「AIが仕事を奪う」という話はよく耳にしますが、逆に「AIを使えれば給料が上がる」と聞いたら、どう感じるでしょうか。漠然とした不安を抱えている方も少なくないはずです。
最近、AIを活用したサービスを手がける企業が、エンジニアの年収を大幅に引き上げるという目標を公表し、話題になっています。株式会社ハローは、エンジニア組織における平均年収を2027年末までに1,500万円に引き上げることを目標として発表しました。
AIを活用できるかどうかが、働く人の収入やキャリアに直結する時代が近づいているのかもしれません。この記事では、公式発表の要点を整理しながら、AIが給与や働き方にどんな影響を与えうるのかを考えていきます。

どんな会社が、何を発表した? 株式会社ハローの新報酬制度の中身
AIによるレストラン予約サービス「AutoReserve」、飲食店向けオールインワンクラウド「Respo」、AIサービス「HelloX」を展開する株式会社ハロー(本社:東京都渋谷区)が、2026年5月26日にプレスリリースを発表しました。
発表の骨子は次のとおりです。
・エンジニア組織における平均年収を、2027年末までに1,500万円に引き上げることを目標として掲げた
・現在のエンジニア平均年収は1,150万円で、目標との差額は350万円
・新報酬制度およびAI活用支援制度の拡充は、2026年6月より実施される
すでに開始時期が明示されているため、今後の動向を追いやすい状況です。
なぜ給与の大幅アップが可能に? 背景にある「AIの標準装備化」
「AIを使いこなせる人だけが高い給料をもらえる時代が来るのでは?」──そんな漠然とした不安を感じている方もいるかもしれません。今回のハロー社の発表は、まさにその流れを裏付ける動きといえます。
ハロー社がエンジニアの報酬を大幅に引き上げられる背景には、生成AI(人間の指示に応じて文章やコードなどを自動生成する技術)の急速な発展があります。同社によれば、この発展によりエンジニアリングの生産性と求められるスキルセットが変化しているとのことです。
注目すべきは、ハロー社ではAIがすでに全エンジニアの「組織の標準装備」として日常的に活用されているという点です。一部の詳しい人だけが使うものではなく、働く全員がAIを前提に仕事をしている状態だといいます。
こうした土台があるからこそ、今回の制度刷新はAI活用を前提とした”少数精鋭”のエンジニア組織として、業界最高水準の報酬水準を目指すものとして位置づけられています。少ない人数でも高い成果を出せるなら、一人あたりの報酬を上げる余地が生まれるという考え方です。実際、シニア/プリンシパルエンジニア相当では、すでに年収2,000万円超のオファーも可能だとしています。
この動きは、AIの活用度合いが個人の働き方や収入に直結し始めていることを示しています。IT企業に限った話と思われがちですが、AIを使ったサービスは飲食店の予約など日常生活にも広がっており、その影響は業界を超えて波及する可能性があります。
年功序列は終わる? スキルや実績で報酬が決まる時代へ
「長く勤めていれば給料が上がる」──そんな常識が、いま大きく揺らぎ始めています。株式会社ハローが発表した新報酬制度の中身を見ると、その変化がはっきり見えてきます。
新報酬制度では、新卒・中途を問わず、年次や経歴ではなく職種・スキル・パフォーマンスに基づき報酬を決定するとされています。つまり「何年働いたか」ではなく「何ができるか」「どれだけ成果を出したか」が給与に直結する仕組みです。評価には「技術的影響範囲」「事業へのインパクト」「AI・自動化を活用した生産性」という3つの軸が用いられ、在籍期間ではなく役割と成果に応じて昇給が判断されます。
さらに注目したいのが、AI活用の評価への組み込みです。同社はAIツール(文章作成やデータ分析などを自動で手助けしてくれるソフトウェア)の利用補助の継続・拡大や、AI活用度を評価へ組み込むことなどを通じて、組織全体でのAI活用をさらに推進するとしています。
こうした動きは、IT企業だけの話と思われがちですが、スキル重視の評価制度が広がれば、働き方やキャリアの考え方そのものが変わる可能性があります。
勤続年数よりも、実際のスキルや成果が報酬を左右する方向へ
AIを日常的に使いこなせるかどうかが、評価の一部になりつつある
「自分のスキルは今の報酬に見合っているのか」──そう考えるきっかけとして、この制度変更の動きは押さえておきたいところです。
これは他人事ではない? 自分のキャリアの「安全」を守るために知っておきたいこと
ここまで紹介してきた株式会社ハローの動きは、エンジニア向けの制度変更です。しかし「自分には関係ない」と言い切れるでしょうか。
生成AIの発展により、多くの職種で求められるスキルセットが変化しているという社会的な背景があります。エンジニアだけでなく、事務職や営業職、管理部門など、日常的にパソコンやスマホを使う仕事であれば、AIとの関わり方がこれからの評価や待遇に影響してくる可能性は十分にあります。
今回の事例で注目すべきポイントは、「年次や経歴ではなく、スキルや実績で報酬が決まる」という方向性です。これまでの「長く勤めれば給与が上がる」という前提が、少しずつ変わりつつあることを示しています。
AIの活用が評価や報酬に組み込まれる企業が出てきている
こうした流れが今後ほかの業種・職種にも広がる可能性がある
自分の仕事でAIがどう使われ始めているかを意識しておくことが、キャリアの「安全確認」につながる
大切なのは、焦って何かを始めることではなく、まず自分の仕事や業界でどんな変化が起きているかに目を向けることです。
利用者にとって何が気になるポイント?
直接の対象はエンジニア組織ですが、AIを活用するサービスの裏側で「どんな人材が、どんな評価基準で働いているか」は、サービスの品質や安全性にも関わるテーマです。
普段使っているアプリやサービスの運営元がどのような方針を取っているかを知っておくことは、利用者としての判断材料になります。今回のように企業がプレスリリースで方針を公表している場合は、その内容を確認しておくと安心です。
まとめ
株式会社ハローの発表は2026年5月26日に行われ、新制度の実施は2026年6月からとされています。AIの活用がエンジニアの報酬に直結する動きは、今後ほかの企業や業種にも広がる可能性があります。
「自分には関係ない」と感じるかもしれませんが、働き方や評価の仕組みが変わるときは、まず一次情報──企業や公的機関が直接出した発表──を確認することが大切です。SNSやまとめサイトの情報だけで判断せず、公式のプレスリリースや発表元のページに目を通すことを習慣にしてみてください。



