIが出した会社名や料金は「仮の候補リスト」と割り切る

今回の検証では、誤りに気づいたきっかけの最多は「公式サイトで確認したら違っていた」でした。AIの回答はあくまで候補を絞るヒントと考え、契約前に各社の公式サイトで料金や提供エリアを確かめることが欠かせません。

【2】電気料金は「地域×使用量×プラン」で決まると知っておく

電気料金は地域・使用量・契約プランの組み合わせで決まり、供給エリアは全国10に分かれます。自分の条件を把握しないまま「おすすめ」を受け入れると、そもそも契約できない会社を選んでしまうリスクがあります。

【3】燃料費調整額・再エネ賦課金込みの実質請求額で比べる

クラシェルジュは47都道府県対応の電気料金シミュレーションを提供しており、燃料費調整額・再エネ賦課金込みの実質請求額で比較できます。AIの回答だけでは見えない実際の負担額を把握する手段として活用できます。

契約のように失敗できない判断ほど、AIの回答を鵜呑みにせず、公式情報との照合が欠かせません。「便利だから使う、でも最後は自分の目で確かめる」─この一手間が、余計な出費を防ぐいちばんの近道です。


スマホライフPLUS編集部

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