SNSのタイムラインを眺めていると、「この広告、面白い」「あのCMが話題になっている」といった投稿が目に入ることがあります。面白い広告を見つけたら誰かに伝えたくなるのは自然なことですが、その行為が自分の好みや関心を意図せず周囲に広げてしまう可能性はないでしょうか。
広告会社の株式会社オリコムが2026年4月に実施した調査では、広告がSNS上で話題になっているのを目にした経験がある人は64.8%にのぼりました。この記事では、調査結果の詳細を整理しながら、広告の話題化とプライバシーの接点について確認していきます。

SNSで広告が話題になるのは当たり前? 6割超が経験ありという調査結果
株式会社オリコムが2026年4月10日〜4月17日に実施したインターネット調査(調査手法は「Knowns消費者リサーチ」)の結果が公表されています。調査の対象は、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)および関西(京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県)に住む15〜69歳の1,041人です。
この調査によると、広告がSNS上で話題になっているのを目にした経験がある人は64.8%。目にした経験がない人は35.2%でした。3人に2人近くが「広告についてのSNS投稿」に触れている計算になります。
広告がSNSで拡散されること自体は便利な面もありますが、自分が何に反応し、何をシェアしたかという情報は、プライバシーに関わるデータでもあります。まずは調査結果の全体像を押さえたうえで、どんな点に注意が必要なのかを順に見ていきましょう。
広告を話題にしたことがある人は60.8%――意外に多い「対面の会話」
「SNSで広告が拡散される」というイメージが強いかもしれませんが、調査結果を見ると実態は少し違います。いずれかの方法で広告内容を話題にしたことがある人は60.8%。一方で、いずれの方法でも話題にしたことがない人は39.2%でした。
注目したいのは、話題にした手段の内訳です。最も割合が高いのは「対面の会話」で、「SNSに投稿」よりも高い結果となっています。つまり、家族や友人との何気ないおしゃべりのなかで広告の話が出るケースのほうが、SNSへの書き込みより多いということです。
広告内容を話題にしたことがある人:60.8% いずれの方法でも話題にしたことがない人:39.2% 話題にした手段で最も多いのは「対面の会話」で、「SNSに投稿」を上回る
調査では、SNS上での会話は「ある程度可視化可能」、対面での会話は「可視化が困難」とされています。SNS上での言及数が想定より少ない場合でも、対面の会話ではそれ以上に話題になっている可能性が示唆されます。
SNSの投稿は誰でも閲覧できる状態になりやすく、自分の興味関心が意図せず広く伝わるリスクがあります。対面の会話が多いという事実は、プライバシーの観点からも見逃せないポイントです。広告について誰かに伝えたいと思ったとき、その手段がSNS投稿なのか対面なのかで、情報がどこまで届くかは大きく変わります。
SNS・対面・メッセージで話題にする広告媒体はどう違う?
「SNSで見かけた広告を誰かに話したことがある」――そんな経験は珍しくありません。ただし、話題にする方法によって、取り上げられやすい広告の種類は大きく異なることが調査で分かっています。
オリコムの調査では、広告内容を話題にしたことがある人に「SNSに投稿」「コミュニケーションツール(メッセージアプリなど)」「対面の会話」それぞれで話題にした広告媒体を尋ねています。結果は次のとおりです。
SNSに投稿して話題にした場合:1位は「SNS広告」。今見ている画面上の広告を、その場で投稿している可能性が高いとされています。
コミュニケーションツールで話題にした場合:「SNS広告」「動画配信サービス内の広告」「テレビCM」がほぼ同程度で並びました。特定の媒体に偏らず、さまざまな広告が会話のきっかけになっています。
対面の会話で話題にした場合:1位は「テレビCM」。一緒にテレビを見ている相手とその場で話題にしている可能性が高いと考えられています。
つまり、話題にした広告媒体は話題にした方法により異なっています。SNS上の反応だけを見ていると、テレビCMが対面でどれだけ語られているかは見えにくいということです。逆に、SNS広告の反響は対面の会話には表れにくい面があります。
広告についてSNSに投稿するとき、自分の興味や生活パターンが第三者にも伝わる点は意識しておきたいところです。情報の受け取り方が多様化しているからこそ、どこで何を共有しているかを振り返ることが、プライバシーを守る第一歩になります。
なぜ広告を話題にする? タレント起用と面白さが大きな動機
SNSで広告の話題を見かけたとき、「自分もつい誰かに話したくなった」という経験はないでしょうか。調査では、広告を話題にした理由(話題にした方法は問わず)として次のような項目が上位に並びました。
自分が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから 他の人が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから 広告表現が面白かったから
これらは「自分が好きな企業・団体の広告だったから」「自分の役に立つ商品・サービスの広告だったから」と同等、あるいはそれを上回る割合でした。商品・サービスの内容に加え、クリエイティブ要素(広告の表現や演出)も話題化に大きく影響している可能性が示唆されています。
注目したいのは、「他の人が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから」という理由です。自分のためだけでなく、友人や知人のために広告を話題にしている割合も一定数あります。自由記述でも次のような声が見られました。
「推しのタレントがアルコール飲料のCMに出ているので、『もう購入して飲んだ?』と同じタレント推しの友人に確認した」 「好きなキャラクターの大型広告だった」 「面白い広告は、よく友達と笑って話す」 「面白い広告は、友人と電車に乗っている時に話題になる」 「逆から読んだら全く別の勇気づける文章になる面白い仕組みだった」
こうした結果は、広告を話題にする行為が「何を買うか」だけでなく「何を面白いと感じたか」「誰を応援しているか」といった個人の嗜好を周囲に伝える行動でもあることを示しています。SNSに投稿する際は、自分の趣味や交友関係が意図せず広く伝わる可能性がある点を意識しておきたいところです。
年代で変わる「話題にしたい理由」――15〜19歳は面白さ重視
話題にした理由を年代別で見ると、明確な違いがあります。調査では以下のような傾向が報告されています。
「広告表現が面白かったから」は、低い年代ほど高い傾向がある 「自分の役に立つ商品・サービスの広告だったから」は、低い年代ほど低い傾向がある
特に15〜19歳では「広告表現が面白かったから」の割合が32.4%に達しています。これは同年代で最も高い「自分が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから」「他の人が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから」の37.8%に迫る数字です。
若い年代ほど「面白さ」を動機に広告を話題にしやすいということは、SNS上で広告に反応する行為が「実用的な情報交換」ではなく「エンターテインメントの共有」として行われている側面が強いことを意味します。面白いと感じた広告をシェアする行為は楽しいものですが、その投稿から「どんな表現を面白いと感じるか」という嗜好が読み取れる点は、プライバシーの観点で頭に置いておく必要があります。
広告を気軽にシェアするとき、プライバシーで気をつけたいこと
面白い広告やお気に入りのタレントが出ているCMを見つけると、つい誰かに伝えたくなるものです。しかし、その「シェアしたい」という気持ちの裏側には、自分の好みや関心が周囲に伝わるという側面があります。
調査によると、広告内容をいずれかの方法で話題にしたことがある人は60.8%にのぼります。話題にした理由には「自分が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから」「他の人が好きなタレント・キャラクターが出ている広告だったから」といった、個人の嗜好に直結する動機が含まれています。
ここで意識しておきたいのは、SNS投稿と対面の会話では情報の広がり方がまったく違うという点です。調査では、SNS上での会話は「ある程度可視化可能」、対面での会話は「可視化が困難」とされています。つまり、SNSに投稿した内容は本人が想定していない範囲の人にも届く可能性があります。
広告をシェアする行為そのものが悪いわけではありません。ただ、以下のような情報が意図せず伝わりうることは知っておいて損はありません。
好きなタレントやキャラクター ── 趣味・嗜好の傾向 反応した商品やサービスのジャンル ── 関心のある生活領域 シェアする頻度やタイミング ── 行動パターン
対面で友人と「あのCM面白かったね」と話すのと、SNSに投稿するのとでは、届く相手の数も残り方もまったく異なります。広告を話題にすること自体は日常の楽しみですが、SNSに書き込む前に「これは誰にでも見える場所に残る」という点だけ頭に置いておくと、不要な情報の露出を減らせます。
結局、どうすればいい? 今日確認したい3つのポイント
調査が示すとおり、広告の話題化は多くの人が日常的に行っています。ただし、SNSへの投稿と対面の会話では、情報がどこまで他人に見えるかがまったく異なります。対面なら会話の相手にしか伝わりませんが、SNS投稿は不特定多数の目に触れる可能性があります。さらに、話題にする理由には好きなタレントや面白いと感じた表現など、個人の嗜好がそのまま反映されます。つまり、何を話題にしたかが自分の趣味や関心を周囲に公開していることにもなりえます。
こうした点を踏まえ、意識しておきたいポイントは次の3つです。
SNSに投稿する前に「誰に見えるか」を意識する――対面の会話と違い、投稿は広く残り続けます。自分の嗜好が想定外の範囲に伝わるリスクを頭に置いておくことが大切です。
「なぜ話題にしたいのか」を振り返る――好きなタレントの広告、面白い表現など、動機は個人の好みに直結します。投稿内容から自分のプライバシーがどの程度読み取れるかを考えてみてください。
対面の会話も情報共有であることを忘れない――調査では広告を話題にした手段として対面の会話が最も多い結果でした。SNSほど拡散はしませんが、会話の相手を通じて情報が広がる可能性はあります。
広告を楽しむこと自体は日常の一部です。ただ、話題にする場面ごとに情報の届く範囲が違うという事実を知っておくだけで、プライバシーを守る意識は大きく変わります。
参考:株式会社オリコムのプレスリリース一覧(PR TIMES)、電車内広告で企業を初めて知った経験がある人が8割以上【オリコム調査】(マナミナ)



