「iPhoneでメモしたのに、あとでどこに書いたか分からなくなった」「思いついたことをすぐ書き留めたいのに、どのアプリに書くか迷っているうちに忘れてしまう」―そんな経験はありませんか。メモを取る手軽さと、後から整理する手間の両立は、多くの人が抱える悩みです。
こうした中、iOS向けメモアプリ『シンプルメモ』に、送信したメモをナレッジ管理ツール『Obsidian』へ自動で追記する新機能が追加されました(バージョン3.0)。この記事では、公式の発表をもとに、この新機能で何ができるようになるのか、料金や設定、利用する上での注意点を整理します。

そもそも『シンプルメモ』と『Obsidian』とは?
「名前は聞いたことがあるけれど、自分に関係あるアプリなのか分からない」と感じるかもしれません。まず、2つのアプリの役割を整理します。
シンプルメモ:株式会社ユリカが提供するiOS向けのメモアプリです。思いついた内容を、最短2タップで自分のメールアドレスへ送信することに特化しています。「起動して、書いて、自分に送る」というシンプルな使い方が特徴です。
Obsidian(オブシディアン):メモやナレッジ管理(知識を整理・蓄積すること)の定番ツールとして知られるアプリです。様々な情報をマークダウンファイルとして保存し、それらを関連付けて知識を育てていく使い方に向いています。
つまり、シンプルメモは「すばやく書きとめる入口」、Obsidianは「あとで整理・蓄積する場所」という関係です。なお、シンプルメモは、Obsidianや、かつて同様のワークフローで知られた「Captio」の公式・関連サービスではありません。この役割分担を理解しておくと、新機能の利便性がつかみやすくなります。
新機能「Obsidian連携」で何ができるようになりますか?
バージョン3.0で追加された「Obsidian連携」は、シンプルメモで書いたメモを送信すると、Obsidianの保管庫(ノートをまとめて保存するフォルダ)へ自動で追記してくれる機能です。これまで手動で行っていたコピー&ペーストの手間がなくなります。主な特徴は以下の通りです。
コミュニティプラグイン不要:Obsidianの標準機能だけで動作します。追加で拡張機能を入れる必要はありません。
バックグラウンドで自動追記:一度設定すれば、あとはメモを送信するだけでバックグラウンドで自動的に追記されます。
送り先は2種類から選択:その日の日付ファイルに追記する「デイリーノート」と、あとで仕分ける受信箱として使える「Inboxノート」の2種類から選べます。
既存の記述を上書きしない:「- HH:mm メモ本文」という形式でリストの1行として追加されるため、すでに書いてある内容が消えることはありません。
メール送信との二重記録:従来どおりメールにもメモが送信されるため、Obsidianを開かない日でもメールで見返すことができます。
端末内で完結するローカル処理:Obsidianへの追記はiPhoneなどの端末内で完結します。メモ本文が提供元のサーバに恒常的に保存されることはありません。
無料で使える:この連携機能に、追加の月額料金などはかかりません。
本当に無料?料金体系で注意すべき点はありますか?
「無料」と聞いてインストールしたのに、後から課金を求められるとがっかりするものです。シンプルメモの料金について、公式情報から分かる点と注意点を整理します。
まず、アプリのダウンロード自体は無料です。今回追加された「Obsidian連携」と、後述する「音声入力」も、無料プランの範囲で利用できると明記されています。
一方で、App Storeの製品概要には「料金:無料、App内課金あり」と記載されています。App内課金とは、アプリの中で追加の有料機能やサービスを購入できる仕組みのことです。今回のプレスリリースでは、このApp内課金で何が提供されるのかについて、具体的な説明は見当たりません。「無料で使えると思っていたのに請求が来た」という事態を避けるためにも、この表記がある点は知っておくとよいでしょう。
設定は難しい?約1分でできることとは
「新しい機能は便利そうだけど、設定が複雑なのでは?」と心配になるかもしれません。公式情報によると、Obsidian連携の設定は約1分で完了するとされています。
まず知っておきたいのは、この連携機能は初期状態では表示されていない点です。設定画面にある「上級者モード」をオンにすると、Obsidian連携の項目が表示されるようになります。普段はメールに送るだけで十分という人は、この設定をしなければこれまで通り使えます。
具体的な設定作業は、次の2ステップだけです。
保管庫フォルダ(Obsidianがノートを保存しているフォルダ)を選ぶ
送り先として「デイリーノート」または「Inboxノート」を選ぶ
これだけで準備は完了です。設定後は、メモを書いてワンタップで送信するだけで、メールへの送信とObsidianへの自動追記が同時に行われます。
自分のiPhoneでも使えますか?動作条件と注意点
「無料で使えるなら試してみたい」と思ったとき、気になるのは自分の環境で動くかどうかです。公式発表に記載されている動作条件と注意点をまとめました。
対応OS:iOS 16.0以降が必要です。お使いのiPhoneのOSがこれより古い場合は利用できません。
保管庫の場所:追記先のObsidian保管庫は、iCloud Driveまたは「このiPhone内」にあり、iPhone標準の「ファイル」アプリからアクセスできる必要があります。
デイリーノートのファイル名:「デイリーノート」への追記は、ファイル名が「yyyy-MM-dd.md」という形式であることが前提です。ファイル名の付け方を変更している場合は、「Inboxノート」を選ぶと確実に追記されます。
Obsidian Sync専用の保管庫:Obsidian公式の同期サービス「Obsidian Sync」だけで管理している保管庫は、フォルダ選択画面に出てこない場合があります。その場合は、送信時にObsidianアプリが一瞬開いて追記する別の方式に自動で切り替わります。
反映の遅れ:iCloudの同期の都合上、メモを送ってからObsidianの画面に表示されるまで数秒の遅れが生じることがあります。
これらの条件が自分の環境に合っているか、事前に確認しておくとスムーズです。
キーボードが使えない場面でもメモできますか?音声入力機能も追加
今回のアップデートでは、Obsidian連携とあわせて「音声入力」にも対応しました。歩いているときや荷物で両手がふさがっているときなど、キーボードが使いにくい場面で役立ちます。
メモ画面のマイクアイコンをタップして話すと、言葉がその場で文字に変換されます。この音声の文字変換は、端末の中だけで完結する「オンデバイス処理」で行われます。音声データが外部のサーバへ送信されることはなく、オフラインでも動作するのが特徴です。この音声入力機能も、追加料金なしの無料プランで利用できます。
ただし、この機能はオンデバイス音声認識に対応したiOS環境が前提です。OSのバージョンや端末、言語によってはマイクアイコンが表示されず、利用できない場合があります。
結局どうすればいい?今日からできる確認ポイント
シンプルメモの新機能が気になった方は、まず以下の3点を確認してみるのがおすすめです。
自分のiPhoneが対応しているか確認する 対応OSはiOS 16.0以降です。お使いのiPhoneがこの条件を満たしていれば、App Storeからアプリをダウンロードできます。
Obsidianの保管庫の場所を確認する 連携機能を使いたい場合、追記先の保管庫がiCloud Driveまたは「このiPhone内」にあるかを確認しておきましょう。
連携機能の表示方法を知っておく Obsidian連携は、設定画面の「上級者モード」をオンにすると表示されます。この機能が不要な場合は、設定を変更せずこれまで通り利用できます。
参考:株式会社ユリカ「シンプルメモ」正式リリース告知(2026年4月24日)、Obsidian完全ガイド2026(1van.net)、Obsidianとは?特徴や使い方、料金まで解説(AIツールギャラリー)、「Obsidian」でノートを作るときの考え方とは?(gihyo.jp)


